『ファンタジー・オン・アイス』
2017神戸公演
最終日に行ってきました。
一昨年、昨年と続いて、この時期の神戸は
なぜか今回も天候が安定せず。
かといって梅雨なのに梅雨らしくはないと
いう不思議（？）。
気温は低めで、場所によってはアイスショー
会場の方が暖かく感じるくらいでした。
まあ、羽生君が出演するショーの前です
から、皆の熱気のせいだったのかも知れ
ませんが。
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開演時間になり、まだ客席周辺をうろうろ
している人が結構いる中、素早く暗転。
オープニングの曲は毎回同じだから、
ひとたび流れ出せばそれだけで胸が
高まる・・・
次々と登場するスケーター達。
プロ、現役交えてそのあまりに豪華すぎる
顔ぶれにクラクラします。
オープニングに登場した羽生君は、とっても
やんちゃな男子感が全開で（笑)！
最近は益々カラダの線がしっかりとしてきた
印象がありますね。
とにかく元気な彼が楽しそうで嬉しそうで、
その場にいる全員が幸せな空気に包まれて
いる気がしました。
彼を取り巻くキラキラしたオーラが周囲に及
ぼす影響力の半端なさを目の当たりにして
ただただ圧倒されます。
華やかでかっこよくて艶っぽくて爽やか。
うつくしさを表現するための、思いつく限り
の形容が全て今の彼に当てはまってしまう、
そんな感覚。でもいずれの言葉も違うよう
な、得も言われぬ感じ・・・
彼を見るといつもそんな気持ちになって
しまう。本当に不思議なひと。
ワタシの感じたかぎり、今回のショーはとに
かく華やかで、どのスケーターも活き活きと
した滑りを見せてくれました。
中でも特に印象に残っている幾つかの演技が
あるのですが、先ずは羽生君の演技を見た印
象を書き留めておこうと思います。
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今シーズンのショート・プログラム、
ショパン『バラード第1番』。
暗闇の中、彼がリンクに飛び出すその
シルエットだけで会場が色めき立つ。
期待と緊張が混在して、もう居ても立って
もいられなくて、どうにかなりそうな気持で
身体中がいっぱいになってしまう・・・
そんなふう。
スタート位置に着きながら聴こえて来る、
すーっという息の音。
曲が始まる直前に、もう一度、息を吐く
深い音。
それが生々しいほどあまりにもはっきりと
聴こえたことに驚いてしまった。
・・・ああ、いつもあの場所に立つ
彼らには、逃げ場所なんてどこにも
なくて、誰もが身を投げ出すような
思いで、氷と音に全てをゆだねて
いるのだろうなあ・・・
と、そんなことを想像する。
瞬間、自分ではないのに
背筋がひやっと感じた。
今の自分の全てを、
目の前の一瞬に掛ける。
そう、いつだって彼らは命懸けなんだ。
第１シーズン、第２シーズン含めて、もう今
まで何度見たか分からない『バラード』の演技。
でもひとたび滑り出すと、
まるで初めてのような鮮烈な体験。
氷上に滲む軌跡を残しながら、少し荒々しく
風を切る姿を見ていて、きっと彼もそんな気
持ちなのだろうなと思った。
でないとこのプログラムを再び演じる意味が
無い気がした。
彼が作り上げようとしている『バラード』は、
きっと今までとは違った世界観を持つもの
だと思う。
なぜなら、羽生結弦という人は新しい世界を
見ることが誰よりも好きだろうから。
彼はそんな自分の強い欲望を叶えることに
躊躇しない。けれど自らの足元を見つめる
ことも決して忘れはしないのだろう。
『バラード第1番』というプログラムは、
彼を最も美しく見せる唯一無二の作品に
なるに違いない。
この豊かで孤独な音楽には、あらゆる感情
が持つあらゆる色彩が閉じ籠められている。
それらが羽生結弦という表現者によって
奏でられ、時に鮮やかに、時に深い陰影を
持って描かれてゆくさまを、
瞬きすら忘れて、ただいつまでも
見ていたいと、そう心から思う。
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