ニセモノノウタ5 | 天狗と河童の妖怪漫才

天狗と河童の妖怪漫才

妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

でだ、お気に入りのアーティストの曲をイカれた彼女から渡されたイヤホンで聴いたわけよ。



それがさ、イヤホンが耳に上手く入らないわけ。



いやいや、そんなわけねえだろと。



あれ?あれ?って右と左の両方でなるわけよ。



こっちは男だから穴に入れることに関しては人生のテーマとして歩んできたからね。



落ち着けと。



基本に戻ろうと。



最初から両方の耳に同時に入れようとするから上手くいかないんだなと。



1つずつ丁寧にやらないから入らないんだと。



耳の中がまだ濡れてないんだと。



よし、目をとじて指先に集中しようと。



耳側の神経をシャットダウンして今は指先に全てを集中させようと。



耳から迎えに行ったのではよろしくないんだと。



むしろ耳を焦らすことが大切なんだと。



耳の軟骨のラインに沿ってゆっくりとフェザータッチで撫でるように。



そして耳の穴の出口付近にある突起した部位には触れないようにしつつ。



その斜め上辺りを
一定のリズムで
優し~く優し~く…




これでも入らんのよ。



たまには無理矢理ぶち込むのもそれはそれでありなんだと。



痛い痛い痛い。



目を開けてイヤホンを見たらLとRって書いてあるわけ。



それは昔のイヤホンにも書いてあった気がするのよ。



どっちでも耳には入ったからね。



だけど、このイヤホンは最新のやつなのかな?



先端部が卑猥な形をしてるのよ。



密閉度が高いのかな?



音漏れとかしにくいのかな?



まぁそんな感じで、右耳用と左耳用で入れるイヤホンが決まってることは形から理解したのよ。



なるほどと。



ここでふと思ったの。



あれ?LとRってどっちがどっちだっけ?と。



いや、ほら、僕って高卒じゃないですか。



高卒にはLとRの区別ってちょっと敷居が高いわけよ。



ライトとレフトなのはわかるけど、LとRってさ、どっちも『ら行』でノープロブレムって感じがするわけよ。



しかも、2択なわけよ。



だけど、ここで間違えるのはベリーデンジャラスだと思うの。



落ち着けと。



スーファミのコントローラーを思い出せと。



どっちだった?



あれは確か…



いや、確かじゃダメだ。



ちゃんと思い出すんだ。



そうだ野球だ!



野球のライトとレフトだと。



野球のポジションを思い出せと。



え~と…



淡路島…



いかんいかん、スーファミでファミスタやってた思い出じゃない。



裏技を使う場面じゃない。



クロマテとかファミコンの記憶は一切関係ない。



焦るな、落ち着け、他にも手がかりはきっとあるはずだ。



LとRの正解を導き出すんだ。



喫茶店なのにサンドイッチが700円とかやたら高いんだよね。



それ、喫茶店のルノアールだ。



いま考えてるのはエルアールだから。



集中しろ!



LとRだ!



LR



電車はJRだ。



女子高生はJKだ。



全然関係ねえから



JKに思いっきり引っ張られてるだけだから



LR



RL?



いや、逆にしてみても何の解決にもならんから



L'Arc~en~Ciel



La'cryma Christi



L⇔R



ダメだ…わからない



悔しいけど、バカにされるだろうけど聞くしかない。



「LとRって、どっちがどっちだっけ?」



「はぁ?そんなこともわかんねーのかよ!!」



悔しい悔しい悔しい



「耳に入んないだよね。どっちだっけ?」



「まだ聴いてなかったのかよ!!」



「いいから、わかったから、右と左、どっちなの?」



『ライトとレフトに決まってんだろ!!』



「そ…」



言えない。



もう僕これ以外は恥ずかしくて聞けない。



なんかもう耳にイヤホンが入らなかった時点で、この曲とはご縁がなかったってことでさ…



英語とか右左とかじゃなくてさ。



お茶碗とお箸を持つ文化ですからね。



イヤホンにね、お茶碗のマークとお箸のマークが書いてあれば僕は迷うことはないからね。



こうゆう西洋かぶれはよろしくないよ。



順番も左右じゃなくて、右左なのよ。



本格的な少林寺は【寺林少】だからね。



まぁなんとかね、LとRって書いてあるところを見えないように隠してね、モノマネ番組の審査員の一番右端の人みたいな感じでね、ラフな感じだけどちゃんと聴いてるみたいな、そうやってごまかしながらイヤホンをなんとか装着したわけですよ。



続く