ガザ | これでも元私立高校教員

これでも元私立高校教員

30年以上の教員指導を通じて、未来を担う子供たち、また大人の思考などをテーマに書き綴っています。
日本史と小論文の塾を主宰し、小学生から大学生、院生、保護者の指導をしています。

夜10時、塾の自動ドアが開き人影。
そこには外国人だと思われる女性が立っていた。

「こんばんは」

彼女は流暢な日本語で声をかけてきた。

「こんばんは、なんでしょうか?」

「私は中東からきました。この塾に興味があり、アルバイトはありませんか?」

話を聞くとなんとパレスチナ人。
しかもあのガザ地区出身。
貧しい家庭に生まれて、同級生は今もみんなガザにいる。



そこからレバノンのベイルート、UAEのドバイで学び、いまは名古屋大学で生物学を勉強している。

どこに行っても一生懸命勉強して、奨学金を得て努力を続けているそうだ。

約1時間ほど、色々な話をした。
ベイルートやドバイに住んでいた時、街は綺麗だけど窃盗にあった話、ガザは戦争をしているけど泥棒はいない、なんて話してくれた。
アラビア語、ヘブライ語、英語、日本語を話す明るいパレスチナ人だ。

そして私のクリティカルシンキング教育にも、日本らしくないと強い関心を示してくれた。

最後に勇気を出してイスラエルのことを聞いた。
しばらく彼女は黙っていた。

「イスラエル人はみんな友達です」

彼女は寂しそうにそれだけ答えてくれた。