(並ぶのか、、)
ラーメン店はいつになく混んでいてかなり待たされ、疲れと空腹は、私を不機嫌にした。
客は大人ばかりだが、今日は目につく二人組がいる。
中学生くらいの女の子と小学生くらいの男の子だ。
(そうか、いまは春休みか)
聞こえる会話からふたりは兄弟であることがわかる。
やがて二人はラーメンを食べ終わり、急いで弟が席を立とうとした時、
「◯◯くん、ちゃんとごちそうさまを言おうね」
「あっ、そうだった」
弟は、丼やコップを片づけ元気な声で、
「ごちそうさま!」
姉は笑顔で丁寧に、
「ごちそうさまでした」
と言ってふたりは店から出て行った。
なんとも微笑ましい光景だった。
すると私も自然に笑顔となり伝えた。
「ごちそうさま!」
「ありがとうございました!」
店員さんは、こんなにも素敵な笑顔をしていたのか。
ふたりは優しい気持ちの魔法をかけにきた天使だった。
食事とは感謝の気持ちや食する人の心の穏やかさがその料理の味を格別なものにする。
そして今日も、あのふたりの天使がラーメンを食べに来ないかと、こっそり楽しみにしている。