人妻の家出 | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

仕事帰りの電車の中で人妻の友達からワンコールの着信があった。




こんな時間になんだろう?




とはいえ電車の中なので折り返すことはなかった。





人妻の友達は今は昼間に働いている、そして旦那はプー太郎である。





最寄り駅に到着して僕から折り返す頃には人妻の友達は帰宅して旦那と一緒だろうから今日は電話を掛けるのは止めようと思った。




何よりGW明けで疲れた体をメンズエステで癒す必要がある。




メンズエステには店長同士のネットワークがある。




他のお店でお金を落とすなら友達がやっているお店にして欲しいみたいな感じで紹介されて、3ヶ月に1回しか行かないお店もあるのだ。




そんなたまにしか行かないお店の店長から新しい子が入ったと仕事中に連絡が来た。




メールで新しい子の年齢と可愛いのかを確認した。




33歳で可愛いとのこと。




40過ぎの僕からしたら33歳は小娘である。




で、パーティションで区切られた個室で服を脱いでいると店長と新しい子の会話が聞こえてきた。




声がババアなのだ。




俺より明らかに年上じゃねーかよ。




薄暗いなかで髪で隠して顔を見せないようにする妖怪スタイルだった。




手がババアなのだ。




33歳はそんなシワシワの手じゃない。




ただ、メンズエステはエロとマッサージという二毛作である。




ババアのマッサージは気持ち良かった。




若い頃は焼き肉はカルビ1択みたいな感じだけど年を重ねるとハラミが美味しい。




それと同じで年を重ねるとエロの気持ちよさよりもマッサージの気持ちよさの方が勝つ。




帰宅後にダイエットメニューとしてブロッコリーとモヤシを茹でて、そこにゴマ油とガーリックのドレッシングをかけたヘルシーサラダを作った。




いざ、食べようとすると人妻の友達から着信があった。




とりあえず、特製サラダをかき混ぜながら人妻の友達に電話をした。




「もしもし?○○くん、もう家着いた?」




「うん、どうした?」




「※※※※……」




「え?なんて?何かあったの?」




「家出中(笑)」




「家出!?家出してるの?」




「そーなの(笑)」




「いや、家出って今どこにいるの?」





「○○!!」




なんと、友達は旦那と住む大阪から地元に戻って来ていた。




「○○のどこにいるの?」




「これビジネスホテルなのかな?○○ってところにいるの!」




「マジで!?」




「それで○○くんとご飯でも食べようと思って電話したの!」




なぜだかわからないが、目の前の特製サラダがゴミのように見えてきた(笑)




さっきまでキラキラしてたサラダなのに(笑)





そこから人妻の友達から家出するに至るまでの旦那に対する怒涛の愚痴を聞くことになった。




実は家出はこれで2回目とのこと。




「そうそう、○○くん、私ね、彼氏がいるの!」




「ええええええええええェェェーーーっ!!」




「1回目の家出はその彼氏のところに行ったんだけど……」




なんかわからないけど、ショックだった(笑)




ショックなんだけど友達の話は続くので気持ちを切り替えて話の内容に集中した。




特製サラダはその気持ちの受け皿のようにぐるぐるとドレッシングを満遍なく掻き回されていた。




どうやら働かない旦那の浮気が度を越していたらしい。




話の途中で友達は急に切り出した。




「ダメっ、膀胱が破裂しちゃう!ちょっとトイレ行ってくるからこのまま待ってて!!」




オシッコにしては長い時間が経った。




その間に特製サラダを食べることにした。




嗚呼、ブロッコリーが美味しい。




ヘルシーなのにこの歯応え最高。




3個目のブロッコリーをモグモグしている最中に友達は電話に飛び込んできた。




「ふぅ~大きい方もしちゃった(笑)」




「モグモグ、あのさぁ……」




「いやね、オシッコしたらそのまま出そうになったからさ(笑)」



「ちょっと、もう完全に関西人じゃん!」




「え?」




「そういうの関西人は普通かもしれないけど、こっちはそういうの違うからね」





「そうだっけ?」




家出して離婚する流れになったらしく失うものがないのかもしれない。




1週間はこっちに家出をしているそうなので明日一緒にご飯を食べる約束をして電話を終えた。




友達と会うのは何年ぶりだろうか?




楽しみだねと言うと「ババアになってるよ(笑)」と笑っていた。




「ジジイでしょ?(笑)」とも。




友達が欲しかった。



友達が遠くに行った。



友達とご飯を食べる、ただそれだけことが尊いことなんだと思った。