詩
いま私の願いごとが
かなうならば翼がほしい
この背中に鳥のように
白い翼つけてください
この大空に翼をひろげ
飛んで行きたいよ
悲しみのない自由な空へ
翼はためかせ
行きたい
いま富とか名誉ならば
いらないけど翼がほしい
子どものとき夢みたこと
今も同じ夢に見ている
この大空に翼をひろげ
飛んで行きたいよ
悲しみのない自由な空へ
翼はためかせ
行きたい
詩の考察
詩のご説明は要らないと思いますので、生まれた背景を。
昭和45年(1970)、現三重県志摩市、合歓の郷で行われた「合歓ポピュラーフェスティバル70」で、フォークグループ赤い鳥メンバーに提供するために作られた歌。
翌 昭和46年(1971)にレコードで発表。
その後、芸術教育社から教科書に取り上げられて以来、合唱曲として有名になったもので、今では誰でも歌える愛唱歌となっています。
現実逃避の歌?
「この大空に翼をひろげ飛んで行きたいよ」と歌うのは、現実が悲しいからでしょうか。
2011年、朝日新聞の中の「うたの旅人」に「翼をください」が特集されていて、
「多様に解釈される歌詞だが、山上さんによると、「現実から逃げだすため、翼が欲しいくらい忙しかった私自身の素直な気持ちを書いた」とか。」
とありました。
それを読んで少しがっかり。
私は大人が感じる現実逃避の意味ではなく、青年の頃の誰でもがあこがれる自由への渇望と解釈したかったのですが・・・。
ちなみにこの歌は姉が好きな歌の1つで、姉は癌と長い間闘っていましたから、それこそこの歌のように苦しみから逃れて自由に大空を飛びたい、と思っているのかな、と姉の心を察しては歌いながらこみ上げてきたものです。
ドラマもある
「翼をください」はいくつか同名のドラマだったり映画だったりがあってややこしいのです。
まずは、NHKで1988年に放送されたテレビドラマあり。
他の局では題の後ろにびっくりマークが付いているもの「翼をください!」あり。
外国映画でも同じタイトルのものもあります。
調べていてややこしい限りです。
中身は全部違っていて、NHKのものは、「学校差別」をテーマとしており、大きな反響を生んだとか。
サブタイトルに「進学校だけが学校じゃない、でも “学校はどちら?” とだけは聞かないで!」とあり、学校格差から生じるコンプレックスを乗り越えていく高校生たちを取り上げているようです。
!マークの付いたものは少女が芸能界に入っていく物語、外国の映画は少女同士の愛を描いたものとか、全く違った中身です。
他にも同じ題名の歌があったりして戸惑うことがあり、「翼をください」は歌にドラマに映画にと、ほんとにややこしいことです。
やっぱり歌曲ってすてき
の。