「あそこに見えるコテージでランチをとりましょう」
前の車で、ハネスが4人にかける声が私の耳に届いた。
だが、彼らはランチになど興味を示さず、妻の体を弄ぶことに没頭している。
「奥さん、上手になりましたね、腰使いが」
「そんなこと言わないで、北原さん・・・、あっ・・・、あっ・・・・」
助手席からいつしか後部座席に移動した北原の上で、妻の肢体が前後に動いている。
妻の甘く、短い喘ぎ声が、男たちの興奮を一層高めているようだ。
「奥さん、ほんといい体してますね」
行為を終えた橋口が、更なる欲情を覚えたかのように、妻の胸元に手を伸ばす。
北原と愛し合う妻の唇は、宮野に濃厚に吸われている。
次第に高まる妻の息遣い。
妻の肢体が何度かびくっと震え、その指先を北原の背に食い込ませる。
最後の瞬間まで、妻は宮野とのキスを止めることはなかった。
「ああっ、私・・・・」
「奥さん・・・・」
そして、北原と妻は同時に昇り詰めた。
「皆さん、ビールを用意していますよ」
前方を見つめたまま、ハネスが男たちをなだめるようにもう一度言った。
「サファリの真ん中でビールを用意したのかい?」
橋口がもの欲しげな口調で興味を示した。
「ええ。奥様と一緒の席でお楽しみいただければ」
ダメを押すように、言葉を重ねるハネス。
やるじゃないか、ハネス。
その調子だ。
「おいみんな、奥さんとビールをいただこうじゃないか」
橋口の言葉に、二人はそれぞれ満足げに同意の言葉を口にした。
空には相変わらず雲一つ存在しない。
灼熱の太陽が照りつける大地の向こうに見える、小さなコテージ。
白い土壁が眩しく光るその建物には、小さな階段を使って中に入るようだ。
やがて、2台の車はコテージの前に到着した。
前の車に乗っていた妻、そして3人の男たちはなかなか降りてこない。
夫である私に自分たちの行為を悟られないよう、素早く衣服を整えているんだろう。
あいにく、全てこちらはお見通しなんだが。
私はそんなことをつぶやきながら、前の車から一人降りたハネスのもとに近寄った。
「好きにやってたみたいだな」
「ボス、見てましたか、全部」
「音声もしっかり聞き取れたよ」
「許せませんね、あいつらは」
「まあ、最後のお楽しみだろう、ハネス」
「ええ」
そして、橋口が少しバツが悪そうな表情で姿を見せた。
「橋口さん、どうでしたか、妻は」
「えっ?」
「皆さんと楽しくおしゃべりしてたでしょうか」
「あ、ああ・・・・。いや、奥さん、いい女だねえ、中川君」
「ありがとうございます」
自らの正体をバラしてしまうような橋口の言葉をやり過ごし、私は素直に答えた。
やがて、妻が宮野と一緒に車から降りてきた。
タンクトップにホットパンツというセクシーな服装に、一切乱れはない。
「あなた、皆さん、朝から酔ってらっしゃるみたいで」
「仕方ないさ、佐和子。せっかくの休日だ。引き続きしっかりもてなしてやってくれよ」
「ええ」
3人に交互に抱かれた妻の肉体は、激しい興奮の余韻を示すように火照って見える。
上気したような妻の表情に、夫とは別の男に抱かれた快感が確かに漂っていた。
「さあ、ランチにしましょう」
私たちはコテージに入り、ランチを楽しむことにした。
皆さん、たっぷりとビールを飲んでもらおうか。
冷えたビール瓶が、何本もテーブルに並んでいる。