天狗と河童~妖怪的な優しさ~ | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

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私はなりたくない






天狗「どうも初めまして天狗です」



河童「…初めまして河童です。え?何この挨拶から入る感じ?」



天狗「我々は妖怪です」


河童「そうですけど、それがどうかしたの?」



天狗「妖怪が優しくちゃダメだろ?って話だよ」



河童「いや、なんで?別に優しくてもいいじゃない。座敷童とか人間に優しいから人気者なんだよ」



天狗「妖怪が人気者になってどうする!あのクソガキはこの業界をナメてるからな。あいつのどこが優しいってんだ?どうせあれだろ悪いことを何もしないから“優しい”みたいな感じだろ?仮に悪いことをしても“イタズラ”と好意的に見られる訳だよ」


河童「いや、むしろ幸運を招くとされてるんだよ」



天狗「それは人間が都合のいい解釈をしてるだけだって!」



河童「座敷童が人間から好意的に受け入れられてる要因の1つは、あいつは座敷が縄張りの妖怪だから俺達みたいな野良派とは違って品があるんだよ」



天狗「いやいやいや、あいつは1人だけいい子ちゃんぶってんだよ。別に何も妖怪らしい仕事をしてねえだろ?それで人気者って、おかしいから!座敷の妖怪だから品があるっていうけど、同じ座敷のシマには“妖怪・枕返し兄さん”だっているんだからな」



河童「枕返し兄さんは何をしてる妖怪だっけ?」



天狗「毎晩一生懸命に、寝てるヤツの枕を取っては足元に置いてるんだよ」



河童「え?」



天狗「いや、これ一見簡単そうに思うだろ?これが実際に寝てる人間を起こさないようにマクラを抜き取るってのは、ジェンガ並みの集中力とテクニックが必要とされるんだよ。低反発マクラなんかは難易度が高くてゆっくりゆっくりやるから、マクラを抜き取る頃には夜が明けちゃうんだからな。マクラも手汗でびっしょり」



河童「それやる意味あんの?」



天狗「ちょ、お前、それ枕返し兄さんのことバカにしてんのか?意味とか関係ないからね。登山家はなぜ山に登るのか?それと一緒だよ。『そこに枕があるから』毎晩欠かさずにやり続けることの大切さを学ぼうぜ」



河童「バカにはしてないけど…」



天狗「けど、なんだよ!!」



河童「迷惑だよね」



天狗「それは…お前、その…迷惑だよ。それが妖怪だよ。俺達妖怪の存在意義だよ。何をいっとるんだ!」


河童「正直、ダサくないッスか?妖怪もこれからは人気商売ですよ。もっと、“トトロ”的な感じでやっていかないとビジネスとしても成立しないですよ」



天狗「いまさら何をいっとるんだ君は!!お金よりもロマンを求めるのが妖怪ってもんだろ。いいか?枕返し兄さんはな、今“抱きマクラ”に挑もうとしているんだぞ!マクラと名の付くものは必ず返すと、難攻不落と呼ばれた抱きマクラにだぞ」



河童「…なに、妖怪ってバカなの?」



天狗「は?」



河童「もっと人間社会に貢献するべきだよね。迷惑かけてどうすんの?」


天狗「いや、だから元々は子供の躾や道徳心を養う為の嫌われ役だったりした訳だよ。これが社会に貢献してないというのか?分かりやすい例としては、秋田県の“なまはげ”いるだろ?あいつは子供がワガママしたり泣き虫や悪い子にならないようにと家を回って暴れてるんだよ。それでも大人からはご馳走になって感謝されるんだぞ」



河童「完全にトラウマになるよね。そろそろ幼児虐待で訴えられるよ、きっと。人間の大人達のエゴに利用された哀れな妖怪ってのは惨めなもんだね」



天狗「ふざけんなよ!さっきから、なにがトトロ的なビジネスだよ。妖怪だってキャラ立ちしてるだろ」



河童「気色悪いんだよ」


天狗「き…。気色悪い?」


河童「キモいよ。何なんだよ、その無駄に長い鼻は?」



天狗「うるせぇ!てめぇのが桁違いに気色悪いだろうが!!」



河童「そういう傷の舐め合いは虚しいだけだよ。世の中は“優しさ”を求めてるんだよ。恐怖を与える時代じゃない。子供だってバカじゃない、ネットで調べれば妖怪の素性なんてすぐにわかってしまうからね。人間から愛される為には、まず相手を愛さないといけないんだよ。もっと優しくなりましょうよ」



