わんわん列車 | 天狗と河童の妖怪漫才

天狗と河童の妖怪漫才

妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

1番汗をかきやすい場所は?ブログネタ:1番汗をかきやすい場所は? 参加中




なんか最近は電車内での話が続いてますけども、今回も電車内の話です。


朝のホームで一番前に並んで電車が来るのを待っていたんですよ。



で、電車が到着した訳ですけど、下車した人数分だけのスペースが空いた、割りと混んでいる車内へと進んで行きました。


真っ直ぐに入口とは反対のドアのところまで歩いて行ったんですけど、足元になんか大きな物体があることに気がついたんですよ。



ドアの前に大人2人分のスペースが空いてる訳ですよ。



で、そこの目の前まできてわかったんですけど、その物体ってのが盲導犬なんですよ。



盲導犬!?って気付くタイミングと同じくらいに僕の後から乗ってきた人達が押し寄せてきたんです。



咄嗟に両手をドアに向けて突き出して踏ん張る訳です。



背中に凄い圧力を感じましてね。



もしかして、後から乗ってきたサラリーマン達は、偶然にも学生時代にみんな花園目指してたの?ってくらいにグイグイくるんですよ。



そりゃそうですよね、奥に大人2人分のスペースが空いてる訳ですからね!



こういうアクシデントの場合ってのは頭が混乱してますから『盲導犬』っていう言葉が出てこないんですよ。



それで、なんかよくわからなくなってきてモラルまで押し潰されそうで、



「犬がいます!!」




って大声で叫ぶのは飼い主さんに失礼なんじゃないか?とか考えちゃうのよ。



もっと適切な言葉がある筈だと。



もっとニュアンスが柔らかいドンピシャな呼び方があった筈だと必死に考える訳ですよ。



もう、腕はぷるぷる震えてきてね。



やっと出てきた言葉が…




『わんちゃん』



『足元にわんちゃんがいます!!』



…絶対に違う。。



足元には盲導犬ちゃんの温もりだけはしっかりと伝わってきてね。



これは耐えるしかないなと。



その盲導犬ちゃんも寝てる感じなんですよ。



寝てるというか、伏せてる姿勢なんですよ。



ハチ公みたいにピーンとした犬っぽさを出してないのよね。



せめて吠えてくれないかな?



ちょっと甘吠えするだけでいいんですけど…



この状況を説明する力を少しだけ貸してくれないかな?



たぶん盲導犬として躾されてるから電車内では吠えたりしないんでしょうけどね。



もう、朝から汗だくですよ。



腕もパンパンです。



はたから見たらエア壁ドンしてるキモい男ですからね。



それか、満員電車の力を利用した新手のエクササイズ野郎ですよ。



これね、表現が難しいんですけど、僕のこの奮闘ぶりを盲導犬ちゃんも飼い主さんもわからない訳ですよ。



ただ、異様に汗臭い男が1人いるな?と。



それにさっきから、うーうー唸ってる男が1人だけいるな?と。



これがもし同一人物だとすると、危険な男かもしれないな?と。



そしてなんとか、2駅分持ちこたえて乗り換えの駅で下車しました。



車内も空いたのでよかったよかった。



誰からも褒められることもなく、むしろ迷惑がられながらも盲導犬を守り抜いた。



ただそれだけの話。



本当のヒーローってのはこういうことなんでしょうね。



つまり、親の躾が世界を守るヒーローになるのである。



まぁ、実際には腕をぷるぷるさせながらも、ヒーローの頭の片隅には、



『この状況をめちゃくちゃ可愛い子が見ててくんねーかなぁー』



そんで、いきなり告白されて、こっちも、



『実は、さっきから僕も君に一目惚れしていました』



とか答えて、そしたら彼女も、



『きっと、あなたが守った盲導犬が私達2人のことも導いてくれたのね』



とか言われて、俺もうまいこと返そうとして、




『恋は盲目って言いますからね』



とか、うまいこと言おうとするけど、最低なだけで、そんで、なんだかんだで、最終的には、



『ご褒美として可愛い子とエッチがしたい!!!!』



という、妄想パワーでリミッターを外して、なんとか踏ん張ることが出来ましたとさ…。



僕のパートナーは盲導犬ではなく妄想犬なんでしょうね。