【バックナンバー】
【前回までのおさらい】
■ PMに最も必要なのは、リーダーシップである。
■ リーダーの育成が充分に出来ていない企業が多い。
■ しかし、自分に合ったリーダータイプになれば良い。
■ リーダーに求められるのは、結果を出すことである。
■ リーダーを育てるポイントは3つある。
少し間が空いてしまいましたが、今回は実際のIT企業の現場でどのようにリーダーを育てれば良いか?について、考えてみます。
若干前回のおさらいになりますが、リーダーとは結果を出す仕事です。
プロジェクトマネージャとして結果を出すということは、一言で言うとプロジェクトをコントロールするということです。
では、どうやったらプロジェクトをコントロールすることが出来るのでしょうか。
【プロジェクトコントロールの秘訣】
1. 不確定要素を洗い出す
なぜコントロール出来ないかと言うと、不確定要素があるからです。
大抵、スケジュールだけ決まっていて、やることが明確に決まってないことが往々にしてあります。
QCD(Quority, Cost, Delivery term)のバランスがプロジェクトマネジメントでは重要ですので、多くの場合、「納期に間に合うために適切な工数と品質を定義する」のが、PMの仕事の要諦です。
そのためには、不確定要素を課題化し、顧客と1つ1つ「握る」ことが重要です。
それはつまり、課題管理が出来ることです。
課題をどのように解決するかは、QCDにも大きな影響を与えます。
2. 変化を想定した計画を立てる
課題管理と対になるのが、変更管理です。
よくよくユーザーと話してみると、仕様変更をせざるを得ない場面は多々あります。
このブログで何度も強調して書いてますが、仕様変更に対応するためには、最初から変化を想定した計画を立てることが重要です。
そして、仕様変更をする際の基準を明確に定め、要件定義が始まる前にユーザーと「握る」こと。
変化は想定するが、何でもかんでも受け止めはしないことを予め契約やプロジェクト文書にて合意しておきましょう。
3. 問題を早期発見する
問題解決の秘訣は、とにかくなるべく早く問題を発見することです。
早く発見すれば、ゆっくり解決出来ます。
ゆっくり解決出来るということは、あらゆる手段を講じられるということです。
例えば、リリース間際に重大なバグが見つかったら、やることは2つしかありません。
何が何でもかんでも直すまで工数をかけて満足出来る品質になるまで改修するか、納期を重視してある程度の品質で見切るか。
ユーザーにもベンダーにも、インパクトが大きな結果になります。
しかし、早期に発見すれば、当初予定していた工数の中で追加コストをかけずに修正したり、ある程度システムとしての制約事項としてユーザーと整理し、次回の改修のタイミングまで先送りするとか、ある様々な手段を取れます。
だから、とにかく問題を早期に発見出来るような仕組みづくりが重要なのです。
【育て方のポイント】
守破離に分けて、ポイントをまとめました。
1. 【守】PMBOKなどの基礎知識を大量インプット
まずは、基本が大切なので、「プロジェクトマネジメントとは、何をすることか?」という部分を体系的に学ぶことからです。
その場合、やはりPMBOKは無視できません。
PMBOKに関連する教材や書籍と、実際にプロマネとして活躍する方の著書を5~10冊程度読んでもらうと良いでしょう。
ここで重要なのは、「大量インプット」です。
何事も基礎を学ぶ時は、大量インプットをしてマインドマップなどで整理することから始めると、体系的に理解することが出来ます。
多くの企業が失敗するのは、ロクにインプットもせずにOJTと称して現場にブッ込むからです。
この「体系的に理解する」ということが、スポーツ選手で言う基礎体力となり、長く活躍出来る人材の基礎をつくることを、よく理解して頂きたいと思います。
2. 【破】課題管理と変更管理を実践させる
続いては、現場での実践です。
実際にプロマネにアサインして、課題管理と変更管理を試行錯誤してもらいましょう。
ユーザーとの生々しい折衝経験こそが、スキルを蓄積させるために大切な栄養分です。
壁にぶつかった時は、1の基礎に立ち返るようにサポートしながら、自ら結果を出すプロセスを経験してもらうのが重要です。
ここで重要なのは、自ら結果を出すことです。
適度に負荷をかけながら、丸投げではなくしっかり見守りながら、尚且つ手をかけ過ぎずに。
自分の力で結果を出すことが、1つ1つ大きな自信を作り上げていきます。
3. 【離】燃えてるプロジェクトにアサインする
鬼のような選択肢に見えるかも知れませんが、燃えてるプロジェクトには燃える理由があります。
一番力がつくのは、燃えてるプロジェクトの火消しです。
火消しのためには、「あるべき姿」とのギャップを分析し、改善タスクを現場に落とし込む必要があります。
言わば、理論と実践の両方が必要となる立ち位置です。
でも、1、2のステップを踏んできた方なら、必ず乗り越えられるだけの力はあるハズです。
最終的にどこでも通用するPMになるためには、自律的に改善を行える観点と行動力を併せ持つ必要があります。
そのための最終関門だと思って部下を谷底に突き落とす勇気を持ってください!(勿論、部下との信頼関係が前提ですが。。)
優秀なPMを育てることは、なかなか大変なことです。
優秀なPMは、大抵の場合、勝手に育ちます(笑)
そういう意味で、組織的に定量的に育成していく仕組みをつくるのは、SIerの究極のテーマだと思います。
僕自身も、そこまでのコンサル実績はありませんが、今後中長期課題として取り組む価値のあるテーマだと考えており、会社としても追求していきたいと考えております。
また試行錯誤のうちに良い方法を思いついたら、シェアさせて頂きます。
本日も最後までお読み頂き、誠に有り難うございました!
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