それで思った以上に、この赤エルマー の写りが気に入ったので、当初はバルナック 専用に使うつもりで買ったが、NEX-5Nにもつけてレンズ単体で評価してみた。
・赤エルマーとは?
エルマー50mmは、1930年からライカの標準レンズとしてデビューし、その写りの良さからライカを世界最高のカメラにのしあげ、現在の一番一般的なフィルム規格である135mmフィルムを普及させる初期の原動力となった。
今でもライツレンズの基本中の基本と言われ、ライカ使いであればとにかく1本は持ってないといけないくらいのレンズとされる。
但し、エルマーは古いレンズで個体差も大きいとされ、良い個体を手に入れるのは容易ではなく、マニアになると何本も試して本当に気に入った個体を残すというような苦労もしているようだ。
エルマー50mmでバルナック用になるとLマウントになるが、最後期に作られたのがこの「赤エルマー」になるため、特に評判も高く人気もある。
赤エルマーという呼び名の由来は、被写界深度表示の文字が赤文字で書かれている事に起因する。
・特徴
とにかく小さくて、よく写る、デザインも最高。そして小型のバルナックライカに最も似合うレンズだ。
柔らかい写りと言われる。
・デジカメでの試写評価
パソコン画面で普通に見た限りでは、よく解像している。
前ボケも後ボケも素直でとても自然である。
色のりも悪くない、私の手持ちのズマロンよりも少しよく色がのっている。
ボケ味もズマロンと較べかなり自然である。さらには、ズミクロンのボケよりも自然である。
エルマー | ズマロン |
等倍表示(カメラの分解能レベルに拡大)にしてみると、ズミクロンやビオゴンに比べれば、解像度は悪い。
オリジナル | 等倍 |
近景の解像力は、まずまずだが、遠景になればなるほど解像力は落ちていく。
近景 | 近景等倍 |
遠景 | 遠景等倍 |
参考までにズミクロンで同様の事をしてみると
遠景 | 遠景等倍 |
同年代のズマロンと較べると、解像はズマロン(山崎磨き)のが多少良いようだ、ただ、私のエルマーは現在は多少曇っている状態なので、オーバーホールすれば、ズマロン程度にはなるのではないかと推測できる。
・総評
少なくとも、フィルムで使う限りは、上記のような高い解像力はほぼ無意味である為、バルナックライカのレンズとしてはそのデザイン、コンパクト性、解像度から言って唯一無二のレンズである。
ただし、デジカメで使った場合、風景写真で、遠景解像感や周辺解像力には多少問題がある。
ボケ味に関しては、ズマロンやズミクロンよりも自然であった。
スナップ写真を撮ったり人物写真を撮る目的なら、むしろその柔らかさや自然なボケ味を活かせ最高のレンズとなる。
基本は、バルナック用に付けっぱなしにしようかなとも思ってる。