そうなると眠れなくなるわけですよ。
誰にこれを喋ったらいいのかもわからないくらい頭が整理できなくなるわけですよ。
オナニーすらやる気が起きないというね。
真面目になっちゃうわけですよ。
このままではいかんと、翌日は迎え酒ならぬ迎えオナニーを無理矢理したら気絶するようにいつの間にやら眠りに落ちてました。
自分の現在地がわからなくなる感覚なんですよ。
こういうことを考える人がいるんだなってショックもあるんだけど、泣くに泣けないわけでね。
営業マンだから口が上手いのはわかるけど、ここまでバランス感覚あるやつは初めて出会った。
そもそも生活圏が違うから出会うことがないわけだけどさ。
矛盾してることって単純に笑うじゃん。
彼は笑わないわけ。
全てに理屈があるわけ。
残酷バージョンの理屈が矛盾を笑いを食い殺していくわけ。
どの角度からでも打ち返してくるわけ。
シュミレーションが完璧というか、そこには何かしらの軸があるとしか思えないの。
子供の頃の虫を殺せるピュアさってあるじゃん。
それを理屈で説明してくるような感覚というかさ。
部屋で二人きりだから余計にそうなるわけよ。
横にAちゃんでもいたら笑わせることはできるからね。
ピュアさを笑いで増幅させることが出来れば楽しい空気の下ではみんな平等になるわけでさ。
もちろんそこも潰してくるわけよ。
彼が言うには、うちの彼女(Aちゃん)も仕事でずっと悩んでたと。
こっちとしてはそういう話は聞きたくないわけ。
ようするに彼女の悩みを利用してるわけよ。
たぶん、俺のことを客として分析してんだろね。
情に弱いとか女に弱いってところを攻略してくるわけよ。
訪問先で冷たくされたり、酷いこと言われたり、セクハラみたいなこともされたりして仕事を辞めようとしてたと。
そういう時に、
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その部下に対するお礼と言ったらあれですけど…、 こういうお話をさせて頂くのも
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……。
(なんだこの真面目な話は?)と。
仕事を辞めたいなら辞めたらいいのよ。
恋愛相談とかバカ話をしてただけだからさ。
手頃なサイズのいい話にすんなと。
なんか俺のせいで結果的にAちゃんが仕事を辞めないで、つまり俺が頑張らせちゃってる話にするなと。
そもそも俺はAちゃんよりSちゃんのが気になってたと。
そういう悩みとか真面目な話を聞いたらちょっかい出せないだろと。
お前のやってることは完全に逆アシストだからなと。
でも、賢いわけよ。
仕事で悩まない人間なんていないからさ。
そこだけは真実じゃん。
こっちが黙って彼の話を聞く流れになるわけよ。
それがいつの間にか仕事の話になってるわけ。
それと、その話を俺が聞くことで、隣にAちゃんがいても笑えない空気の下地も出来てるわけよ。
仕事で悩んで落ち込んでるけどそれを表に出さずに頑張ってる彼女を笑わせようと頑張ってくれていますね、という視点が笑いの邪魔になるわけよ。
この野郎は面白いやつの殺し方も熟知してやがるわけよ。
だけど、こいつが賢いのは間違いないわけ。
僕が知らないことを知ってるからね。
そういう世の中の仕組みだとか、不動産とか金融のカラクリだとか手の内も晒してくるわけ。
こっちは頭パッカーンなるわけよ。
周りにこういうやつが居ないからさ。
わかんないのよ。
こういう知識がある人達がどうやってバランスを保って生きているのかがさ。
心の闇とかそういうのとも違うわけよ。
明確な軸があるように感じるからさ。
それが愛とか笑いじゃないとしたら、お金なんだと思うけど。
この軸足があるから回転する速さの会話なのよ。
どんな角度からでも打ち返してくるわけよ。
こっちの守備範囲を越えてるわけ。
狙い打ちできるわけ。
手前に転がしたり、右や左にとか、顔面を直撃することもあるわけよ。
言ってることの理屈を理解するだけで精一杯というかね。
金持ちは女の子にモテるという巨大な旗を振ってるようなさ。
これって教室の男子だとしたら9割はそっちに流れていくのよ。
負け惜しみで言えるとしたら、笑わせてみろよってだけなんだけどさ。
資産と呼べる物を何も持ってないから理解できないのもある。
家族を守る為って言い訳が免罪符になることは理解できるけどさ。
そこには愛とか夢とか未来とかがあって、それでいいのかもしれないけど。
難しく考えるとよくないのかもしれない。
だけど事務的なオナニーはちっとも気持ちよくなかった。
惨めな気がした。
圧倒的な知識の差ってのはどうやったら埋まるのかね。
普通の人は誰も知りません。
知らなくて当然なんです。
だって学ぶ材料がまずないじゃないですかと。
僕らも企業さんから呼ばれて社内講習をやる時に教えるくらいですから、と。
誰も教えてはくれないんです。
教えるわけがないじゃないですか、と。
じゃあなんで、僕に教えてくれるんですか?って聞くわけよ。
「
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とか言ってくるわけ。
(建前と本音)みたいなことも、予定調和ですけど僕は営業マンとして言ってますからねっていう、目だけはマブタを半分くらい下げてる言うわけよ。
客からその質問が来ることなんか当然わかってるけど、とりあえずこういう返しをするしかないことも貴方も僕はわかってて言ってますよねって感じなのよ。
全てを読まれてる感じなのよ。
Aちゃんのこともカードの1枚として持ってるわけ。
彼女を抱きたいなら僕がそうなるような話を組み立てて彼女を部屋に訪問させることは可能ですけど、貴方はそういうことにはあまり興味がないですよね? という仏像みたいな目をしてくるのよ。
最初に部屋に上がる時に言ったのよ。
「もしかしたら後で
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僕はこの言葉には食い付かなかったのよ。
そういう女を使った接待みたいなの好きじゃないからね。
男としてのこっちの感情を色々と揺さぶってくるんだけど、なんか目的意識が笑うこととは違うのよ。
頭の中で会話の方向性で迷子になる感じでさ。
僕よりも年収が低い人でも銀行の審査をパスしてローンを組んで2000万の不動産を買ったという話をしてくるわけだ。
僕はその人のことは知らないわけでね。
何が言いたいのかわかんないじゃん。
そしたらこう言うわけよ。
「その人は会社員ですけど月給が17万くらいなんですよ」
「勤続10年で月給が17万ですよ。どう考えたって出世する見込みなんてないじゃないですか」と。
そんなこと言うなよ!!って、ツッコミが頭の中で置き去りにされる感覚になるわけ。
彼の話は進んでいくんだけど、(数字で人間を語るなよ)って、ずっと頭の中でモヤモヤが消えないわけよ。
“勤続10年で月給が17万”
だから
“出世する見込みのない人”
数字としては正解なんだろうけど、俺はその人から何かされたわけじゃないからね。
そんな人にも銀行が融資をしたっていう奇跡の話になるわけじゃん。
それはさ、売ったあとのことは知らねえから笑える話なんだろ?
不動産屋が笑う鉄板ネタなんだろ?
こういう話に笑うやつ嫌いなんだよね。
愛想笑いすらできねえから。
俺は感情が顔に出るタイプだから向こうもすぐに軌道修正してくるけどさ。
こういう話で愛想笑いする女も大嫌いなのよ。
超ブスじゃん。
笑顔がブスって醜いよ。
そんで銀行のローンの審査を通すテクニックみたいな話に繋がるわけだよ。
頭パッカーンなるけどそれが彼らの世界では当たり前なんだろうね。