笑い上戸が好き | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

ここ最近ずっと調子が悪かったのよ。



理由はよくわからないけど、なぜか仕事が楽しくないし、こんなこと今までなかったのになぁ…と。



ひょっとしたら鬱か?



これが鬱なのか?と。



ストレスが溜まるばっかりでさ。



イライラしたりとか、頭も痛かったりとか、仕事も辞めようかなとか。



どうしたらいいのかもわからなくてね。



その謎がやっと解けたんですよ。



謎の奇病の原因が遂に解明したんですよ。



ええ。



僕ね、笑ってなかったんですよ。



ゲラゲラと全身が震えるくらいに笑ってなかったんですよ。



何でかな?と思ったら、僕ね、ここ最近ずっと職場のイケメンと一緒に仕事をしてたんですよ。



彼ね、あんまり声出して笑わないタイプなのよね。



こんなことは僕の人生でなかったからね。



静かに滑ってるような、超低空飛行してるような感覚なのよ。



なかなか離陸しないのよ。



いや、これタイヤで滑走路を走ってるよな?
低空飛行でもないよな?
車輪が地面に着いたままだよな?



そんな感じで過ごしてたわけですよ。



で、たまたま喫煙所で別の班の職人さん達と喋ってて分かったのよ。



久しぶりに同じ現場で会ったけど前から仲良くしてる人達でね。



で、まず開口一番で笑いながら言われたのが「だいぶ話の引き出しが貯まってんじゃないの~?(笑)」って。



「聞かせて欲しいなぁ(笑)」って言われるわけ。



でもね、何一つ話せる面白いエピソードがないのよ。



「いや、これがね、本当に引き出しが無いんですよ。僕、最近ちょっと病んでるみたいなんすよ!」



この時点でも自分の自覚症状としては、面白いエピソードがない=それだけストレスとか疲労とかで病んでると思ってるからね。



それでも向こうは言ってくるわけ。



「いつもならどんなにしんどくても笑ってるのにおかしくね?(笑)」



隣の人も頷いて笑ってるわけ。



そんなわけがないと。



この期待された空気の中でようやく僕も、あれ?なんか変だな?と。



この会話の全てを拾ってくれる安心感の中でさえも、だとしたら僕は本格的に滑ってるんじゃないか?と。



横にいるイケメンがその人達に仕事の愚痴をこぼすわけですよ。



僕もそれに頷いてるわけ。



イケメンは仕事が出来るタイプじゃないけど、イケメンの性格からしたら怒るのもわからなくはないと。



イケメンの話が終わった瞬間に思ったのよ。



あれ?



なんか、クソつまんねえな(笑)と。



これ、ただの仕事の愚痴じゃん(笑)と。



で、聞いてた人達も真面目に答えてくれるわけ。



どんどん仕事量が増える一方で、毎日残業ばっかりで、さすがに嫌になるってイケメンが言ったからね。



そしたら聞いてた人が「ストッパーが居ないんだね」って言ったのよ。



この瞬間に僕は“行ける”と思ったのよ。



ゴールが見えたのよ。



やっぱりね面白い人ってのは会話にフックを作るのよ。



普通に“止める人”が居ないんだね、とは言わないのよ。



重い言葉をチョイスしないわけ。



で、そこには“ストッパー”に変換して表現した意図が優しさでもあるわけよ。



“止める人”と“ストッパー”だとニュアンスが違うわけ。



“止める人”
誰なの?みたいに、人物として確定するから犯人探しをするようなネガティブな感じになるのよ。



“ストッパー”
役割とかポジションみたいに、得意なイメージでポジティブな感じになるわけ。



でだ、ストッパーって優しい言葉を使うってことは、逆に犯人をボカしてあげてる訳で、それはそれでバックアタックのトスを上げてることにもなるわけですよ。



でもこの段階では犯人はまだ特定されてないからバックアタックは決まらないぞと。



それよりも“ストッパー”で転がせるなと。



我々の建築業界での“ストッパー”には2つの意味があるわけですね。



世間一般でのスポーツ等のポジションとしての“ストッパー”と、我々の業界だと輪止め、タイヤ止め、クサビ、【⊿】←こんな3角形のやつで転がり防止に使う“ストッパー”があるわけです。


このストッパーは現場のルールとしてやらないとマジで危ないのと、やってないのを見付かると怒られたり、最悪の場合は連帯責任で全員で反省会をやることになる。



で、最初の話に戻る。



僕にはゴールが見えたと。



「ストッパーが居ないんだね」



これは“行ける”と。



「そうなんすよ、ちゃんとしたストッパーがいないんすよ。ストッパー(⊿)かと思ったら、カマボコみたいな形してんすよ」



(めっちゃウケた♪)
( ´艸`)



「これ止まんねえだろ?って(笑)カマボコじゃねえかって(笑)しかも乗り越えたらちょっと加速しますからね」



これには言ってる僕もゲラゲラ笑ってたんですよ。



気が付いたらめちゃくちゃ笑っててね。



みんなで腹抱えて笑っててさ。



で、横にいるイケメンを見たらiPhoneいじってて顔スーンだよ(笑)



笑わんのかーい!



いやいや、現場にカマボコ落ちてたら笑うでしょ?



ストッパーないけど、やらないで怒られるよりはいいかって、カマボコ挟む職人の姿は笑うでしょ?



というか、ストッパーにもなれなくてカマボコに例えた人は誰のこと言っての?っていう見立てが利いてるよね?



カマボコっていう濁音が面白いよね?



笑おうぜ!!



これで分かったのがさ、よく女の子が好みの男として笑いのツボが合う人って言うじゃんか。



僕にはあれの意味がわからなかったのよ。



そもそも笑いのツボが合わない男を知らないからさ。



下ネタを嫌うオタクでも我慢出来なくなると歯を食いしばって笑うからね。



基本的に男はみんな笑い上戸なんだけどね。



イケメンと今まで距離が空いてたのもこういう会話に参加しないで彼は独りでスマホをいじってるから分からなかったのよ。



これが彼氏とか旦那だったらと思うとノイローゼになるかもしんない。



でもイケメンが人見知りかというと違うからね。



やっぱ笑いのツボが違うというか、面白いが違うんだろね。



イケメンはねぇ、僕と2人だけの時に変顔とかを試してくるタイプなのよ(汗)



で、真似してって言うの。



うん。



ノイローゼなるわ(笑)



突っ込んでくれないとか、被せてくれないとか、変顔にノッてもスカすのワンパターンなのよ。



とりあえず病んでる原因が解明できたので安心しました。