そんでまたキレる(笑) | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

お前は情緒不安定なのか?と(笑)



いやいやいや、今回はキレたというかね、反論をしたわけですよ。



言っときますけど、僕は我慢強い方だと思います。



溢れ出る僕の我慢汁で女が興奮するレベルの我慢強さですよ。



やっぱ男が我慢汁を垂らして興奮してる姿を見たら女としては自分に自信がつきますもんね。



そういうことじゃなくね、大人としての我慢はしてますよ。



怒り方とか怒るポイントが違うだけでね。



もちろんね、怒られてる時にも相手がなぜ怒っているのかをちゃんと考えてますからね。



僕の為に怒ってくれてるんだと、こっちも社会人1年生じゃないんでね、そういうことも理解しているつもりですよ。



怒られる環境とか叱ってくれる相手は貴重ですからね。



ただね、今回の件に関してはキレたというか、反論をしたんですよ。



納得できないから。



男の嫉妬みたいなことだったからね。



俺の言うことだけを聞けみたいなさ。



僕は男の派閥みたいなのは好きじゃないのよ。



権力争いみたいなものにも興味がない。



自分の興味のある方へ、面白い方へ、好奇心の向かう方へ、これは男なら基本的にはみんな同じだと思うんですよ。



男は猫じゃらしにはじゃれに行ってしまう生き物なんですよ。



この、猫じゃらしが何なのかがみんな違うだけでさ。



“何じゃらし”かによると思うんですよね。



怒られたくないからってのは洗脳されてるのと同じですから、なぜ怒っているのか?と考えるわけです。



怒られながら(笑)



まだ怒られなきゃならんのか?と。



俺もう37だぞと。



信頼されてないのか?と。



何が言いたいのか?と。



その威圧感は必要なのか?と。



もう、この人、何なの?と。



もうこれ女子の気分。



嫁の気持ち。



相手すんの面倒くせぇの(笑)



朝からもうグイグイ来るの。



先輩「俺、前に言ったよね?やろうね?やってね?って、俺ちゃんと言ったよね?何で言われたことをやってないの?」



そりゃ、お前、何かしらやらない理由があったからだろうよ(笑)



