話を最後まで聞かない女 | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

僕には長年付き合っているイカれた彼女がいるんですけどね。



こいつがね、僕の話を聞かないやつなんですよ。



僕の話を最後までちゃんと聞かないわけなんですよ。



こういうことを言うとね、僕の話す内容に説得力がないとか、信憑性がないとか、話が無駄に長いとか、そういうツッコミがあるのはわかりますよ。



僕に問題があると。



全ては僕が悪いと。



たぶん、彼女もこのスタンスなんですよ。



他人とか物事と向き合うときに1番楽なスタンスのやつね。



卑怯者の考え方なんですよ。



まぁ、じゃあ僕に責任があって、僕がもっともっと努力をするべきだと。



僕が変われば彼女も変わるんだと。



なるほど。



ただね、僕はかれこれ、もう16年も付き合ってるんですよ。



わかります?



イカれた彼女が、
僕の話を最後までちゃんと聞かないのは、
その全ての責任と、
悪いのはこの僕だとしても、
僕は諦めてはいないのだよ!!



こうなるわけですね。



こうなると、どうなるか?



いや、別にどうでもいいし、とか、つーか、お前に興味ねえし、とか、勝手にすりゃいいじゃねえの?と。



こうなるわけですな。



ええ。



だったら、最初の俺が悪いみたいなターンは何だったんだ?オイ!!と(笑)



イカれた彼女もこの“ツッコミ風”のタイプなんですよ。



いざとなったら捨て台詞を吐いて逃走するタイプなんですよ。



生きながら死んでるわけなんですよ。



会話の次元が合わないわけなんですよ。



自分に自信がないってことには揺るがない自信があるみたいなんですよ。



それはもう自身の自信の無さには地震が起きても揺るがないだけの自信が自身にはあると自信過剰で自信満々なんですよ。



そういうの要らないから、タイプなんですよ(笑)



こういうことを言うからいけないんでしょうね。



定期的に死にたいとか言うタイプなんですよ。



ポジティブとネガティブで言ったら、ネガティブなんですよ。



じゃあ、ネガティブって何かを最も簡単に説明すると、大喜利が下手くそなんですよ。



答えの出し方が面白くない、ネガティブ大喜利をやってるだけなんですよ。



ただ、それだけのことなんですよ。



僕の話を最後までちゃんと聞かないから悪いんですよ。



究極はそれだけの話なんですよ。



結婚なんてのは死ぬまで相手の話を聞く契約なんですよ。



僕は実家の爺ちゃんと母方の婆ちゃんの最期を看取ってるんですけど、死に様というのは本当に見事でしたよ。



最後の最後まで孫には優しいわけですよ。



僕は独身のままでしたから心配してましたけどね。



父方と母方の爺ちゃん婆ちゃんを僕は独身のままコンプリートしちゃいましたけどね。



それは仕方ないですけどね。



嘘をついても仕方ないわけでね。



生きてる時ならいくらでも嘘はつけますけど、死んだら全部バレるじゃないですか。



そっちの方が辛いじゃないですか。



拝んでも拝み足りないですからね。



そういう死生観というかね。



結局はね、爺ちゃん婆ちゃんにしても、僕の両親にしても、お見合い結婚なんですよ。



こんなもん結婚大喜利じゃないですか(笑)



好きとか嫌いとか、愛してるとか愛してないとか、そんなことを考えてたら僕はこの世界に存在していないわけなんですよ。



死にたいという言葉や感情や表現は楽になりたいってことなのはわかるけどね。



死後の世界って2つあるわけですよ。



あの世とこの世みたいなね。



あの世での物語は死んだ本人にしかわからないですけど、残された側には、この世での死後の世界としての物語は続いてるわけでね。



実家の爺ちゃんの十三回忌と婆ちゃんの一周忌が同じ年だったから、合同でやったんですよ。



爺ちゃん婆ちゃんの兄弟もみんな年寄りだから年に2回も集まるのは大変だからね。



でも、お寺で住職から供養してもらってる時に思ったのよ。



祭壇っていうのかな?



