ともだち救出作戦4 | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

俺をシカトした翌日に友達からの反省した内容のメールがきた。



大人げなかったと。



人生を否定されたように感じたと。



当時のうちらのグループのことを知らないのにあんな言い方をされて頭にきたと。



私たちのやってたことは間違ってたと。



まぁ、こうしてみると友達は俺の指摘したことに対して、ちゃんと的確に反省していると思う。



ただ、そのシカトされた日の夜、俺はあまりにも理解に苦しんで一睡もできないまま仕事に向かったのだった。



その睡眠不足の中で普段はメールを送ってこない時間帯に送ってきたからそれもまたイラっとするのである。



こいつはぐっすり寝たんだなと。



寝起きの反省文だなと。



俺としては当時の友達の仲間だかグループのことはよくわからない。



友達のようにタトゥーを入れたりする連中は仲間とか絆ってものに酔う傾向がある。



そもそもタトゥーなんて呼び方をするから海外のトレンドみたいなファッション感覚に聴こえるのだ。



南蛮渡来の夢見る子猫ちゃん印なのだ。



消せないものを書くというイメージが浅いのだと思う。



俺の中では鉛筆ではなくボールペンのイメージになる。



そして、それを消すには修正液や修正テープではなく砂消しのイメージが湧いてくる。



砂消しは紙を繊維ごと削って消すのだ。



普通の消しゴムでさえ最後まで使うことはないが、砂消しにいたってはいまどこで何をしているかその消息すらわからない。



基本的に砂消しは登場してはいけない文房具なのだ。



紙が破れることもある。



だからこそ砂消しの存在には哀愁というか、昭和の雑な感じが面白いのだ。



つまり、消せないものに対して砂消しも一緒に連想するかどうかだと思う。



今では主流になった消せるボールペン感覚ではないということだ。



一番の問題というか感覚の違いを言うと、タトゥーを入れてる外国人に対してはそのタトゥーをいじっても笑いになるのだ。



だけど、日本人の場合はタトゥーを笑えないやつが入れるのだ。



で、好きなアーティストに憧れてとかその世界観にはまって入れてしまうのだろう。



俺がムカつくのは、アーティストは“アーティストだから”という言い訳が成立することだ。



ビジネスだからと割り切ることもできる。



タトゥーを肯定してくれるシンボルとして崇めることになる。



そのアーティストのファンのコミュニティにいれば批判されることもないだろう。



仲間意識ってやつだ。



そういう幼くて先走ってしまう弱い者たちから金を搾取するシステムは二流のやることだと思う。



タトゥーを入れてる日本人のアーティストはファンが真似したタトゥーを消す金を支払うべきだ。



ラブソングなんか唄うんだったら、タトゥーを無料で消す財団なり病院を立ち上げるのが筋ってもんだ。



それが夢を見させた側の責任であり愛じゃないのか?



まぁタトゥーを入れてる時点で愛を語る説得力は言い訳に負けるけどね。



友達はタトゥーのことに関しては後悔してないと言った。



この強がりが俺にはわからなかった。



周りからどう思われるかまでは考えて入れなかったけどねと。



まぁ若気のいたりってことで許すしかない。



友達がエグザイルやアムロを好むのも俺は言わないけれどそういうことなのだ。



美意識が強い人間には笑いが届かないことがある。



この前、地下鉄で若い男の腕に大きなタトゥーがあった。



手錠とピストルが綺麗に立体的に描かれていた。



彼が彫り師に依頼して金を払って入れたのだろう。



ただ、彼はこの先、苦労するだろうなと思った。


おそらく彼はサバイバルゲームやモデルガンで遊んだりしなかったタイプだと推測できる。



銃にも当然ながらメーカーがある。



銃の形状はその用途によって異なる。



タトゥーとして描いたということは、そこにメッセージ性が宿ることになる。



つまり彼は一生消えることない銃メーカーの広告塔になってしまったのだ。



銃とはいえ製品である。


ビジネスである。



新しい素材が開発されれば製品は進化する。



彼は戦国時代なら火縄銃を入れたことになる。



数年前の携帯ならガラケーを入れていてもおかしくはない。



スマホの時代になるなんて誰も想像できないだろう。



何よりも俺が心配するのは、彼のタトゥーに描かれたピストルの“安全装置”は、ちゃんと外れているのだろうか?



真面目か!とツッコミを入れる勇気が果たして笑いを生むのだろうか?



手錠とピストルがセットで描かれていることから、イメージとしては警察なのだ。



これは、つまり、国民の税金で働く公務員の商売道具なのだが…。



安全を守るという意味では同じなのかもしれない。



俺は悪くてこんなタトゥーを入れちゃうくらい強いんだぞと。



そんな彼の隣の席に“核爆弾”ってタトゥーを入れてるやつが座ったら喧嘩になるのだろうか?



睨み合う二人を“愛と平和”って入れたやつが仲裁に入ったりして…



というか、彫り師が入れるの止めてやれよバカ野郎が。



それか、彼は、もしかしたらただの警察マニアかオタクかもしれない。



シャツの袖を肩まで捲ったら、手錠とピストルの次に警棒が描かれていたのかもしれない。



背中には大きなピーポくんが描かれているのかもしれない。



友達は眉毛にも入れてると言った。



しかもそれは旦那と結婚してからだと。



眉毛に入れ墨とは…さすがにこれには引いた。




友達は俺の「福田和子かよ!!」のツッコミに対して無反応だった。



この時も俺は友達に対して怒りながらも“おかしい”ことについて痛烈に批判したのだった。



男友達も元カレも旦那も、彫り師も誰も許せないくらいに怒り狂った。



続く