でもこっちは年下ですから基本的には先輩を立てなきゃいかんわけよ。



先輩「どうして言われたことをやらないの?」



こっちは10才も年下で長年可愛がって貰っている後輩でもあるし、尊敬する先輩ではあるけども、だからこそ、こっちも奴隷ではないからね。



僕「いや…、そういう言い方をされると困るんですよね…(怒)」



先輩「どうしてそんな感情的になるの?おかしいよね?」



この瞬間に職場全体がマトリックスのように、スローモーションで時が流れる。



先輩の主観と僕の客観が交錯するのである。



まぁとにかくこの先輩は仕事が好きで仕事は出来る。



統率力もあるし名前も売れてる。



職場の上司や先輩たちも全員食ってるから誰も逆らわないし、他の班の人達からも一目置かれる存在でもある。



元請けの社長はもちろんのこと現場で働く他職やその職長、建築の現場監督達や所長まで名前が通るだけの働きをしている。



ただ、この現場でいつもと違うのは、この現場での僕らの班長は別の人なのだ。



作業エリアが変更になった1発目の時に僕は班長に確認したらやらなくていいと言われたからやってないのだ。



それは法律上も問題のない施工なので、施工時間も短縮するし材料費も削減できるので、やらないのだ。



僕「班長に確認したらやらなくていいって言うからやってないっすよ」



先輩「いや、やらなくていいじゃなくて、やろうよ!!やらなくていいわけがないでしょ?」



やらなくていいという指示を無視してまでやるほど僕もアホな子ではない。



班長が施工の法律上のルールとしてもやらなくていいことの説明をしたから納得してやってないのだ。



そして事務所からの直接の指示では全箇所に共通した施工をするようにと言われたのである。



現場の指揮系統は事務所→班長→職人なのだ。



これはこの怒れる先輩から僕は何度も叩き込まれたことでもある。



しかし、この現場での班長はあなたではない。



先輩はこの現場でサブに徹することが出来ていないのだ。



先輩「いや、俺はそんな話は聞いてない、なんでそれをすぐ俺に確認しないの?」



僕「だったら班長を外して下さい」



僕からしたらこの先輩も班長も同じ年上の先輩で世話になった人なのだ。



ただ、僕としては引き下がれない理由がある。



この先輩が班長の現場で仲間が亡くなっている。



この先輩の求める条件はキツいから何人もの後輩が辞めて行って僕だけが残った。



とても見れるわけがない広範囲だとしても任されればやるしかない。



先輩のサブとしての役割を無理して完璧にこなしていたのだ。



確認しとけと言われれば時間的に誰がどう考えても無理な仕事量でも「分かりました」と答えて、全てを逆算してギリギリで回避していたのだ。



仕事が出来る人は運もあると言われているが、運だけで回避したことも多々ある。



もちろん先輩は事務所の人間に対しては「あいつに確認しとけって言ってあるから」と、責任だけは丸投げになる。



そりゃストレスにもなるが、それを笑いに昇華していたのだ。



だからこそ他の班の人達からも僕はいつも笑っている認識だったのだ。



笑っていれば運も運ばれてくると。



そんな自己啓発や心理学なんかは戯れ言だと知ることになった。



僕が先輩のサブから外れて別の現場に配属されたのだ。



そうなるとこれまで僕が抱えていたストレスは誰かが抱えることになる。



先輩は僕にこれまで振っていた仕事量で責任は軽くなるから発言力としては強気なままでいられる。



僕のミスは僕だけのミスで、事務所の図面上のミスを先輩に報告するとそれは先輩の事務所に対する武器になる仕組みだ。



この仕組みが破綻することで先輩のストレスが新たに生まれることになる。



僕が先輩に楽を覚えてさせてしまったことになる。



笑うことで運が引き寄せられるとするならば、全てが逆流した場合には悲運が引き寄せられたのだ。



これは僕にも責任がある。



嫌なら会社なんて辞めちゃえばいいのにアハハって話ではないのだ。



辞めたらどうなるかまで読める優秀なやつだから辞めれないのだ。



辞めなくても配属が変わっても誰かが犠牲になるのだ。



逆らえない空気とは笑えない空気が支配している。



誰も助けてはくれないし、どうすることも出来ないのかもしれない。



戦うことは好きじゃないけど、反論しなくちゃいけないこともある。



反論するにも会話を組み立てながら喋る相手のストーリーに寄せられてしまう。



こっちも折れそうになるが、折れない。



班長が呼ばれて話の流れを説明することに。



ここで班長に裏切られたら話にならないが、班長は年下の先輩から怒鳴られてブルブルと震えながらもちゃんと僕のことを守ってくれた。



もちろん班長がダメな部分も多々ある。



先輩の全てが悪くて全てが良いわけでもない。



無責任でヘラヘラと笑ってる連中の逃げた重みがここに集まってるだけの話なのだ。



なんで無責任でヘラヘラ笑うかと言うと、そういう連中は先輩に負けたからだ。



仕事で戦って負けたのだ。



僕は仕事では戦ってない。



笑いながら仕事をしたいだけなのだ。



ちゃんと全員で笑いたいのだ。



先輩からは悪かったなと謝られたけど、その分だけ班長は叱られていた。



ねじれにねじれている。



この日は日曜日の出勤でもあった。



朝礼で班長が今日のノルマだけを発表したので、僕がそれを残業して終わるまでやるのか定時で帰るのかを確認する発言をしたのも先輩としては面白くなかったのもある。



朝礼で発言すると先輩から狙われることになる。



それでもそれを確認しないと士気が下がる。



班長は定時と答えたが、先輩が「それは事務所に確認してから言うべきことだよね」と班長の立場を消す発言を重ねた。



施工に関しては、事務所の言うことは全て間違ってると思って構わないからと先輩は言う。



先輩の言ってる意味もわからなくはないが、これでは、先輩→事務所→班長の順番になる。



仕事が追われてるから休日出勤なのだが、どうも無駄にピリピリしている。



休憩中の喫煙所で先輩が別の先輩と話をしているのを聞いた。



「今日は娘のバスケの試合なんだよ。応援に行きたかったなぁ」



どうやら娘に対する愛情がねじれて、それが僕らに降りかかっているみたいだ。



なんじゃそら!?