桜と並んで愛される春の花と言えば、藤でしょう。
藤は古事記の中で、印象的に登場します。
この神話のヒロインは、絶世の美女・ 伊豆志袁登売(いずしおとめ)。
彼女には求婚者が絶えませんでしたが、特に熱心だったのが、 秋山之下氷壮夫(あきのやましたひおとこ)。
秋山之下氷壮夫はあの手この手で美女の気を引こうとしますが、いつも遭えなく撃沈。
弟の春山之霞壮夫に、
「お前が伊豆志袁登売の愛を得られたら、たくさんの宝物をやるよ」
と言います。
わざわざライバル作るのって、なんの意味があるのでしょう。
ライバルにも失敗させ、「あの人は、誰にもなびかない」と確認したいのでしょうか。
でもその場合、もしライバルが成功したら、すごい傷になりますよね……。
そして実際、春山之霞壮夫は成功するんです。
母親にもらった服と弓矢を身に着けて、伊豆志袁登売に会い、求婚。
そのとき藤は一斉につぼみをつけ、そして花開きます。
あたりには高貴な香りが漂い、さすがの気難しい美女も、陥落。
二人は「結婚」するのでした。
でもこのプロポーズね、伊豆志袁登売が川屋……つまり、トイレに行ったときに行われてるんですよ。
トイレに花の香。
……今は水洗トイレがほとんどなので、「便所臭」って、あんまり実感ない人が多いと思います。
昔は便所といえばクサイものだったんですよ。
そこに、キンモクセイとかバラの香りの消臭剤が置かれてあると、臭いと匂いがミックスして、得も言われぬことになってました。
……便所に藤の花の香……ねぇ(^^ゞ
それはともかく、地味な衣服と弓矢が一斉に藤の花を咲かせるシーンは、映像で見てみたいように思います。
素敵だよね(#^.^#)
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