最強のアート作品の作り方 | 天狗と河童の妖怪漫才

天狗と河童の妖怪漫才

妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

職場のイケメンが趣味で絵を描いてるのは知ってたわけですね。



その作品をイケメンの携帯で見たこともありましたし、実際に自宅にも作品が転がってたんですよ。



僕がその絵を見た感想としては、欲しくはないけど本格的に描いてるなと思ったのよ。



僕は部屋に絵を飾る場所もそういう習慣もないのと、お金を払って絵を欲しいとは思わないわけでね。



まず、あの木に白い布が張ってあるやつあるじゃん、キャンバスっていうの?あれに描いてるわけ。



だから、そういう美大とか絵の専門学校を出てんのかと思ったら独学だって言うわけよ。



独学なら凄いなって思うわけ。



で、あとは著作権とか版権についてコレ大丈夫なの?って思うわけよ。



普段の彼の感覚からするとそういうの知らずに描いてそうだからさ。



ルールに縛られることを嫌うタイプなんでね。



そしたらね、そういう法律の専門家をアドバイザーとしてチームに入れてるらしいのよ。



そういう仲間達と一緒にやってるらしいの。



で、海外?アメリカとかは日本とは逆に著作権をフリーにする制度があるらしいのよ。



いちいち訴える方がダサいみたいな感じで、アート作品としてなら有名なキャラクターとか人物でも問題ないみたいなのね。



表現の自由が認められてるわけだ。



ここをちゃんと押さえてるわけよ。



で、新しく都内の一等地にお洒落な飲食店がオープンすることになって、店のオーナーのコンセプトがアートと音楽の融合した空間を作りたいと。



そんで、その店のアート作品を任されたらしいの。



お店の内装が出来上がる工程から彼の携帯で見てたのよ。



とはいえ、こっちは建設業の職人ですから内装工事に関しては見慣れてるから何とも思わないわけ。



彼の作品も単体では見てるから展示されたイメージはまだわかんないのよ。



で、内装が仕上がって作品が展示されてライトアップされたらさ、それなりのアートに見えるわけですよ!



版権とか著作権をクリアしてる作品として見れるわけ。



お店に飾ってあるわけだからオーナーが買った作品だと思うから、権利問題とかクリアしてると、そんなわけがないと思うし、というか、まず思わないよね。



そもそもの著作権はクリアしてるからね。



営利目的で販売したらアウトらしいのよ。



このグレーゾーンがあるわけ。



ビジネスでも最初はグレーゾーンで荒稼ぎするわけだからね。



孫正義にしても、課金ゲームのガチャにしてもさ、法律のギリギリのところで消費者からぶっこ抜いてきたわけじゃん。



大企業はどこでもやってることだけど、アートの評価や価値ってあるようでないわけじゃん。



だから、アートの空間演出としてオーナーからお金を貰ってるけど、その作品を販売はしてないわけですよ。



もちろん欲しいという客がいたら売ることも可能だけど、そこはグレーゾーンだと思うのよ。



そうこうしてたら作品のモチーフにしてる世界的に有名な会社の人の耳に入ったらしいの(笑)



そこの日本支社みたいなとこの幹部が店に来店することになったと。



日本でそれをアートにしてるやつがいると。



是非その作品を見てみたいと(笑)



もうさ、独学のやつのバズり方だよね。



美大とか出てたらプライドあるから絶対にやらないと思う。



そこで権利関係のオッケーが出たり、作品の買い取りになったら勝ちじゃん。



これにはさすがに彼も少しビビっててさ。



その日も仕事なんだよなぁとか悩んでんの。



他の日も平気で無断欠勤してるだろと。



そこは仕事を休んででも行くべきだと。



ちょっとキャラを作って行った方がいいですよって僕もアドバイスするわけ。



芸術家とかで天才って呼ばれてる人達いますけど、あれ、やりに行ってるとこあると思うんですよ、と。



まず、“芸術は爆発だ”みたいな決め台詞と、やっぱりここはクレイジーなキャラで行かないと相手からナメられるますから、ここはハッタリをかますべきですよ、と。



他人事だからゲラゲラ笑いながら言ったりしてたけどね。



作品のコンセプトとかを真面目に聞かれたら、相手はクレイジーなやつ期待してるわけだから、作者としての回答は普通の感覚じゃ面白くないからね。



そういう狂言回し的な参謀が必要だとは思うけど。



あの裸の大将の山下清も雑誌の取材ではドラマに寄せてわざわざランニングに着替えさせられて写真撮影をしたらしいからさ。



サービス精神もプロとしては必要だからね。



じゅあ、ここは、あえて、二番煎じで行きましょうか?ランニングで、おにぎりを持って…(笑)



もうね、僕らは笑ってるけど本人としては真面目なのよ。



自分の作品がお店に展示されることもないし、ましてや世界中の人が知ってるとこの日本の幹部が自分の作品を見に来ちゃうことないもんね。



たぶんここが一番面白い時期で、起動に乗ったら彼は飽きちゃうタイプだからさ。



仕事が急激に増えたら自分では描かないで指示するだけになるのは他の分野でも同じだからね。



で、それから別の日に彼から「満月満月満月満月って俳優知ってます?」って聞かれたの。



たぶん顔見れば分かると思うんですけど、確か漢字が…



携帯で俳優の顔見たら合ってて、そこまで有名じゃないですけど映画で主演やるクラスの俳優ですよって説明してさ。



その俳優の知り合いが作品を依頼してきたと。



彼をモチーフにした作品を作って欲しいと。



いくら吹っ掛けたんですか?って聞いたら、10万からとは言ったみたいでね。



でも、業界なら1回噛んだら美味しいんじゃないですか?と。



彼の考えでは、業界のプレゼントとしてなら他にない物を渡したいから相手をモチーフにした作品は価値があるかもしれないと。



それに業界の関係者なら権利もそこで特別にクリアになるわけだ。



本人が本人の作品を所有するわけだからさ。



これとか逆に映画が公開される前に営業かける方法もあるじゃん。



映画の告知で色んな番組に出るわけでね。



その中で自宅を撮影する番組もありそうじゃん、そこで作品が画面に見切れるかもしれない、ただ乗りで作品の広告にもなると。



こういうこと考えてる時期が一番楽しいわけよ。



どう転ぶかわからないからね。



彼も言うわけ。



これで儲かったらアシスタントで呼びますからと。



ミニコントやるわけ。



「君はいつまでそんな底辺の仕事をしてるのかな?うちに来なさい」



「マジっすか!?じゃあ、さっそくベレー帽を買ってくるんで、それ領収書を切ってもいいですか?」



「構わないよ(笑)」



「やっぱこういうのは形から入るのが重要だと思うんで、ベレー帽を買ってきますね」



「丸眼鏡も買ってきなさい(笑)」



ピカソが評価されたのは彼の死後だという。



他の有名な芸術家たちも最後は狂って自殺している。



絵が売れようが売れまいが、有名でも無名でも、未来を描いて笑っている瞬間だけは、それが最強のアーティストだと僕は思う。