4月は、大人から中学生高校生までボックスチャレンジに挑んでもらった。
ボックスチャレンジとは、配布された用紙を折り、それでできたスペースに解決策や提案を図柄で書き込み、参加者の支持を得るというものである。
それがホワイトボードに「テロをなくそう」をテーマにした意見がランダムに掲示される。
書かれた内容は自分の考えであり、「間違い」は1つもなく、「否定されない」ことが特徴だ。
支持する意見には「とても良い🔴」(赤い磁石)「良い🔵」(青い磁石)を各自が貼り、否定はしない。
色々な意見があり、大人だったらけっして選ばないような意見を、多くの中学生や高校生が支持する。
その後、支持を多く得た意見について、作成者がプレゼンテーションをする。
かつて対人地雷という極めて残酷な武器が
世界中で使用され、罪なき一般の大人から子供まで、足をしなったり命を落としたりしていた。
この対人地雷の問題を解決するために、1997年12月、対人地雷全面禁止条約(通称オタワ条約)が成立した。
オタワ条約は、カナダやノルウェーなどの政府だけではなくNGO(非政府組織)が協力して成立させたことが特色だ。
わすが2年足らずでまとまった対人地雷の全面禁止交渉。
軍縮交渉に初めてNGOが加わり、各国政府を説得したことが実を結んだのである。地雷禁止NGO代表のウィリアムズさんたちにはノーベル平和賞が贈られ、地雷への関心が一層高まった。
それから、20年。
一般の人々の活動が、社会問題を解決したり平和を生み出してくる事は、世界の中の常識となっている。
しかも、その方法は国家が行う「正しいやり方」でないケースも多く、「多様な人々」が「国境を越えた」取り組みをすることによって、良い結果が導かれる。
だからこそ、他者の意見を「間違い」「否定」せず、その中で共感できるものを支持していくマインドセットを育てていく必要性があると考えている。
正解か不正解かという「二項対立」は、多様性に対して、極めてアンチな存在である。
大人から子供まで、AI時代になればなるほど、クリティカルシンキングの重要性は著しく増していく。
それは二項対立的な「正しいひとつの解答」を得るためのものではなく、思考の過程を重視し、共感や共有を生み出すためのものだ。
このクリティカルシンキングの学びは、
中学受験を目指すための小学生だって大切だし、
高校受験や大学受験を目指す中学生や高校生だって大切だし、
大学の中で様々な学びをして就職を目指す大学生だって大切だし、
社内で昇給を目指すための社会人だって大切だし、
子育てをしている親だって大切だし、
高齢化社会を生きていく高齢者だって大切だ。
いままですべての人が「正しい1つの解答」を得るための学びを、あまりにも長期間にわたってそればかりをし過ぎた。
知識の詰め込みが全て悪いわけではない。
ただそれだけの勉強の世界で、それを得意な人間だけが「頭が良い」と言われるのは、少し世界の中では歪んでしまっている。
だからこそ、こうした学びの中で、
「そもそも勉強は楽しい」
「見えないものを見るのは、未来を見ること」
そういったことを学んでいく機会になればと思う。
そして長坂塾が、そうした学びの未来に向けての拠点となっていくことを夢見ている。