恋愛教室5 | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

こんな僕でも“先生”と呼ばれたからには彼女たちに恋愛という学問について教えるとしよう。



まず、どうしたら男からモテるのか?と。



このことを彼女たちに教える上で最も重要なことは、【クソ男からモテてる技術】と【幸せにしてくれる男からモテる技術】には根本的な違いがあるということだ。



モテるとは受け身の状況なのだが、それで寄って来るのがクソ男ばかりだったら女は不幸にしかならない。



クソ男からのクソアドバイスに耳を傾けていると最終的に、クソ女になるわけだ。



仕事でも同じなのだが、男の先輩にも二種類いるのだ。



10年後の責任を取れないくせに偉そうにアドバイスをしてくる男もいる。



クソ男とは自分の駒としての動き方しか教えないのだ。



ちゃんとした先輩の教えとは社会人として大切なことなので、それは本質的なことであり、その先輩の下で働く時だけの考え方じゃなく、転職した先の職場だろうと、それは10年後の世界でも通用するものなのだ。



女好きの男にもタイプが二種類いるので、この区別がとても重要なのである。



しかしながら、今時の草食系男子についてはよくわからない。



ちなみに建設業界としては、絶滅危惧種とされている。



23才の彼女たちにも聞いてみたのだ。



「君達2人は、何世代になるの?ゆとり世代なの?」



「まぁそうですけどね、ゆとり世代ですね。私たちが最後のゆとり世代で、うちらから下は違う世代になるんですよ」



「最後のゆとり世代なの?なんか…残念だったね(笑)」



「えーっ!?でも、ゆとりに見えます?全然ゆとりじゃなくないですか?」



「いや、玄関のドアを開けた時からずっとゆとりだったよ」



「絶対、そんなことないですよー」



「急にドアを開けたらワーッって驚いて、虫が飛んで来たらキャーッって叫んで、ゆとり丸出しだったからね」



「でも、それってゆとり関係なくないですかぁ?」



このやり取りが訪問先の住人に対してアンケート調査を行っている仕事の最中だということを彼女たちは忘れている。



だけど悪い子達ではないのだ。



本来ならば“ちゃんと真面目にアンケートの質問に答えて貰ってもいいですか?”というのが社会人としての予定調和だと思う。



アンケートでありながらもそれを調査する側が答えを誘導したり、答える側も相手の望んでいる答えや言葉を選択する作業になる。



大人とは社会とはそういうものだと。



だけど本当のコミュニケーションってのはこんなもんだ。



1世帯辺りの統計よりも、その1世帯に住んでいる人間と血の通った会話を出来る方が素晴らしいと思う。



①≪治安がいい街≫
②≪物価が安い街≫
③≪星の見える街≫



これで都内にも電車で30分で行けるところなら③に住みたいと俺は思う。



話を恋愛ゆとり世代に戻そう。



どうも男がよろしくないね。



男にも世代別に時代背景があるから仕方ないんだけどさ。



それはともかく彼女たちの質問に先生として答えたのだよ。



「そうだなぁ、やっぱ、自分に自信のある女がモテるよ」



「え~っ、自信ないです~」



『自信なーい』



「いや、そういうことじゃなくてさ、自分の良いところを1個でもいいから、コレだけは誰にも負けないっていうのがあればいいんだよ」



「自分の良いところ?」



『良いところ?』



「それは自分の悪いところも含めてなんだけど、まずは自分の良いところがわかればそれが自信になるからね」



「あっ、そっか、それって自分のことを客観的に見るってことですよね!なるほど!!」



「まぁそういうことになるね」



「でも私、自分のこと客観的に見れないんですよぉー」



「いや、だからそれでいいんだよ」



「え?」
『は?』



「自分のことを客観的に見れないってことが、客観的にわかってるってことでしょ?それなら大丈夫だよ」



「そういうことなんですね。先生、勉強になりましたぁ~」



「そう?他の人とはこういう話はしないの?」



『全然しませんよ。ほんと神ですよ』