お焼香とか乗せてる机あるじゃないですか。



そこにね、目の前にある祭壇にはね、爺ちゃんと婆ちゃんの遺影が並んでるわけなんですよ。



死後の世界としてあの世での二人の物語と、死後の世界として残された家族や親戚の生きるこの世での二人の物語があるとしてね。



こんなロマンチックなことはないなと。



自分が死んだあとに、その十数年後に連れ添った嫁が死んだとして、たまたま自分の十三回忌と嫁の1周忌の年が重なったとしても、お寺で夫婦の遺影や位牌をそこに並ばせることは亡くなった二人には物理的に不可能なことじゃないですか。



そんなの愛とか絆とかそんなんじゃなくて、面白いことでしかないわけですよ。



こんな話もね、イカれた彼女は興味がないんですよ。



だから何?って言われますからね。



そんなの私と関係ねえからと。



とにかく話を最後まで聞かないわけですよ。



僕は素直に爺ちゃんと婆ちゃんの遺影を眺めながらロマンチックだなぁと思ったんですよ。



お経と木魚をポクポク叩くリズムを聞きながらですけど、そう感じたんですね。



言葉じゃないし、言葉にしないからこそなんですけど、聞かないとか、聞こうとしないのは、感じようとしてないと思うんですよ。



死者の声なんてわかりませんけどね。



だけど、何かを感じるってことは死んでるけど生きてるわけですよ。



何も感じないのは生きてるけど死んでるわけですよ。



そのままなら死ぬ必要もないわけですよ。



知らないよって言うのは簡単なことなんですよ。



諦めないって大変なことで、マジで全てを失うわけですよ。



こっちが死にかけないと聞く耳を持たないわけですよ。



僕を死にそうな状況に追い込んでから、そこで手を差し伸べるスタイルなんですけど、そもそも死にそうな状況に追い込むなと言いたいわけですよ。



その術中の先に笑える答えがあるのかと。



まぁね、女なんでね、自分の都合に合わせたストーリーで話を作り替えるのは得意ですからね。



都合の悪い記憶は消去しますし、証拠なんかないわけですよ。



死者からの視点が欠如してますから嘘をついても何も気にしないわけですよ。



それってのは、面白い視点を1つ失明してるのと同じなんですよ。



私は面白くないが正解だから、知らんがなってなるわけなんですよ。



俺が面白くないは不正解だから、何で面白くないのかを知りたいんですよ。



お金という数字が持つ力が強大なんですよね。



過去にイカれた彼女には50万の金を貸していて、それを2回チャラにしてるわけです。



その頃は僕にも貯金があったから、金で解決する悩みならそれで解消するわけですよ。



自分の彼女が金に困って風俗で働くのは嫌でしたからね。



お金が返せないからと体を売るしかないと歌舞伎を走り回っていたんでね。



甘やかした僕も悪いんでしょうけど、金の悩みは金で解決するからね。



あとは彼女のお金の稼ぎ方だとか社会性の問題ですからね。



引きこもったら終わりですからね。



何とか彼女も正社員になって、頑張って働いてきたわけですけど、彼女の会社や業界そのものが傾いてきたわけですよ。



僕のアドバイスを無視してきた挙げ句、八方塞がりに陥ったその結果として、結婚してやってもいいけど、なんてことをぬかしやがるわけですよ。



今さら僕に転職しろと言うわけですよ。



僕を地獄に落としたやつが今度は人並みに天国を目指せと言い出したわけですよ。



さすがにこっからはキツいだろと。



こいつ俺が地獄でも死ななかったからって何も分かってない。



答えの出し方が収入だというのなら、千載一遇のチャンスがあるのは俺ではなくお前だと言う話も聞こうとはしない。



困ったもんだ。