ウイニングラン | 天狗と河童の妖怪漫才

天狗と河童の妖怪漫才

妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

遂にやりました。



遂にやってやりました。


わたくし、職場のイケメンを笑わせることに成功しました!!(拍手)



いや~苦労したぜ。



声に出して笑わない彼を、吹き出して笑わせることがやっと出来ました。



この笑いに対する執念ね。



何が面白いのか僕もいまいちよくわかんないけど、やさぐれた野良猫がやっと餌を食べてくれたみたいな感動ですね。



僕の中で彼に対して決めてたことがいくつかありましてね。



まず無理してこっちからは合わせない。



彼は繊細で疑り深い性格なのでそういうのは普通の人よりも感じるタイプなのよ。



男よりも圧倒的に女からモテるタイプなんでね。



イケメンなんでね。



でも彼は40才で独身なのよ。



見た目は完全に20代なんだけどさ。



それで髪形とかファッションとか持ち物も同じ男からすると苦手な要素は満載なわけでね。



やっぱり男としてはファッションとかの興味から降りる時期が来るわけ。



経済的な理由とか仕事に軸足を置くから最低限の流行さえ押さえておけばいいなってのが、そういうさじ加減がわかるじゃないですか。



落ち着くってやつね。



そりゃアパレル関係の仕事してたら別よ。



クリエイティブな仕事をしてたらクリエイティブな眼鏡を掛けるのは、そういう仕事だから理解できるけどね。



環境に合わせるようになることが社会人になったら求められるじゃないですか。



もっとわかりやすい説明をすると、彼はいまだに少年ジャンプを買って読んでるのよ。



彼は僕よりも4つ年上ですからね。



終電が間に合わなくて彼のマンションに先輩と2人で泊まりに行った翌朝が日曜日だったのね。



彼のセフレからの電話でみんな起きたんですけど、彼は時間を確認するとワンピースを見逃したことに気が付いて軽く本気で怒ってましたからね(笑)



なぜ、こんなことになってるのかと。



彼がイケメンだからですよ。



歴代の女共が甘やかした結果、このような少年の心を捨てきれない、面倒臭い大人になってしまったわけですよ。



そういう女の悪いところは、彼の見た目で好きになっておきながら、彼のことをちゃんと理解しようとはしないことです。



幸せを求めるからいけないんですよ。



彼は仕事よりもセックスを選ぶ男ですからね。



それを愛されてると勘違いするからいけないんですよ。



いや、もしかしたら愛されてるのかもしれませんけどね。



いかんせん彼は声に出して笑わないタイプなんでね。



愛想笑いも下手ですし、他人の愛想笑いも嫌うタイプなんですよ。



そういうことに関しては、わりと現実主義なんですね。



で、喋る時の距離感が異常に近いのよ。



近い近い近い、ってなるような距離の詰め方で喋ってくるわけなんですよ。



彼は平気で嘘もつきますし、話も盛るわけです。



勘違いや思い込みも激しいわけです。



そういうことも周りの人達からはバレてるわけで、それは彼も自覚してるんですけどね。



過去に何があったのかは知りませんけど、疑う気持ちの方が強いんでしょうかね。



笑いって相手を信じた方が面白いわけですよ。



信頼関係というかさ。



感じてることはみんな大体同じだからさ。



その場の空気とか人間関係のパワーバランスで喋る内容やトーンをチューニングするだけでね。



彼は話を盛る癖があってそれは周りもわかってるわけでね。



怒ってる話で相手の言葉まで盛ってしまうと何に対して怒っているのかが伝わらないわけでね。



僕の話を紹介する時にも彼は怒りながら「満月満月さん(僕)もね、『しらん!!』って言われてブチギレて帰りましたもんね?」ってみんなに言うわけ。



基本的には仕事の愚痴をみんなで休憩中に笑おうの会が開催されてるわけですよ。



そうなると僕としては「いや、満月満月さん(イケメン)ね、最初から怒りのハードルをそこまで上げちゃうとウケる話もウケなくなっちゃうからね(笑)」と。



これにはみんな笑うわけですよ。



僕らの世代的にはダウンタウンが入ってますから笑いのメカニズムですら笑う世代ですからね。



僕がブチギレするにはそれなりの理由がないとおかしいってなるわけですよ。



感情表現にも3段階あるわけでね。



個人と対人と…、2段階か?(笑)



いや、だから、常に頭の片隅に笑いというか素直な感情ってあるじゃない。



相手に合わせたり、自問自答したり、振り切った感情みたいなのがさ。



ほら3つじゃん(笑)