恋愛の先生から恋愛の神様になった。



とにかく女とは男を冷静に観察する生き物なので、神が喋ってる間もずっとこちらの目の奥を覗き込むように彼女たちは話を聞いていた。



そうやって女は男の嘘を見抜くのだ。



だからこそ付き合った男とは長続きしないのだと思う。



神と呼ばれている僕には長年付き合っているイカれた彼女がいるのだが、その彼女と付き合うことになってから初めてのデートの待ち合わせに、神は寝坊をしたのだった。



彼女はそれをずっと根に持っている。



クリスマスの日に駅のベンチで8時間も待たされたと。



神レベルの寝坊である。



いやいや、そんな8時間も寝坊をするわけがない。



長年付き合っている間にコツコツと時間を水増しさせているのだ。



本当は6時間である。



だって、夜勤明けで、すっごい眠かったのだ。



眠いと寝ちゃう、寝ちゃうと起きない、これは今もずっと変わってないのだ。



寝坊したのは事実で、これも嘘じゃないわけですよ。



俺が言いたいのは、夜勤明けで眠いのを我慢して自分に嘘をついて彼女とデートをした結果…



“疲れてて、なんか楽しくなかった”



こうなるくらいなら爆睡した方がいいんだよ!!



待ち合わせの時間に6時間も遅れたらどうなるかって?



そりゃ背水の陣だよ。



男たるもの常に背水の陣でデートをしなきゃいけない。



電車の中でさディズニー帰りの若いカップルとか見かけるときあるのよ。



それがさ、空席を彼女が見付けたら男が真っ先に座ったのよ。



そんでそいつがずーっとスマホをいじってて、その目の前には彼女がつまんなそうに立ってるのよ。



その彼女もさ彼氏とのディズニーデートだからって、頑張ってお洒落して来てるわけだよ。



それなのに、お前なんでスマホに夢中になれんの?って



そんなに嫌なら俺と代われ!と思ったね。



俺が楽しませてやるから彼女を寄越せと。



僕はねぇ、36才になるけど、ディズニーランドでデートをしたことないのだよ。



遊園地もないんだけどさ。



彼氏の目の前に立ってる彼女の表情が何とも言えない感じでさ。



これが俺の妹とか娘だったら(どっちもいないけど)彼氏の頭にゲンコツ入れて、タンコブ2つのミッキーマウスにしてやるけどな。



スマホ逃げってあるよね。



俺らの世代のやつでも仕事の休憩中とかに話題を振ってきてその話がいまいち盛り上がらなかったときに、そいつがそーっとスマホを触ろうとするるのよ。



「おい、スマホに逃げんなよ!!」って、ツッコミで笑いになるけどね。



笑うってことはスマホ逃げはみんなが共感するレベルのことなわけでさ。



どうにか話を広げよう頑張ってんのに、言い出したやつがスマホに逃げんなと。



だけど、これも俺達の世代だから笑える価値観だと思うのよ。



ぶっ壊しても元からなかった世界だからね。



俺はガラケーだから不便なんだろうけど、見なくてもいい情報って入ってこないのよ。



そんでパソコンも持ってないから、必要な時は漫画喫茶に行ってエクセルで作った表をプリントアウトする感じなのよ。



で、漫画喫茶のパソコンでニュースとか見るわけ。



そのコメントとかも読んで思うのよ。



堪えられないね。



よくみんな平気だなって思うもん。



心が汚れるっていうか、えぐられるような表現ばっかりじゃん。



これが本音だって思うわけでしょ。



違うからね。



言った言葉に責任が発生しない本音なんかないからね。



思ったことを言いました、本音です、さようなら、みたいなね。



特に女は怒ると逃げる傾向にあるからね。



とにかくそういう世界も同じ現実なんだってことでね。



彼女たちにも言ったわけよ。



「だから女の子は、ありのままでいいんだよ」と。



「ありの~♪ままの~♪じゃあ、私はエルサってことですねっ!」



『イエ~イ、女王様だぁ!』



……若いっていいなと思った。



女王様たちからの質問は続いた。



「デートにまた誘って貰いたい時にはどうしたらいいんですか?」と。



それは男の人とデートをした日の、帰り際の一言がいかに大切かを女王様たちに教えることになった。



続く。