不動産教室3 | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

僕は建設業の職人なわけですよ。



建物を作る側だよね。



で、不動産屋の先生ってのは、その出来上がった建物を売る側の人なわけでさ。



労働内容としては対極だけど繋がっているわけだよね。



売る人がいるから作る人もいるわけだ。



作る人がいるから売る人もいるわけだよね。



えーとですね、高卒の頭で考えるとこういうことになるわけですよ。



同じような関係性なのに、建設業の職人と不動産屋の営業マンの収入がこんなにも違うというのはなぜなの?と。



そんなこと考えたこともなかったですけどね。



先生から色々と難しい話を聞いて、頭パッカーンなりましたからね。



とはいえ先生という存在に対して反抗的になるのが、高卒という愚かな層でありまして。



先生の言葉を借りるなら負け組というわけですけどね。



リスクを取らないから負け組なんだと先生は言うわけですよ。



だけどね、負け組の中には先生に逆らうというリスクを選んだ結果こうなった連中もいるわけですよ。



何のメリットもないリスクという世界も存在するわけですよ。



つまり、バカってやつですね。



バカが単純に考えると、作る人と売る人がいるわけですけど。



買う人も当然いるわけですよ。



それで、作る人が買う人に直接売れば、売る人はいらないと思うんですよ。



売る人が手にするはずの財産を作る人と買う人で分け合うことになると思うんですよ。



ひょっとして、先生って邪魔なんじゃねえの?って高卒のやつは単純に考えてしまうわけです。



作るのやーめたっ!って言ったら共倒れする関係だと思うんですよ。



それなのに、なんで俺達は命を落とさなきゃいけないの?



死ぬリスクを背負って仕事をしているのに、どうして俺達が負け組になるんだよ。



そうなりたくはないから僕たち私たちは、ちゃんと勉強をして努力をしてきましたというのは、本当の意味で正解なのか?



誰かがやらなきゃいけないわけだ。



死にたくなかったら勉強しろよって、何かおかしくないか?



義務教育で勉強が出来る環境は恵まれてるし、そこは平等なんだから学生時代に努力をしなかった結果だと。



今からでも遅くはない。



いや、遅せぇよ!!



もっと早く教えろよ。



大学出るだけの頭があるのに、そりゃねえだろ。



ちっとも優しくねえな。



優しさのスケールが中卒以下だな。



バカには優しくするメリットがないからだろ。



手頃なサイズの言い訳が欲しいだけだろ?



勝ち組の誰々がこう言ってたって話をするけどさ、負け組のやつらも何かしら言ってるのよ。



負け組の完全に間違った人生哲学みたいなのもあるわけだよ。



お金にならないから誰も聞こうとはしないけどさ。



だけどさ、先生が教えてくれなきゃ知らなかったことばっかりなんだよね。



金利とか割合って、よくわかんないのよ。



買い物するときの何割引とかも正確なイメージが出来ないのよ。



何%OFFとかも正直なところ、いまいちピンと来てないのよ。



50%OFFが半額なのはわかるけど、だったら半額って書けよと思うのよ。



何円引きって書いてくれよっていつも思うの。



そこに関してはさすがに先生も呆れてて算数から教えてはくれなかったね。



実家の家族からも「なんでそんなこともわかんねえんだ」って、よく言われてたんだけど、難しくない?



先生は喋りながら同時に頭で計算もするのよ。



先生は左利きなんだけど、喋りながら左手で紙に数字を書きつつ頭でも同時に計算をしてるわけよ。



僕に教えながら紙に書き出していくのよ。



そんで右手は電卓を使って総合的な計算をしてるわけ。



電卓は機械だから入力する指先だけを動かしてる感覚なのかな?



先生の頭の中での計算は紙に書き出してるやつで、電卓を使うときの動作では頭の中で電卓と同じ公式の計算はしてないというかさ。



それを喋りながら同時に頭を使い分けてるわけ。



なんかさ、頭の構造が違うんだろね。



そもそも頭の使い方が賢いって感じなのよ。



だから先生には悪いけど、それで出た最終的な答えの数字を見せられても正直、いまいちピンと来てないのよ。



答えが正解なんだけど理解できてないから先生の間違いを指摘出来ないのよ。



本当はもっと感動するくらいの答えなのに僕がバカ過ぎて数字を捉えきれてないわけ。



これはもう手遅れなんだと思う。



初心に帰るって難しいわけじゃん。



「なんでそんなこともわかんねえんだ」ってことになるからね。



教える側も教わる側も初心に戻るのは難しいわけだよ。



だってバカに教えるのって時間の無駄じゃん。



でも計算とか数字の魅力ってそういうことでしょ。



時間も数字だからさ。



自分の人生の限られた時間をバカに教えることで消費する損失の割合も頭に浮かぶわけじゃん。



そうなのよ。



僕はあれからずっと頭パッカーンなってるわけ。



言葉の意味とかもなんか考えるわけ。



リスクとかも大体の意味や感覚だけで使ってるけど、本当の意味ってなんだろ?ってさ。



大卒と高卒の違いってなんだろ?とかさ。



このまま先生の言う通りにマンションを購入しても本当にいいのだろうか?とかね。



そんな嘘みたいな話があるのだろうか?



先生は僕の抱えてる借金をチャラにして更には引っ越し費用も現金で渡すと言うのだ。



そこから更に翌月には国から給付金が30万くらい貰えるというのだ。



確定申告の控除額を月額で割り出すと更に生活は安定すると言うのだ。



そんなミラクルあんのかよ?



でも僕の借金は2000万に増えることになる。



やっぱこれ騙されてんじゃねえか?



純粋に冷静に先生を疑う視点でもう一度、部屋に招き入れたときの記憶から会話の流れを思い返そうと思う。



続く