今とっても鈴木亮平推しなので、『孤狼の血 LEVEL2』を観てきました。
暴力的描写は苦手なんですけど、「これは作り物」とスイッチを切り替えられるので、映画は大丈夫。
ただバチバチやってる映画かと思ったら、意外と考えさせる映画でした。
ありきたりですが、虫けらみたいに人を殺してるのは誰なのかっていうテーマはここにもありましたね。
鈴木亮平演じる上林なのか、保身を図る警察組織なのか、あるいは「自分には関係ない世界」と興味を持たない大衆なのか。
上林は心がないかのような悪人ですが、その鎧の中の心を想像させるシーンが数度挿入されます。
リセットするしか立ち直ることなんてできそうにない人生を送ってきた男なんです。
しかも、死にたくても死ねない、「死神に愛された男」。
行くところまで行くしかないんですね。
父親は酒浸りの暴力男。
父を止められず、いつも悲しそうにしているだけの母親。
彼の犯罪は、まず両親殺しから始まります。
しかし彼は、母の目だけをえぐっています。
目玉をえぐるのは、彼の殺し方のアイデンティティーとも言えるのだけど、父だけはえぐっていない。
「合戦における真の慈悲とは、無慈悲になることなのだ」とは、安土往還記における信長のセリフですが、「人殺しにおける真の慈悲」を、彼は与えたのかもしれません。
事故でも弾みでもなく、「真っ当な人殺し」を、彼は遂行したのかも。
大量殺人鬼ですが、猟奇的な人間ではない。
楽しくて人を殺してるんじゃないんです。
憎いから、邪魔だから、裏切られたから殺すんです。
自分以外は利用するものと認識しているサイコパスではない。
子どものころ、残飯を恵んでくれた食堂のおばちゃんにはいまだになついているし、親父さんの復讐をしようという原動力も同じでしょう。
そのくせ、「信頼していたのに裏切りやがって」というようなウェットさもないんですよね。
この犬だけは助けてほしいと懇願して、拷問の上殺された飼い主をあっさり見捨てて、飼い主を殺した男の弟分の手を舐めたシーズー犬に、なんの感情も持っていない。
弟分がそのシーズー犬をかわいがって飼っても、何も言わない。
裏切りに怒りを抱かないということは、信頼や絆に大きな価値を置いていないのでしょう。
「目をえぐってから殺す」と「まず命を奪ってから目をえぐる」の区別もしっかりつけているようでした。
冒頭で早速殺したピアノ教師は、「そんな目で俺を見るな」という理由でまず目玉をつぶしています。
母親に言いたかったセリフなのでしょう。子どもが拗ねるような表情を浮かべて目玉をつぶすんですね。
自分と同じ境遇で育ったチンタは、一発で銃殺してる。
なのに死体の目玉はえぐられていました。
殺してから目玉をえぐり出した人たちについては、「悲しい目」をそこにそのまま置いておくことができなかったのかな。
「すべてを諦めることはすべてを欲すること」
てな言葉も思い出しました。
上林は楽しもうなんて思ってない。自分の決めたことを遂行するだけ。邪魔な者は堅気だろうが極道だろうが、刑事だろうが殺す。
とにかく徹底している。
(東京MERの)喜多見先生そっくりな優しい笑顔が怖いのなんの(笑)
血が苦手な人は観ない方がいいです(笑)
でね、ふと思ったんです。
スクリーンの中の上林は、喜多見先生と同じ笑顔を作ってる。
それなのに、なぜ怖いんだろう?って。
「うん。そうだね。わかるよ、君の気持ち」
上林が浮かべる「優しい表情」はそう言ってるように見えます。
でも観てる私たちは、それが作り笑いだとわかるから怖い。
喜多見先生は本当に「わかるよ」と思って微笑んでいる。
上林は「油断させてやろう」と思って微笑んでいる。
でもそれが同じ表情になるわけです。
ほんとうの「わかるよ」と、嘘の「わかるよ」は別物なの?同じなの?
喜多見先生が見せる笑顔で、上林が絶対見せない笑顔もあります。
たとえば「どうしましたか?大丈夫ですか?あなたの不安を聞かせてください」の笑顔ですね。
なら、相手の気持ちを受け止めるのは、「優しい」なのかな。
確かにそれは優しさと言えると思う。
でもね~……。
映画の中で、そういった笑顔を見せた登場人物がいたんですよ。
でもそれは、相手を油断させて、秘密を探り出すためだったんで、やっぱりこういう笑顔も「作れる」わけですね。
態度だけを見て、「この人は優しいんだ」って思い込むのは危険ですねぇ、やっぱり。
ほんと、優しいっていったい、なんなんだろう?
結局は優しさも「関係性の中」にしかないわけですけど、映画を見ながらむっちゃくちゃ混乱してしまいました(^^ゞ
だから今、東京MERにはまってる人には、「ブルーレイでみなはれ」とお薦めしときたいと思います(笑)
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