「もうこんなになってるじゃないか」
「言わないで、あなた・・・・」
濡れた指先で妻の頬を撫でながら、私は深い困惑をどうにか隠そうとした。
上司たち3人にたっぷりといじめられた妻。
これまで知らなかった刺激を教えられ、妻の肉体は本能に目覚めたかのように牝の悦びを告白していたのだ。
夫に内緒で、そんな風に妻が感じていたなんて・・・・
背徳とも言えそうな妻の敏感な躰が、私をひどく興奮させる。
「佐和子、感じていたのかい、あのレストランで」
「違うわ、あなた。誤解しないで」
「感じていたんだろう、知らない男たちにあんな風にいじめられて」
私は妻を試すように、もっと深く指先を伸ばした。
「いやんっ・・・・」
聞いたことのないようなうっとりとした喘ぎ声を漏らし、肢体を震わせる妻。
「いけない奥さんだ・・・・」
もう我慢できない。
ベッド上で妻を生まれたままの姿にし、私は自身の激しい欲情でそれを貫いた。
「ああんっ!」
室内に響き渡るほどの嬌声を響かせ、妻は歓びの色を全身に浮かべる。
「激しくして、あなた・・・・」
ベッド上で、私たちは獣のように愛し合った。
「あなた、上にさせて・・・・」
行為の途中で、妻はそんな大胆な言葉を私に漏らした。
私の上になり、奔放に快感を求める妻の姿が、ベッドルームの姿見に映っている。
そんな自分の姿を見つめ、妻は興奮を高めているようだ。
「ああっ、いいっ・・・・」
瞳を閉じ、妻はうっとりとした声で何度もそんな告白を漏らした。
私は確信した。
夫に抱かれて感じているんじゃない。
妻は、あの3人にいじめられている自分を想像し、未知の快感に溺れているのだ、と。
瞳を閉じたまま、唇を悩ましげに噛み締め、妖しく肢体をくねらせる妻。
橋口にされ、宮野、北原にも抱かれてしまう自分を想像しているのだろうか・・・。
初めて知る妻の姿は、私を瞬く間に追い込み、あっけなく行為を終わらせた。
「佐和子、すまん・・・・」
明らかに満たされていない様子の妻をそっと抱きしめ、私はそうささやいた。
「いいのよ、あなた。気にしないで・・・」
そして、私たちは眠りについた。
奥さん、ちっとも満足してませんね・・・・
隣の部屋で上司たちが一部始終盗聴していたことを、その時の私は知る由もなかった。