ハーフネルソン・フルネルソン(ほぼネタバレ) | ★ワルプルギスの夜★

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つれづれなるままに・・

ゴズりんの『ハーフネルソン』って映画のタイトル
てっきり、主人公の名前かと思っていたら違ってた

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主人公のダンは歴史の教師で、型に嵌まらない
オリジナルな解釈の授業が人気の教師でありながら
一歩学校を出た生活は、ほぼ薬物に蝕まれている

ストレス解消のクスリの使用は
まだコントロール可能な範囲で
いつかは、人生を建て直せるように考えていたものの
一度ドラッグに溺れた者は気付かぬ内にズルズルと
抜け出せない深みにハマっているのだった

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ある日、彼がコーチをしているバスケットチームの
試合の後、密かにトイレでハイになっているところを
メンバーの一人に目撃されてしまう

取り繕う事も、立ち去る事も出来ないまま
その場を動けずいる彼を黙って介抱した生徒のドレイ

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いつも軽快な口調で、斬新で刺激的な授業を行う
理想の教師の裏の顔を知ってしまった彼女は
どう感じたのだろう?

毎日生徒と対峙する事によって
ギリギリ、小指の先一本で崖の縁に留まっていられる
そんな精神状態のダンが一番知られたくない相手に
最悪の醜態を晒してしまったのだった

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しかし、ドレイもまた、元ドラッグディーラーの兄が
現在収監中と言う、薬物に侵食された状況にあり
ダンの私生活の実態を誰にも暴露する事なく
授業から数日間姿を消していたものの、その後は
いつしか、教師と教え子、男女の関係を越えた
奇妙な友情関係の絆で結ばれていく

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ドレイ役の子が、女子生徒と言うより
少年の様なベビーフェイスと言うところが
この作品をベタな展開に流れさせる事なく
実に好ましい

逆にアンソニー・マッキーがドレイの兄の親友役で
なにくれと無く、彼女の面倒を見ているが
彼もまたドラッグディーラーの一人であり
『ムーンライト』の様な展開を期待していると
終盤裏切られたような、残念な気持ちになってしまう

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また、ポスターや予告動画からの印象で
一度堕落した者が、何かを切っ掛けに力強く再生し
生徒と共に希望に向かって歩み出すと言った作品を
想像していたら大きな間違いだった

人はそんなに劇的に、すぐに変われるものでは無い
しかし、誰かをどん底に引きずり込む原因が
一人の人間だとしたら
また、そこから救い出せるのも
他者との関わりに他ならなかった

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運命の皮肉なのか、ダンとドレイは
それぞれに他の人には一番見せたくない部分を
晒し合う事になってしまう

そこから、更に悲劇的な状況に転げ落ちて行っても
何ら不思議の無いシチュエーションから
二人は、互いの中にある「何か」を見落とす事なく
ゆっくりと、手を貸し合いながら立ち上がろうとする
そんな、微かな兆しが見えるところで物語は幕引きとなる


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血の繋がりや、人種、年齢、性別などを超越して
それぞれが、相手を気遣わずにはいられない関係に
気付けば、じんわりと涙ぐんでいた

ハーフネルソンとは、プロレスなど格闘技で
片腕を羽交い締めにするのがその技の名で

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両腕とも取られるのがフルネルソン

自らの弱い心や不幸な境遇に片腕を押さえ込まれても
ハーフネルソンならば、まだ挽回の余地が有る
そんな意味のタイトルなのだろうか

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<オマケ>
ゴズりんは、単にイケメンと言うだけじゃなく
その表情が、強烈に卑怯な武器なのだ

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『ハーフネルソン』は『ブルーバレンタイン』の
監督の作品だけあって、あのハゲ上がった風貌の
アル中役のゴズりんですら、涙を誘わせたのだから
若く青白い肌のゴズりんが、寝癖だらけの後ろ頭で
クスリ漬けのヨレヨレの落ちぶれ果てた姿でも

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その八の字眉がどれだけ女心をトリコにするか
よーく、分かっていらっしゃる
とりわけ、愛犬・愛猫の喪失感に
打ちひしがれたゴズを誰が見捨てられようか‥

そんな彼は、レプリカントを狩る姿よりも
雨に濡れて鳩を飛ばすシーンの方が想像しやすい

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(麺喰う姿は、キアヌーの方が似合いそうだし‥)

しかし、もし人間以外の女性と恋に落ちる役だとしたら
やはり、ゴズりんの右に出る者は
いないかもしれないな

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