こんにちは、ぎんざけです。
司法試験の論文が書けない理由には様々なものがあり、ここを適切に診断して勉強しないと労力の割に点数が伸びません。
世の中には「答案を大量に起案すればいい(書けばいい)」、「答練(模試)を受けないといけない」というアドバイスもありますが、時間が膨大にかかるので、実は「答案を書かないで別の勉強をした方がいい」という人もいると思います。
(私が予備試験・司法試験受験の勉強で書いた答案は予備答案9通(ワードで作成)だけで、答練も受けませんでした)
そこで、まず、論文答案作成の流れを考えてみると
- 問題文を読んで法的論点を抽出する
- その法的論点に条文・判例を適用する
- 1と2の結果をいい感じの日本語で表現する
という3つのステップに分解することができます。
以下では各ステップについて書いていくので、論文答案が書けない場合、どのステップに問題があるかを自己診断してみてください!
ステップ1 問題文を読んで法的論点を抽出する
司法試験・予備試験の問題は、法的論点(条文、解釈上の問題点)についての解答を求めています。
このため、法的論点を外すと、いくら頑張っても残念ながら試験では点がもらえません。
法的論点は、問題を見てその論点に自分で気づけないといけないという点に注意が必要です。
例えば、民法の時効を知らない受験生はいませんが、試験でスルーしてしまう受験生は一定数存在すると思います。
そこで、少なくとも過去問(旧司法試験含む)のどの問題が出ても、法的論点を大きく外さずに見つけられるようになる練習が必要になります。
また、法的論点を見つけるようになるために答案を書く必要はないので、このステップでは、せいぜい適当なメモに箇条書するだけで十分です。
ステップ2 法的論点に条文・判例を適用する
司法試験・予備試験は法律の試験なので、法的論点に対して条文・解釈(≒判例)を適用した答案を書くことが求められています。
このうち、条文は普通に該当条文に試験場でたどり着ければOKなので、六法とお友達になれば目的達成です(六法とお友達になる方法は以下の記事をご参照ください)。
これに対して、判例(≒解釈)は論証というテンプレートを覚える必要があります。
論証を覚えずに現場で考えるというような発想は、あえて事前準備不足で登山するようなものなので、全くおすすめしません。
法律というのは積上げの学問なので、判例という過去の一つの到達点を無視した議論は、控えめに言って読む価値のない駄文としか評価できないと思います。
もちろん、判例が妥当ではないと思うのであれば、判例の結論を示した上で、それを叩き潰す答案を書いても問題ないと思います。
このステップ2の勉強も論文答案を書く必要は特段ありません(私は単語カードで勉強していました)。
ステップ3 いい感じの日本語で表現する
法律は言葉の学問なので、結局は日本語が全てであり、答案は「いい感じの日本語」で書く必要があるのですが、ステップ1とステップ2とは別の能力が求められるので厄介です。
「いい感じの日本語」には何通りもあり、定義というものもないのですが、一つの型としては、
- 問題を特定する
- その問題をより小さな問題に分解する
- 小さな問題を解く
- 分解前の問題の答えを書く
というものがあると思います。
上記の型に沿った「いい感じの日本語」の記事を書いているので、気になる方は以下をご参照ください。
ここまでで一つの型を説明しましたが、実際に「いい感じの日本語」で表現するのが苦手な方は、実際に答案を書くのが有効です。
但し、適当な答案をたくさん書いても、文章がうまくなることはないため、通数はそこまで必要ないので以下の3つを守って書く練習をするのをおすすめします。
- 事前に表題レベルの構成をしっかり練る
- 一生懸命書く
- 次の日に読み返し、おかしいと思うところを書き直す
(以降、書き直したいという気持ちが生まれなくなるまで毎日読み返しと書き直しを行う)
また、添削を使うという方法もありますが、添削を受けるだけで日本語がうまくなるほど、添削は万能ではありません。
個人的には、まずは上記の手順を踏んで「自分なりのきちんとした答案」を作成し、それを添削してもらうというのが良いように思います。
この記事ではいろいろ書いてきましたが、一言でまとめると、
- 自分がどのステップができていないかを把握した上で、そのステップにあった練習をするのが効率的
ということに尽きます。ぜひ鍛えるべき筋肉に焦点を絞ったトレーニングをされることをおすすめします。