友達の作り方4 | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

友達からメールが届いた。



携帯の万歩計で昨日の夜に歩いた歩数を調べたと。



合計の歩数から普段の歩数を差し引くと、6千歩だったとの報告があった。



「凄くない?」と。



深夜に2時間近くも雨の中を歩き続けたのだ。



友達は久しぶりに歩いたと喜んでいたが、こっちは昼間に肉体労働をしたあげくの6千歩なのである。



さすがにもう歩きたくはないので部屋を掃除しようと決意する。



歩くのが嫌いではないのだが特別に好きでもない。



喋るのが好きなだけだ。



仕事した日の深夜に歩いて喋って、翌日はまた仕事なのである。



同じ6千歩のようでまるで違う。



しかし、浅いとはいえヒールの靴で歩いたと言われれば黙るしかない。



友達は元ヤンだったので根性だけはあるのだ。



『それは凄いね。何が凄いって6千歩ピッタリだもんね』



すると友達から「餃子を貰ったけど食べる?」とメールがきた。



客の男から貰ったやつなのではないか?と危険を感じたので確認した。



職場の人間の母親や嫁さんが握ったおにぎりとかを貰って平気で食べるタイプなのだが、見知らぬ男からのプレゼントはなんか気色悪い。



何が入っているかわからないからだ。



すると、店の女の子から貰ったものだと言う。



なので、店の女の子から嫌われてないかを再度確認した。



嫌われてたら毒でも入ってる可能性もある。



店の女の子たちとは愚痴を聞いたり仲良くしていると。



それなら食べる。



仕事帰りに店の近くに寄って餃子を受け取る約束をした。



だけど、貰ったものを横流しすることについてどういう考えなのかを確認してみた。



友達がオリジナルの毒を入れてる可能性もある。



女の言う大丈夫は男には大丈夫でないことは万国共通である。



すると、店の冷凍庫に、お礼のメモを貼ってあると。



案外ちゃんとしている。



他人を信用するにはこういうところが重要なので、これなら食べても大丈夫だなと。



まぁ野良犬にエサをやるような扱いなのかもしれないが、職場でもよく食べ物とか小物を貰うのであまり気にしたことはない。



そういえば社会人になってから自分で財布を買ったこともない。



最初に先輩が使っていたブランド物の財布を中古で貰って使っていると、そのブランドが好きなのだと勘違いされて、それ以来ずっとプレゼントされた財布は同じブランドのやつなのである。



野良犬あるあると名付けよう。



今回もそもそも友達が餃子が好きで、それで店の女の子から餃子を貰った訳で、だけどその餃子を貰った俺まで餃子が好きだから貰ったのだと勘違いされるパターンなのだ。



下着の趣味も誤解されることもある。



普通に考えて招き猫のパンツなんか俺が買う訳がない。



ただ洗濯が面倒な時は、お土産で貰ったパンツでも新しければ履くのだ。



それだけのことなのだ。



だけど、それを見てまた誤解されるから、その手の変な下着が増えたりするのである。



まぁ遠慮することを知らないだけなのかもしれないけど。



ただ、遠慮するのもどうなの?というのもあるからね。



貰える物は貰うけど、言いたいことは言う。



で、店の近くで友達が来るのを待ってたのよ。



そしたら友達が向こうからやってきて、だけど手には封筒みたいなのを持ってまわりをキョロキョロしてる訳ですよ。



あれ?餃子らしきものを持ってないなと。



近くまできたから「どうしたの?」と聞いたら、郵便ポストを探してると。



ふーん、で、餃子は?と聞くと、顔を真っ赤にして驚いているのだ。



「あのぅ、餃子を貰えると聞いてやってきたんですけどぉ、手に持ってるの……餃子にしては薄いですよね?もしかして、その中身は餃子の皮ですか?餃子って餃子の皮のことだったんですか?」



友達は全速力で走り去っていった。



天然なのだろうか?



餃子を渡しに行く

外に出るついでに封筒を郵便ポストに入れよう!

そういえば、郵便ポストってどこにあったかな?


そのまま出てきたとしか思えない。



そして餃子を持って戻ってきた友達は、なぜか革ジャンを羽織っていた。



さっき封筒を持ってキョロキョロしてた時には薄いベージュ色のセーターを着ていたはずだが…。



これはもしかして男が怒りを表す手段として指の間接をポキポキ鳴らすのと同じことなのだろうか?



餃子を忘れたことには一切触れるんじゃねえよ!という意味での革ジャンなのかと。



こっちとしては、餃子を忘れて封筒を持ってることに対して、瞬時に、封筒の中身は餃子の皮という見事な返しについて、もっと評価されたいくらいなのだが。



そんで郵便ポスト探しを付き合うことになった。



俺が駅前の所で「あった」と指差すと友達は違うと言うのである。



あれはポストじゃなくて赤いスタッフジャンバーを着た客引きの女だと。



いや、その手前に郵便ポストあるからと。



普段から冗談ばかり言ってると真面目に答えても信じて貰えないことがある。



やっぱり友達は天然なんじゃないかと少し不安になった。



ただ、俺の言うことだからきっと面白いことなんだろうと笑いに寄せに来ている感じもしないでもない。



逆に考えると、赤いポストを探すことに対するボケという笑いのゴールを狙っていたのは友達の方なのかもしれない。



俺の見逃したはずのボケに、その状況から笑いを読み取ったツッコミを入れたことになる。



天然なのは俺の方だ。



普通に先にポストを見付けて何が面白いんだ。



やはり、友達は頭の回転がいいようだ。



と、ほのぼのした内容の会話を毎日メールや電話でゲラゲラ笑いながら続けていたのだが、話の流れで友達の旦那が日本人ではないことを知ることになる。



そして、元ヤクザだということも…



続く。