妻の役割(32) | 夫の知らない妻

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官能小説「他人に抱かれる妻」別館です。

「サファリツアーか。それはいい。是非企画してくれ」

 

私の誘いに、橋口は大いに乗り気なようだ。

 

この日、毎朝の定例ミーティングの後、私は橋口の部屋でとある提案をした。

 

橋口、宮野、北原、そして私たち夫婦の5人。

 

このメンバーで週末にサファリツアーに行きましょう。

 

私はこんな提案を投げてみたのだ。

 

「奥さんも来るのかい?」

 

「ええ。皆さんと行けると聞いて妻もとても喜んでます」

 

「そうか、そうか。奥さんも私たちと一緒に行きたいってか」

 

「はい」

 

満面の笑みを浮かべる好色な上司の顔、予想通りの展開だ。

 

妻が同行すると言えば、彼らが断るはずがない。

 

それは、ハネスが仕掛けた最初の罠だった。

 

勿論、種明かしなどできない。

 

私は穏やかな笑みと共に、上司に説明を続けた。

 

「橋口さんたちはサファリツアーにはもう何度も?」

 

「国立の保護区内のツアーは何回か行ったよ。どれもパッケージの少しばかり退屈なツアーだったけどな」

 

「今回は趣向を少し変えたものを用意しようかと」

 

「ほう。と言うと?」

 

上司の目が光る。

 

ふん。

 

どうせ、妻をまたものにできないかと考えているんだろう。

 

今度ばかりはそうは行かない。

 

「プライベートジープで回ろうかと」

 

「プライベート?」

 

「ありきたりのツアーではなく、普通のツーリストが行かないようなエリアに」

 

私の説明に、橋口は何かを想像するように顔を紅潮させた。

 

上司の興奮を煽り立てるように、私は続けた。

 

「橋口さん、ツアーの途中ではサバンナで休憩場所を用意するつもりです」

 

「休憩場所だって?」

 

再び光る上司の目。

 

これがハネスの用意した更なる罠とは知らずに。

 

「妻と一緒に小さなテントでゆっくりしてもらおうかと」

 

「奥さんと?」

 

「広大なアフリカの大草原の景色を堪能しながら、皆様、たまには妻とくつろいでもらおうかと思いまして」

 

たまには、か。

 

よく言うぜ、俺も。

 

「中川君、いや・・・・、いいじゃないか、それは」

 

興奮を交えた感動の面持ちの上司を前に、私は彼の心の風景を想像した。

 

草原の中、小さなテントで、妻を押し倒し、彼女のすべやかな美脚を押し広げる。

 

橋口さん、いやっ・・・・・・

 

嫌がる妻の服を剥ぎ取り、男を誘う肉体に愛撫を与える。

 

奥さん、この間はあんなに喜んでたじゃないですか・・・・・

 

あっ・・・・・、ああっ、駄目っ、そこは・・・・・・・・・

 

妻の秘密のスポットに吸い付き、溢れ出す蜜をたっぷり吸う自分の姿。

 

やがて妻は、彼に屈するように甘い喘ぎ声を漏らし始める。

 

おおかた、そんなことを想像し、朝から股間を硬くしているに違いない。

 

海外に駐在している身分で、そんな程度のことしか考えようとしない上司。

 

「ボス、罠にはめてやりましょうや、彼らを」

 

ハネス、目論見通りだぜ。

 

私は密かにそうつぶやいた。