国際忘年会 | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

職場の忘年会に参加した。



年々規模がスケールダウンしている。



十年前は健康ランドの宴会場を貸し切ってステージの上でカラオケを唄っていたのが懐かしい。



自分の会社の忘年会ではなく、応援に行ってる会社の忘年会なのだが、なぜだか毎年忘年会の会費を取られるのだ。



その頃はまだ社長も現役で現場に出ていたので、応援の僕と社長の二人だけで小さな現場に行ったときに社長から忘年会に誘われたわけでね。



社長「満月満月ちゃん(僕)とこは、忘年会はどこでやってんだ?」



僕「まぁ普通に居酒屋とかでやりますね」



社長「そっかぁ。うちはな、健康ランドでやるんだよ。宴会場を貸し切って!」



僕「マジっすか!?」



社長「そうだよぉ。宴会の前にみんなで温泉に入って、ちゃんと仕事の疲れを取ってから、それから宴会だから」



僕「温泉ですか、それいいっすね!」



社長「満月満月ちゃんも来るか?あん?」



僕「えっ!?いいんですか?行きます!行きます!」



社長「いいよぉ。近くなったら連絡するからよ」



そして、近くなった。



社長「満月満月ちゃん!忘年会、やる日が決まったからさ」



僕「はい!」



社長「そんで、会費は7千円なっ!」



僕「あっ、はい!(えっ、嘘でしょ!?)」



これがガチなんですね。



忘年会の会費が自腹というさ。



サラリーマンみたいに毎月の給料から親睦会費みたいに引かれるスタイルならまだわかるけどさ。



上下関係としてはこっちは下請けというか、応援に行ってるわけでね。



その頃は同世代の若い職人もわんさかいて活気もあったのよ。



1つの現場を納めるごとに1人ずつ辞めていく感じでやってるからダメなんだよね。



一人一殺の覚悟で潰れていった若手たちが大勢いたから、それで結局は残ってるメンバーは50才以上の年寄りばっかりでさ。



今年の忘年会に参加したのも14人くらいで、その半分はハーフの日系三世だもんね。



新宿の鉄板焼の食べ放題で、お客さんもモデルみたいに可愛い女の子が団体で来てて、完全に僕らは場違いなのよ。



年寄り連中のテーブルとは別れてたから、こっちはハーフモデルの打ち上げパーティーを気取ってたけどさ。



もうね、隣の席になった今日が初めて会った日系人の人からも「外国の人ですか?」って言われたからね。



自分でも普段からラテン系のノリに溶け込んでるから違和感ないのよ。



それに今はヒゲが生えてて、僕のヒゲはなぜか昔から茶色いから余計に外国人に見えるらしい。



初めて喋ったハーフの人も別の現場でKさんと一緒だったらしく、彼は最高だと言っていた。



やっぱノリがいい人ってのはラテン系との相性が抜群なんだろね。



俺たちはこうやって毎日楽しくみんなで笑いながら仕事もやるスタイルなんだと。



ストレスはほんといらないよ、と。



年寄りはうるさくても、もうすぐ死んじゃうからね(笑)と。



彼は44才でバツイチだが、今の奥さんは日本人で長男は早稲田大学の建築科に通っているという。



ちなみに彼は社長で職人は10人くらい使ってると。



彼も日本式のパワハラには我慢して我慢してずっと耐えてきたそうだ。



今は現場に外国人の若い子はいっぱいいるだろ?だけど日本人の若い子いるか?いないだろ?と。



彼もそうだけど日系人とはいえメンタルは外国人なので、それをビジネスに切り替えたときには日本人なら相手に気を使って言わないようなことも平気で言えるのだ。



ここの層がこれから業界を席巻するのは間違いない。



日本人でも同じようなスタイルの人はいる。



俺は年上にも思ったことをハッキリ言っちゃいますよタイプだ。



だけど、同じスタイルの場合でも、日本人よりもハーフの人の方が流暢な日本語じゃないことで、どこか可愛げが宿る部分があるので許される傾向はある。



何より日本人みたいな陰湿さが彼らには微塵もない。



でもやっぱ、どこかアホっぽいとこはあるのよ。



お互い様なんだろうけど、ノリでやってる部分ってのは答えがどっちに転ぶかはわからないので、「なにこれ?」みたいなアホなことにもなるんだと思う。



忘年会が終わり地下街を改札を目指して多国籍チームと一緒に歩いていると、やはり食べ過ぎてお腹が痛くなった僕は彼らと別れて途中のトイレに立ち寄った。



暫く格闘したのち無事にトイレから出ると、向こうから地下街で迷子になっていた彼らと再び合流した(笑)



こういうところがとっても可愛いのだ(笑)



僕の乗る地下鉄の改札が先にあったので彼らとは別れた。



そのうちの1人が僕に「チャオ~」と言った。



僕が「チャオ~」と返したら残りの全員から「チャオ~」「チャオ~」「チャオ~」と聞こえた。



ノリだけで言葉を交わしてるけど、チャオって何?(笑)



いつも仕事中にスペイン語を教わる相棒からは「満月満月ちゃん(僕)は頭がいいから外国に行っても大丈夫ね」と言われた。


相棒が日本に来た頃はまだスマホもない時代だったから辞書でひたすら勉強したそうだ。



今ならスマホの翻訳機能に向かって喋れば答えがすぐに出る。



それよりもなによりも、大事なのは“チャオ~”は“まったね~”みたいな雰囲気というノリが必要なのかもしれない。



チャオ~