天才の頭の中2 | 天狗と河童の妖怪漫才

天狗と河童の妖怪漫才

妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

引き続きアルチンボルド展の感想を書きますけどね。



僕がビックリしたのは、美術館に足を運ぶ女性ってのは品があるんですよ。



普通に生活してたら出会わないタイプの女性なんですね。



並んで少しずつ横にゆっくりゆっくり移動しながら観賞するんですけど、誰も文句とか言わないんですよ。



展示されている絵から何かを読み取ろうという感性が豊かな人たちが集まってますから、並ぶことのストレスや怒りが愚痴とかではなく空間との調和というか初対面での協調性みたいな空気がそこにはあるわけです。



僕が驚いたのは、綺麗な関西弁ってのを生まれて初めて聞いたんですよ。



関西から親子で上野まで観賞しに来たんでしょうね。



最初に小さな女の子が魚類で顔を描いた作品を見ながら言ったんですよ。



「カエルもおるで!」と。



これは汚い声だったのよ。



関西の子供らしい汚い声です。



ガラガラ声で「カエルもおるで!」ってお母さんに言ったんですよ。



よく見ると色んな種類の魚とか水辺の動物たちが集合して、それが人間の横顔になってますから、女の子はその中からカエルを発見したんでしょうね。



そしたら、そのお母さんが綺麗な声で言ったのよ。



「ほんまや~」ってさ。



こんな爽やかで透き通るようなガラス細工のように美しい関西弁を僕は生まれてから1度も聞いたことがなかった。



これは僕たち関東の人間が知っているオカンの声ではない。



そもそも関西のオカンにはアルチンボルドのようなデザインや構図のセンスはない。



百獣の王の顔面をそのままプリントした、ど根性ライオンみたいなTシャツを着ている。



声の性質が全く違うのだ。



関東に流れてくる関西弁の女というのは本質的に声が汚い。



酒焼けした声というか、ソース焼けした声というかね。



熱々のたこ焼きで声帯を火傷したような声をしてるじゃないですか。



全然違うからね。



「ほんまや~」って風鈴の音色みたいな声だったからね。



ほんとイヤホンしてなくて正解だったなと。



もう耳から離れないのよ。



「ほんまや~」って声が脳内でヘビロテしてるのよ。



めっちゃ癒されるやん。


素敵やん。



関西にもああいう素敵な女性がいたんですね。



もうさ、声を聴いただけでわかるよね。



下着の色は白だよね。



上下セットの白だよね。


いや~、それにしてもあんな上品な関西弁があるとは知らなかったな。



娘「カエルもおるで!」



母「ほんまや~」



娘の声の物真似は出来るけど母親の「ほんまや~」が上手に再現できないのよ。



この心地よさって何なんだろね。



あれかな?関西弁じゃなくて京都なのかな?



狙ってる声じゃなくて、抜けた声なのよ。



なんつーの、子供に言われたカエルを探して、それを見付けた時に上げた声が母親でありながらも少女に戻ってるようなね。



これ100点ですよ。



こういうことなんですよ。



カエルを見付けただけで喜べるんですよ。



この人だったら僕がイヤホンを借りようとしても「イヤホンや~」って



いや、違うな、これは失敗だった。



ただのアホな女になってしまった。



他の声を知らないから無理やり当てはめてしまった。



そもそもイヤホンしたら声が聞こえないからね。



心の美しさが声となって奏でてしまってる感じがとっても素敵な女性だなって思うわけです。



人妻だろうと関係ないからね。



逆にそれがいいよね。



お好み焼きの上で鰹節がまるで踊ってるみたいだねって言ったら…



「ほんまや~」



いや、これも何か違うな。



段々正解の声が遠くなってきたな。



というか、アルチンボルド関係なくなってきたね。



つづく