研修のスタイルには主にスクール形式とワークショップ形式とがあります。前者は聴講型研修で、後者は参加型研修です。
私が勤めていた学校では、研究授業の後に行う「振り返りの会(省察・リフレクション)」にワークショップ形式を取り入れていました。
★研修授業 振り返りの会の進め方★
※90分コース(120分コース)
①コメントを付箋に書く 10分(10分)
青 色…成果(よかった点)
ピンク色…課題(疑問・問題を感じた点)
※黄色付箋を使う場合…(助言・改善点)
②グループでの話合い 30分(45分)
③グループからの発表 15分(15分)
④全体の話合い 15分(25分)
※司会者が、グループからの発表をもとにテーマを決定し、全体で話し合う。
⑤授業者のまとめ 10分(10分)
※②~④を受けて、授業者が本時の授業の成果と課題をまとめて発表する。
➅研修のまとめ 10分(15分)
※②~⑤を受けて、講師(または校長)が研修での話合いをまとめる話をします。
子供たちに求めている主体的・対話的で深い学びを先生自身が研修の中で実現するためには、ワークショップ形式が望ましいと思います。
企業研修でもワークショップの手法はさかんに導入されています。ただ聞くだけでなく、積極的に対話や作業をすることが求められるので、研修成果がアップします。
スクール形式の研修では、専門家である講師から、専門的な知識を効率的に学ぶことができます。
しかし、ワークショップ形式では、研修を通じて多くを学べるかどうかは、会の進め方や参加者次第です。場合によっては、参加しただけで満足してしまって、十分な学びに結びつかないケースもあります。これがワークショップ形式のデメリットです。
このデメリットを克服するために、講師を招いて、ワークショップの最後に、講義をしてもらうという形をとることが多いです。
1部は講師による講義、2部はワークショップといったプログラムで研修を進めることもあります。
校内研修に「ワールドカフェ方式」を取り入れたこともあります
ワールドカフェ方式の特徴は、少人数の話合いの途中、メンバーをシャッフルするところにあります。
メンバーを入れ替えることで、他のグループの意見をもった新たなメンバーを介して、多くの人の意見が集まってきます。シャッフルを繰り返すごとにこの効果は広がります。
少人数で話しているにも関わらず、多くの人との意見交換や知識の共有が短時間でできると言われています。
★ワールドカフェ方式の進め方★
~評価計画の研修の場合~
➀グループでの話合い(3ラウンド1シャッフル制)
第1R 評価計画をグループで立てる(30分)
・単元計画を拡大したもの(模造紙半分)を用意しておく。
・評価計画を書き込む。
シャッフル(席替え)
世話係1名を残して席を移動。
第2R 新メンバーで語り合う(15分)
・世話係は、訪れた人に第1Rの様子を伝える。
・自分たちのグループと比べたり、関連付けたりしながら語り合う。
第3R 第1Rの席にもどり、考えをまとめる(15分)
②発 表 1グループ2分で発表 (15分)
③まとめ (15分)
日本では、戦前から自主的な教師の学び合いの文化が、教育の質を支えてきました。多くの先生たちが、その自主的な学び合いを通して授業技術や学級経営力を磨いてきました。
この「授業研究」は「lesson study」と呼ばれ、世界的に注目されています。
資質・能力の重視、学習者主体の授業への転換が求められて久しいです。
先生たちは、自分たちの研究的な学びについても、常に省察し、深めていく努力を重ねています。