生徒の成績で教師の給料が決まるアメリカ。評価法に疑問。(ワシントンポスト) | スクラップブック

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教師評価方法が裁判に(ワシントンポスト)
NYの教師「無能」の評価に提訴 (Business Insider)



◆アメリカの教師評価方法
NY州グレートネック公立小学校で4年生を担任する教師レダーマンが「教師評価方法」がナンセンスだとアメリカ教育委員会をを訴えました。

現在LA・NYを含む多くのアメリカの州はVAMと呼ばれる「付加価値法」で教員を評価し、給与・昇進の参考にしています。
具体的には、
「生徒の一年後の点数の増減」をメインに「教員の能力」を順位づけし、4段階評価します。
「優秀(highly effective)」
「有能(effective)」
「要努力(developing)」
「無能(ineffective)」

教師の評価は、LA・NY等の地区では有名誌で公表されてしまいます。

ワシントン州は成績最下位の教師をクビにしました。
(米国教員連盟 教師評価方法)

データ分析のエキスパートは「この教師評価法は信用に値しない」と警鐘を鳴らしています。
「有能」と評価された翌年「無能」と評価されたり、「優秀な教師」と多くの人に慕われる教師が「無能」と評価されるケースが何件も発生しています。
しかしながら、アメリカ教育委員会、NY州はこの評価方法を強く推し進め、「付加価値法」を採用する州は増えています。


◆裁判の経緯
博士号を持ち、熱心な教育研究者としても知られる、小学4年生を教える教師レダーマンさんは2012-13の評価で「有能(effective)]と評価されました。しかし翌年、生徒の成績はほぼ同じだったにもかかわらず、最低ランクの「無能(ineffective)」と評価されました。
皮肉なことに、その年地区から、彼女の生徒の成績が長年、州の平均より上であることを評価し「偉大な記録」「すばらしい教育者」だと表彰されました。

この矛盾は何なのだろう?
この評価法は間違っているのではないか?と裁判を起こしました。

審問ではデータ分析の権威が呼ばれ、「評価を下す正規分布は特異点を含み、特異点の正しい評価・補正法はまだ見つかっていない。」と説明され、原告優勢です。



◆「付加価値法」の欠点
一般に「付加価値法」の欠点として以下のようなことが指摘されています。
  • 生徒数が少ない学校では一人の要素が強い影響力をもつため。
    欠席・転校・転入などが数値を大きく変えてしまう。

  • 生徒の成績は教師の能力以外の外的要因が多く含まれる。

  • アメリカは地区により教育レベルが違いすぎ、配属先で評価に差が出てくる。

  • 前年好成績をだすと翌年の評価が下がりやすい。

単なる評価なら、昨年が良すぎたとか、田舎だから損だなー。で済むのですが、給料等にもかかわるので、たまたま、悪い評価されたー。で笑って済ませることはできません。
(参考資料:
1. 付加価値モデル:生徒の学力向上と、学校および教師の評価 Henry Braun 訳:大澤公一 東京大学院教育学研究科 pdf  
2.東京未来大学 末藤 美津子 アメリカにおける教員評価をめぐる動向(pdf) )
など。

◆感想
ワシントンポストがドラマを見ているかのように州最高裁判所での審問をことこまかに書いています。
「システムに『欠陥』があるのでは?」と尋ねると、
「『欠陥』という言葉を使わないでくれ、ふさわしくない」とシステム擁護者は要求します。
「あぁ、『無能(ineffective)』という言葉の方がふさわしいですね。」
という「切り返し」爆笑しただろうなー。
読んでて面白かったです。



◆今日の面白動画
「かわい・・・助けてーー! やっぱかわいい」
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