私は侍派
天狗「男なら、もちろん侍だよ」
河童「いやいや、忍者でしょ」
天狗「お前、落武者みたいな頭してるくせに忍者なのかよ」
河童「落武者じゃねーよ!頭のこれは皿だから」
天狗「忍者なら頭巾でハゲを隠せると思ってるんだろ?」
河童「どんな理由だよ!侍よりも忍者の方がカッコいいからだよ」
天狗「忍者のどこがカッコいいんだ?」
河童「忍術が使えるからだよ。それに忍者は女の子にもモテるからね」
天狗「何が“忍術”だよ。侍だって女にモテるだろ」
河童「侍って臭そうなイメージじゃん。しかも忍者には同業者に“くの一”という女忍者がいるからね。現代でいう社内恋愛の可能性だってある」
天狗「何が“くの一”だよ。現代なら侍の方が絶対にモテるからな!!」
河童「ふん。現代なら侍は銃刀法違反で即逮捕だよ」
天狗「捕まえにきたら斬り捨てるから問題ねえよ」
河童「大問題だよ!刀で抵抗すれば拳銃で撃たれるからね」
天狗「まぁ侍になるからには辞世の句を詠むのも楽しみの1つだから構わないよ」
河童「どんな楽しみ方をしてんだよ。大体さ辞世の句を詠めるの?」
天狗「侍だぞ!そんなの当たり前だろ?
『HEY!yo!
俺は侍、
姫の家来、
死んじまいたい、
くらいに逢いたい、
けれど解せぬ、
されど解せぬ、
結ばれぬ、
定めにござる、
姫に逢いたい、
一目逢いたい、
悲鳴あげたい、
死命避けたい、
切腹するより、
接吻したいよ、
けれど解せぬ、
されど解せぬ、
結ばれぬ、
定めにござる、
いざあの世に、
Gotheルー』」
河童「ダサいわ!なんでラップ調なんだよ」
天狗「現代版の辞世のラップだよ。これはモテるよな」
河童「侍らしくねーよ。辞世のラップで女にモテてたところで、その後すぐ死ぬんだからな。ちゃんと侍として勝負しろよ」
天狗「うるせーな。忍者だって現代じゃエロい目的でしか忍法を使えないだろ?」
河童「そんな使い方しないよ」
天狗「女湯で水遁の術やるだろ?」
河童「やらねーよ!女湯に入る時点でバレバレじゃねえかよ」
天狗「『ゆ』って書いてある布で隠れながら壁伝いに歩くんだろ?」
河童「明らかに怪しいだろ!」
天狗「それか、合コンで好みの女の酒に媚薬を混ぜて飲ませるだろ?」
河童「そんなことする訳ないでしょ」
天狗「トイレに行くふりをして居酒屋の天井裏に忍び込んで、隙間から縄を垂らして、それに媚薬を染み込ませた滴で女のグラスを狙うんだろ?」
河童「バカ忍者か?普通に居酒屋でいきなり天井から縄が垂れてきたら、その時点で気付くだろ!」
天狗「そこを侍の俺が『曲者め!』と天井に向かって槍で突き刺すからさ。それを見た女は全員『お侍さん超カッコいい~☆』と、ほの字ですよ。ほの字」
河童「つーか、槍持って合コン来んなよ」
天狗「お前だって縄持って合コン来んなよ」
河童「俺はそんなことしないっての!忍者なんだから女を落とすのに媚薬とかアルコールの力を借りなくても瞳術でイチコロだからさ」
天狗「俺だって女の喉元に刀を押し付ければイチコロだよ」
河童「それじゃ強姦だよ。もっと場を盛り上げることを考えなきゃダメだよ」
天狗「ホラ貝でも吹きましょうか?」
河童「迷惑だよ」
天狗「陣太鼓でもよければ…」
河童「営業妨害だよ!どんだけ不器用なんだよ。王様ゲームとかやってみたくないの?侍が引き立つように殿様ゲームでもいいけどさ」
天狗「3番に切腹を命ずる」
河童「なんで切腹させるんだよ!」
天狗「2番が3番に介錯」
河童「3番の切腹だけでありえねえのに2番に介錯させるなよ!!ただの罰ゲームで何をやってんだよ」
天狗「罰ゲームなんかじゃないよ。切腹は武士道の誉れだぞ」
河童「こっちは侍じゃねえんだよ!事件だよ。事件。そもそも武士道精神を語るなら合コンになんか参加するなって話だよ!侍として恥を知れ!!やっぱ侍は女の子にモテないな」
天狗「『HEY!Yo!
俺は侍、
俺はモテない
古今東西、
合コン三昧、
けれど解せぬ、
されど解せぬ、
なぜにモテぬ、
ぬぬぬぬぬぬ、
ぬぬぬぬぬぬ…」
河童「言われたことが気に障ったからって辞世のラップやるなよ!!侍なら潔く切腹しろ!!」
天狗「わかったよ。ちょっと待ってな、えーと…切腹なう」
河童「なんてことつぶやいてんだよ!!」
天狗「俺が切腹してる写真をブログにアップしろよ」
河童「炎上するわ!」
天狗「本能寺ってことか?それならあの世でモテるぜ」
河童「いい加減にしろ!!」
===================
忍者と侍、どっちになりたい?
・忍者
・侍