その問いに対して翔也は頷きながら答える。
「はい、小3からやってます。父さんが教えてくれたんです。」
「小3から…。」
翔也の言葉に美紗貴は驚いた。中学生に上がったばかりで、既に3年も続けていることに。
「なら、打てるよね。見学じゃなくて、一緒に練習しない?その方が西浦さんが見学し易いと思うし。」
智恵子の誘いに翔也は素直に乗ることにし、早速準備にとりかかる。
「西浦さんはバドはやったことないんだよね?まずは、どんな競技なのか良く見ててね。」
美紗貴はバドミントンを本格的にはやったことはない。
が、友達と公園で遊び程度にはやっていたので、智恵子の言葉に疑問を持った。
(競技…普通のバドミントンと違うのかな。ネットのこっちと向こうで羽根を打ち合うんだよね…。)
準備運動が終わった翔也が、ネットを挟んで智恵子と対峙する。
「それじゃ、基礎打ちを始めるね。ドロップ、カット、クリアー、スマッシュ、ヘアピンの流れで、交代しながらやるよ。」
翔也が元気良く応えると、智恵子は球出しをした。
まずはドロップという打ち方の練習が始まり、智恵子が上げた球に対し、翔也は素早く落下地点に入ると綺麗なフォームで優しく打つ。
打った球はネットギリギリを通りながら智恵子の足元に落ちていく。
その球を再び上げる。これを繰り返すのがドロップの基礎打ちなんだと、美紗貴は理解した。
(葉山君も綺麗に打ってる…。私達がやってた遊びとは、やっぱり違うな。)
しばらく続いていたドロップも、翔也がネットにかけてしまい中断した。
「あ、すみません。」
謝る翔也に智恵子は笑いながら応える。
「謝らなくて良いよ。練習なんだからさ。はい、もう一本!」
再び智恵子が球出しをし、ドロップの練習が再開される。
智恵子は打ちながら美紗貴に軽く説明を始めた。
「これがドロップショットね。見ててわかったと思うけど、ネット際に落として相手を前に出すために打つの。」
美紗貴は頷きながら、二人の動きと球の行方を真剣に見守る。
「バドは相手にショットの余裕を無くさせて、自分に有利になるようにゲームを作っていく競技なのね。だから前に落としたり、この後に練習するクリアーとかで後ろに下げさせたり、左右に振ったりと色々なショットを使うんだ。」
美紗貴は持っていた鞄から筆記用具を取り出すと、今の説明をメモした。
まだ基礎打ちという段階ではあるが、二人の動きに美紗貴は惹かれていた。