不動産教室2 | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

もうね、不動産屋の営業マンの彼とは、かれこれ4回も会ってるのよ。



もう先生と呼ぼうと思ってさ。



“動産”と“不動産”の違いから丁寧に教えてくれるわけですよ。



今現在、僕が住んでいるアパートを大家さんが建てた時に支払った、つまりアパートを買った時の原価計算からするわけ。



それを部屋数で割って、一戸辺りの金額を割り出すわけですよ。



僕の借りてる部屋に対して、大家さんが1ヶ月でいくら売り上げれば費用を回収できるのかと。



大家さんが銀行から借り入れした金額やその金利を計算すると、1ヶ月で実質的な部屋の家賃がいくらになるかと。



そうすると僕が毎月支払っている家賃の半分以下で大家さんはローンの返済をしていると。



僕の払っている家賃の残り半分以上は大家さんの収入になっていると、先生は僕に説明をしてくれるわけです。



僕が毎月大家さんのローンも払って、更にお小遣いまであげていることになると。



僕が汗をかいて働いて稼いだお金を大家さんは何もせずに受け取っていると。



部屋に住んでいるだけで大家さんは何も労働をせずにお金を儲けていると。



満月満月さん(僕)ならこの部屋を幾らで買いますか?」と。



借りているアパートの部屋を“買う”という発想が僕にはなかった。



敷金礼金なども含めて、江戸時代からの名残で現在のような賃貸の仕組みになっているが、実際には“大家が部屋を貸している”のではなく“部屋を借りてあげている”という考え方が正しいと。



なるほど。



アパートは短期で借りるものなんですと。



アパートに長く住んでいる人は、お金持ちの人なんですと。



お金というのは使う為のものなんですと。



もうね、この辺になると当たり前のことを言われても何か凄いことを言われてるような気がするのよ。



僕が毎月支払ってる家賃でも買える物件があると。



それはいずれ僕の資産になると。



僕の物になると。



それが不動産だと。



不動産とはローンを払い続けるだけの物ではないと。



価値が上がれば買った値段よりも高く売ることも出来ると。



自分がそこに住まずに他人に貸すことで、家賃収入からローンの返済もお小遣いまで貰うことも出来ると。



いや、でも、それだったらみんなやりますよね?



サラリーマンの人とか、…というか、日本国民の全員がやりますよね?



賢い人は皆さんやられてますね、と。



でも世の中には100%ってことはないじゃないですか?当然リスクはありますから誰もやらないんですよと。



こんな言い方はしたくないですけど、そこが勝ち組と負け組の違いなんですよ、と。



チキンかどうかってことなんですよ、と。



え?何ですか?



“チキン”かどうかの違いなんですよ、と。



(チキン、つまりニワトリで腰抜けってことなんかな?僕の記憶だとバックトゥザフューチャーの字幕で読んだとき以来のダサい表現だけど…)



僕はマンションを自宅とは別に2つ持ってるんですよ、と。



2つとも貸してるので毎月給料とは別に家賃収入があるわけです、言葉は悪いですけど僕はその2つのマンションのことを“貯金箱”って呼んでます(笑)と。



僕が寝ていても貸してるマンションは稼働しているわけです、と。



ホリエモンが言ってたんですけど、ホリエモンの人間性は別にして、ホリエモンと何とか翼って人が話してたんですけどね…と。




(ホリエモンと誰の話なんだ?そこが重要なんじゃないのか?何とか翼って、キャプテンか大空か今井くらいだろ…)



人間が一人で稼げる金額には限界があると、残業したとしても1日は24時間しかないと、だけど自分以外の物を使えばもっと稼げるんだ、という話をしてたんですね、と。



僕の貯金箱は僕が寝ている間もお金が入ってくるんですよ、僕が何もしてなくても向こうは勝手に稼働してくれているわけです、と。



もちろん僕もローンは残ってます、借金はあります、と。



僕、実は8000万の借金があるんですよ、と。



でも、僕は何も怖くない、何の心配いらないんです、と。



両手をひろげてアピールしてくるわけよ。



保険にも入ってますから、僕がガンになったら借金はその時点でゼロになります、僕が死んでもゼロになります、家族には一切迷惑はかからない、しかも僕のマンションは資産として家族の物になるんです、と。



8000万の借金が出来ることは、僕にはそれだけの信用があるんです、と。



1000万の借金だったらどうします?なんとか頑張って返そうと思いますよね?8000万の借金となると1億も変わらないんですよ、10億も100億も同じ感覚なんです、普通に働いてたら絶対に返せない金額なんです、でも返せなかったからって殺される訳じゃないんです、カイジとか、カイジって漫画知ってます?あんなことにはならないんですよ(笑)ヤミ金何とかくんみたいなことにはならないんですよ(笑)自己破産するだけなんです、自己破産したからってそれで警察に捕まるわけじゃないんですよ、信用が回復すればまたお金は借りれるんです、それで終わるわけじゃないんです、と。



先生からするとカイジもギャグ漫画になるんだろうね。



どうして他の人達がリスクを取らないか、わかりますか?これは学校教育に問題があるんです、みんな同じ時間に集まって同じ教室で同じ机でって、みんなと全て同じようになるように教育をされているんです、だからリスクがあることは誰もしたくないんです、と。



なぜ満月満月さん(僕)にだけこういうことを教えているか、他の人達というのは僕の話を聞こうともしません、普通の人は話すら聞かないんです、だから誰も知らないんですよ、と。



僕もその辺にいるような人だったらこんな話はしてません、話すだけ無駄じゃないですか、満月満月さん(僕)だからこうやって話をしているんです、と。



僕に物件を買わせたい目的なのはわかるけど、先生の言ってる内容は何となくだけど理解はできる。



学校の教室にはリスクが内包されてる。



みんなと同じでなければならない空気は確かに存在していた。



僕はそんな教室から脱け出して大問題になったり、隣のクラスの全員に謝罪したりと、結果的には学校教育でのリスク側の立場やその結末というのを知っている。



ずっとバカだったわけだけど。



身元もよくわからない不動産屋の怪しい男を部屋に招き入れて話を聞いている時点で、どうやらバカは治ってないらしい。



普通の人達は話すら聞かないという怪しい不動産屋の男からの話を僕は聞いている。



話を聞くリスクを背負った結果になったわけだ。



いや、いつも結果的にこうなっただけだ。



リスクを背負うとは思ってない。



アパートの部屋にいきなり訪問してきた女の子の二人組と仲良くなった結果がこれだ。



いや、それも普通にアンケート調査に答えるだけで終わるはずなのだ。



でも、こうなった理由というのは僕の中では普通のように感じる。



頭の中を少しずつ整理していきたい。



話の途中で先生がトイレを貸して下さいと言ってきた。



先生は僕が出したペットボトルのお茶を飲んでいたのでトイレが近くなったのだろう。



だけど自分の部屋のトイレを男が使うのは気持ちが悪い。



先生、頼むから座ってしてくれと。



立ちションだけは勘弁してくれと。



男にトイレを貸すのは、とんでもないリスクだなと。



先生はトイレから出てきてこう言った。



「トイレめちゃめちゃ綺麗じゃないですか!もしかしてA型ですか?」



(……男同士が部屋に2人きりの状況で『何型に見えますか?』をやるのはリスクでしかない。)



「…A型です」



「やっぱり!」



…叶うなら女の先生とチェンジして欲しいと思った。



続く