すると、土曜日の午前中だというのに、僕の携帯が鳴るのです。
誰だろう?と、名前を確認することに。
電話を掛けてきた相手の名前には、同じ名字の人が先に登録してあったので、その人の名前を登録するときに名字の後ろに分かりやすく病名を付け加えていたのだった。
【
![満月](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/250.gif)
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何か困ったことでもあったのかな?と、僕はトイレでウンコをしていたのですが、電話に出たわけです。
これがまぁ、その電話を掛けてきた相手(痛風)さんが昼間っから酒を飲んで酔っ払ってるわけよ。
前日は病院に行くからと16時に早退したわけだけど、翌日の午前中の10時には完全に仕上がってるわけです。
【週休二日制】という罪悪感をシラフでは受け入れることが出来なかったのかもしれません(笑)
いや、限りなく彼はアル中に近いです(笑)
そこから1時間近く正確には53分の長電話になり、最後は保留にされてしまい、待ってるうちに電話は切れました。
この痛風おじさんは日系のハーフで、奥さんと娘さん二人は南米に残して、日本には一人で働きにきているわけです。
昼間っから酒を飲んで酔っ払っているわけですが、本人の説明としては
「昨日は我慢できなくて飲んじゃったんだよォ~」と。
僕には昨日と今日には時差があるのですが、もしかすると痛風おじさんは南米出身なので、日付変更線が日本の真裏だから感覚が違うのかな?
いや、ただのアル中だろ(笑)
そりゃ家族と離れて暮らしていたら寂しいのはわかる。
その寂しさを酒で埋めているのかもしれない。
酔っ払っているのでプライベートなのだが、仕事の愚痴も聞くことになる。
「お前も仕事しろよぉ」と痛風さんから僕は言われたのだった。
おかしいな、僕は仕事はしているはずだけどな。
「お前ぇ、仕事中にぃ、歌唄ったりぃ、指鳴らしたりぃ、ダンスしたりぃ、バカ野郎だよぉ(笑)」と。
そこに心配して電話をくれたのだろうか?
アル中に心配されるのはよっぽどのことなんじゃなかろうか?
「でもぉ、みんな仲良くぅ、やってるからねぇ~」と。
この痛風おじさんも少し頑固なところはあるけれど、よく笑う人なので、そのような空気になるのだと思う。
南国の風が吹くと頑固も踊るので、仕事なんてのは作業指揮者がDJみたいなもんで、全員が乗れるリズムさえあればいいと思う。
日本語とスペイン語で埋まらない部分はお互いにあるけど、なんとかなってしまうことも不安なのかもしれない。
小学生の頃は知ってる言葉も少ないけど、使える言葉も限られてるけど、気持ちを伝えるには向き合うしかない。
それは昼間っから酒を飲んで酔っ払っていても、あの頃の休日と同じように、何して遊ぶかも決めないまま集まって、どこに向かうのかもわからずに自転車をこいで、遊びながら遊んでいたのだ。
普段から片言の日本語を操る相手が酔っ払っているので、日本語とスペイン語の文法という型に酔拳でこられては笑うしかない。
何を喋るかなんて分からないけど、何も決めないまま、ただ電話をして喋るのは、あの頃と同じように遊びながら遊んでいた感覚になる。
絵画を描く画家が芸術性を極める過程で、子供の頃のように下手な絵を求めるようになるのは、キャンバスに公式のような数学的要素ではなく、ただそこに表現の原液を垂らしたいのだと思う。
会話という表現にも同じような流れがあるのなら、それは言語や文法や思想や哲学ではなく、喜怒哀楽の原液を飛ばして喋るという、身体から溢れるリズムに乗せて口と声帯を震わせる遊びになる。
何が言いたいとか、何を伝えたいとか、それを大人の分かる言葉で説明するのなら、それは「愛してるよ」でしかないと僕は思う。