空に憧れて | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

鳥人間コンテストを観ました。



台風の接近により大会は途中で中止になりまして、学生チームの場合は飛行機を飛ばせないまま3年生は引退することになり、後輩たちに向けて泣きながら…



これを説明するのは野暮だよね。



ほんと、貰い泣きしましたよ。



彼らに共感したなんて言ったら、おこがましいくらいだけど、貰い泣きをしましたね。



°・(ノД`)・°・



ごめんなさいね、絵文字の泣く表現もこれがMAXなんで、逆に伝わらないかもしれませんね。



年を重ねるとさ、涙もろくなるって言うけど、それって過去の自分の体験とか経験してきた似たような感情を重ね合わせて共感するから泣けると思うんですよ。



僕の中にも鳥人間のようなシチュエーションの場面があったわけですよ。



記憶の引き出しを探してみても、なかなか見付けられない。



男の場合は泣くことって封印されるべき記憶だとは思うんですよ。



涙を流すなんて男らしくないってあるからね。



納得できないから泣くんだよね。



悔しくてたまらなくてさ。



人生の主翼が折れちゃってますからね。



環境に抗うって難しいことなんですよ。



でもなんだろ、泣ける自分に安心するのは、自分よりも心が先に生きてるような。



心が空を飛んでいる。



動力の心臓は勝手に動いてる。



鼓動する心臓はプロペラのように、その動きは止まってはいない。



心の翼を大きく広げて、風を受けて空を飛ぶ。



五月の空。



甥っ子と眺めた青空。



鯉のぼりを見上げる僕の足元から甥っ子の声がした。



「お月様!」



遥か遠くに見えたのは、小さくて丸い白い月。



月は夜空を照らすときにだけ輝いているのではなく、青空でも月はそこに輝いているのだ。



牽引する飛行機から切り離されたグライダーが弧を描きながら大空をゆっくりと静かに上昇していた。



空には月とグライダーと鯉のぼり。



地面には蟻。



それを小さくなって覗き込む甥っ子のまあるい背中。



兄貴から鯉のぼりを片付けると急に言われて泣いた甥っ子。



現実を教えなきゃダメなんだと語るそんな兄貴にキレた叔父さん。



泣き止まない甥っ子に、鯉のぼりは叔父さんが持って帰ると言った兄嫁。



兄嫁よ、それはそれで何か違うような気がする。