まぁそういう部分では苦労しましたけどね。



たぶん彼に合わせに行ってたら違うのよ。



それは負けに近い笑い。



他人を見下したりバカにした笑いだとか、女を騙してこういうことしたとか、人間の本質として悪の部分はあるけど、それはわかるけども、それよりも善の部分を基盤とした笑いじゃないとバランスがおかしい。



彼の友人とか仲間は詐欺師みたいなのが多いのよ。



そういう環境での笑いに染まるわけでさ。



嘘をつくことさえも肯定するからそれが人間であって、だからそれが本質かと言ったら違うわけじゃん。



それは金儲けとか女を騙すって目的の為の嘘だからね。



笑える嘘ってのは想像力で、そこを目指して思考している瞬間だけは世界は健全でしかないと。



そこの理解というか僕と彼との信頼関係もあるんでしょうけど。



ずっと一緒のエリアで彼と作業をしてましたからね。



彼としては身内の会社ですけど、叔父さんである社長と揉めて辞めるとかまで話が行ってましたからね。



組織としては彼だけに合わせるわけにはいかないし、彼の扱いにはみんな困っていましたから、僕も困りましたけど。



彼は性格も作業も不器用なところがあるのと、プレッシャーに弱い部分もあるんですね。



僕はそれがわかったので彼に対しては怒らないと決めたんですよ。



怒っても仕方ないし、楽しく仕事をしたいんでね。



彼を抱えることで彼が苦手とする作業とか、彼が怒る理由もわかってくるわけでね。



僕も別の先輩達からセンスがないと言われてキレましたけど、これを彼にやったらダメなのよ。



これは絶対にダメなのよ(笑)



僕はキレてもちゃんとやり直したけど、これが彼だったら失敗作を相手に投げ付けてブチギレますからね(笑)



まぁ僕が先にキレてますから誰も彼の失敗に対して文句は言えないわけですよ。



彼は山のように失敗してましたけど(笑)



そんなこともありながら、遂に彼が吹き出して笑ったわけですよ。



彼は変顔とか変な動きとか変な声とか物真似とか動作の笑いを好むけですよ。



彼が先にやったあとに「はい」って言われて僕がやる見たいな流れはあったのよ。



それを彼が見てないで立ち去るパターンとかね。



「見てねーのかよ!!」みたいなツッコミをやるのとかね。



これは彼が主導の笑いですから、相手を動かして笑ってるわけですよ。



こういうのを女にもやらせるらしいのよ。



お互いに全裸の時に女にもこういうのをやらせて、それを携帯で撮影してコレクションしてるらしいの。



たぶんそれを仲間で見せ合っていつも笑ってる感じなんだろうね。



それは動画だから空気が違うから滑るわけで、サービス精神さえも別の意味で笑ってるわけでさ。



笑わせてるを笑ってるというか、安全地帯から笑うみたいなもんじゃん。



脳内で繋がってないというかさ。



悪趣味どうこうの前に笑いとしてそれはどうなのか?って思うわけ。



まぁ動画だから想像力がなくても笑えるわな。



冗談とか面白い返しとかでも、本気でそうは思ってない部分と、本気でそう思ってる部分の割合が信頼関係だとしてね。



間違いなく本気なことは、こいつは常に面白いことしか考えてないんだなってことが相手に伝わってこそなんでしょうね。



瞬間的な返しってのは、その状況は相手が作ってるから準備することの出来ないわけだけど、そこを日常会話や仕事中の会話から破綻させるわけで、そこから次に破綻させることが当たり前になってくることで、1つの限界を超えていくんでしょうかね。



イケメンが苦手な作業を高い場所でしてたんですよ。



たまたま下を通った僕を呼んで手直しを依頼してきたんですね。



寸法が合わないと。



それを僕が合うように直してイケメンに渡したんですよ。



それでも実際に寸法が合うかどうかは合わせてみないとわからんからね。



イケメンは「どれどれ合うかな~」と。



そしたらピッタリ合ったわけよ。



イケメンが「さすがですね~」と誉めるから、僕としては「まぁそれくらい当然ですよね」と、わざとらしくドヤ声とドヤ顔で返したわけですよ。



そんで僕が歩き始めたらイケメンが後ろから言ったのよ。



「ちょっと、どこ行くんですか!」って。



それに対して振り返った僕の答えにイケメンが吹き出して笑った返しがこちらです。



「え?ウイニングランでもしてこようかと思って…」



これの何が面白いのか自分でもよくわかりません(笑)