天狗「じゃあホラー映画とかお化け屋敷はどういうことなんだよ。ビジネスとして恐怖が成立してんじゃねえかよ」



河童「その儲けは妖怪に還元されてるの?利用されてるだけだってことにまだ気付かないの?」



天狗「妖怪にサラリーマンにでもなれってことか?」



河童「そうだね。それぞれの特技を生かした仕事に就くことが人間社会との共存する残された道だと思うよ」


天狗「いまさら無理だろ?俺にチェック柄のシャツ着て、登山客のガイドでもやれってのか?」



河童「それでいいと思いますよ」



天狗「嫌だよ!!なんで山道ですれ違う度に『こんにちは』って挨拶しなきゃならねえんだよ。そういう、お前は何を仕事にするんだよ」



河童「僕はネットビジネスですかね」



天狗「ハゲ、こら!ふざけんな。黙って聞いてりゃ何がネットビジネスだよ。俺がチェック柄のシャツ着て『ヤッホー』とか叫んでんのに、なんで奇形の魚みたいなお前がパソコンいじってんだよ。おかしいだろ!」



河童「きゅうりを栽培して、ネットできゅうりの直売をやるんですよ」


天狗「河童が作ったきゅうりなんか、誰も食わねえよ!そんなもん怪しくて試食すらしたくねえよ」


河童「確かに信用というものは少しずつしか積み上げることはできませんからね。それでも、その努力を始めるかどうかの差は必ず出ますよ」



天狗「なにこの真面目な会話?いつもみたいな下ネタが一切ないじゃん。読者層を意識した改革みたいなのがもう始まってんのか?」



河童「そうですね。今後は、そのような下品な発言は控えて貰いますよ。日常生活においてもモラルのある行動をしてください」



天狗「…くだらねえな」



河童「そういう言葉遣いもやめてください。品がないですよ」



天狗「上っ面だけ人間に媚びるような真似して死ぬまで生き延びることが賢い選択だというのか?お前のいう優しさってのは自分のことだろ。お前は自分さえ助かればいいかもしれないけどな、他の妖怪たちはどうなる?枕返し兄さんはどうするんだ?これから何を返していけばいいんだ?」



河童「“マクラ”を返す必要性がないとなると、お先“真っ暗”ですよねwww。いまのは冗談ですけど、いつの時代も弱者は淘汰される運命なんですよ。それは歴史が証明していますし、それが宇宙の摂理ですからね」



天狗「なにが弱者だよ。真っ暗な未来だろうと返していけばいいじゃねえかよ」



河童「私の忠告こそが優しさだということに気が付かない、それ程までに貴方には優しさというものが皆無だということですよ」



天狗「そういう達観したかのような逆説的な言い回しで本質的なことを批判的に伝えることのどこが優しさなんだ?意味がわかんねえよ!!本当の優しさってのはバカには理解できないのか?具体的に優しさって何かを教えてくれよ」



河童「無償の愛ですよ」


天狗「それを具体的に言えってんだよ!!ったく、うぜえ奴だな」



河童「セフレですよ」



天狗「セフレ!?」



河童「ただでヤらせてくれるんですよ。優しいじゃありませんか。まあ、下品な話ですけどバカにも分かりやすい例えを選んだつもりです」



天狗「セフレのどこが優しい?ただでヤらせてくれるから優しい?快楽を求めてる時点で無償の愛ではないだろ」



河童「確かに無償の愛など虚構にすぎません。存在しません。少なからず見返りを求めていたり、己の欲求を満たしているだけです」



天狗「要するに本当の優しさなど、この世に存在しないと?」



河童「結論はそういうことです」



天狗「結局ねえのかよ!長々と喋ってたの何だったんだよ!!」



河童「噺の枕を返したんですよ」



天狗「優しく殴ってやるよ!!」








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