東京都の新型コロナ感染が増え続ける本当の原因 | 軍師たるもの物申す (旧題:生涯未婚だ!何もしない独身議員死ね!)
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 年末ぎりぎりで、東京都の新型コロナ感染数が大台の1000人を越えた(1337人)。ツイッターで1週間前に「90%の確率で年内に1000人越える」と予想しただけに、年内最終日での予測的中に安堵と言うよりもむしろ、前週比1.5倍は驚きの数字である。この数字は、年末年始を休みたい検査関係者の駆け込み仕事による押し込み効果だった事は明白である。
 東京都の新型コロナ感染数が12月に入っても増加傾向に歯止めがかからず、都知事が呼びかけた『勝負の3週間』が過ぎてもなお1週間に20%近い増加傾向が続いている。マスコミは、政府や都知事の言動を見て、「感染が減る要素は無い」と吐き捨てるだけで、なぜ感染増加に歯止めがかからないのか、そこを追求しようとしない。専門家は感染経路を追える所だけを見て、旅行や外食の抑制を要求するばかりである。槍玉に上がった業界は堪ったものじゃない。

 


 東京都全体の新規感染数の推移を見ると、11月から増加傾向に転じ、12月に入ってからは毎週1.2倍のペースで増加している。感染してから次の人に感染させる平均日数を1週間とすると、実効再生産数(一人の感染者が何人に感染させるか)が1.2という事になる。
 感染状況としては、第1波から変わらず23区が多摩地区に比べ圧倒的に多い傾向は続いているが、その差は第1波時点の10倍程度から3倍程度にまで縮小し、東京都内に限らず地方へと広がっている。
 右枠の「累計感染率」は、あくまでPCR検査を受けて陽性と判定された人数であり、市中の無症状感染者や、発熱など何らかの症状があっても自己判断で軽症のためPCR検査を受けない人は含まれない。実際の感染者数は、疫学調査(抜き取り抗体検査)によって推測するしかないが、地域や抜き取り対象の決め方によってかなり(2倍程度)のバラツキがある。検査数が圧倒的に不足していた第1波の時は10倍いても不思議ではないが、現時点では3倍前後で収まっているのではないかと推測する。
 「直近7日間10万人当り」の感染者数は、7日間合計での新規に陽性を確認された人で、現在の感染状況を判断するための目安である。日本ではこの数字が10を越えると危険領域とされている。都内の自治体で現在この数字を下回っている所はほぼ無い。
 「現在感染者数推定(千人当り)」は、直近7日間の平均感染者数を元に、感染発症前後の合計5日間は感染させる可能性があるとし、また感染経路不明者については、感染者の実数がその4倍存在するとした場合で、人口1000人当りの市中感染者数を推定した数字である。多い区部でも2人であり、感染状況としては「酷い」という印象は持てないのが現実である。実際の感染は、感染リスクの高い場所で集中的に起きており、そこでは慢性的に感染率が高くなっており、平均より10倍高い場合は、2%が感染している事になる。

 12月28日付けで、和歌山県での感染の実態が細かく報告されている。
https://www.pref.wakayama.lg.jp/chiji/message/20201228.html

 一番の注目点は、無症状感染者の割合であるが、ここで注意しなければならないのは、無症状感染者がPCR陽性と報告されるのは、あくまで「濃厚接触者としてPCR検査を受けた人だけ」であって、市中感染で症状が出てPCR検査を受けた人が多くなると、実際の無症状感染者の割合が下がってしまうという点である。
 和歌山県のデータでは、最後まで無症状だった感染者の割合は242人中、僅か20人しかいない。また、PCR検査を受けた時点は無症状で、その後も無症状だった人は、55人中、20人、40%程度という数字になっている。これには同じクラスターによる初期症状ありの感染者の数が含まれていないので、この数字は更に下がるはずで、実際の無症状感染の割合は20%前後ではないかと推測する。ただし、陽性者の年代分布の偏りと、年代別の感染率と、年代別の陽性者の捕捉率の差によって変わってくる数字である事は注意を要する。

 第3波の原因として、ツイッターでは「コロナの感染力が強くなっている」と主張してきたが、イギリスの変異ウイルスの感染力が最大1.7倍になっているという騒動を見て、日本のコロナはまだ感染力は強まっていないのかも知れないと思い始めた所、和歌山県のデータではクラスター規模が正に1.7倍になっているという悩ましいデータが示されている。自粛疲れで気が緩んでいるのが原因と良く言われるが、これだけ各所が警鐘を鳴らし、世間の見る目が厳しい状況で、そうそう身勝手な行動は出来ないと見るべきだろう。今回の推定では、感染力の変化については特に検証しないので、影響はない。

 東京都の感染経路不明の感染者の割合は、第2波の頃は50%前後だったものが、第2波以後は60%前後保っていたが、12月に入ってから急激に上がっており、年末時点で70%前後にもなっている(グラフの最下段)。既に大部分が感染経路不明であり、その感染者を感染させた感染者が不明となって感染者としてカウントされていない現実がある。
 陽性率も5%前後から10%以上へと急上昇している。この陽性率という数字には裏があって、クラスターなどで濃厚接触者が多い検査数が増えれば下がり、市中感染が増えて個別に症状がある人しか検査を受けなくなると上がるのが当然の傾向となる。感染経路不明率が上がるだけで陽性率も上がる事になる。

 感染経路不明の見えない市中感染を抑えられなければ、感染拡大を防ぐ事は絶対に不可能である。

 何が市中感染の主原因なのか?

 その震源地は、間違いなく飲食店でもなく、家庭内でもない。もちろんGoToトラベルでもない。感染経路が分かっている場所は、そこから先には感染していないから、新たな感染源には成り得ない。実効再生産数は0なのである。

 なぜ感染経路が追えないのか。

 激しく咳込んでいるならともかく、互いにマスクをして会話も接触も無いならば、長時間近くにいても感染はしない。濃厚接触者としては扱われないのである。ただし、「接触が無い」という状況判断が微妙で、買い物をした場合、感染者が支払った現金から従業員やその現金を受け取った別の客が感染する可能性は否定出来ない。こういった場合の感染確率は、検証データが無いのである。イベントのスタッフが感染していて、配布した紙などからクラスターが出るケースもある。ただし、イベントの場合は「感染経路不明」とならないように対策した上で開催されているため、市中感染源ではない。

 社会生活の中で、最も厳しい接触となるケースは何か。

 「危ない」と思っていても、接触しなければならない。そんな場所が日常に潜んでいる。

 『満員電車』である。

 先の和歌山県の報告では、「感染源は調べれば分かる」という論調になっているが、電車内での接触感染は感染経路を追えない。仮にスマホの接触確認アプリ(COCOA)を入れていたとしても、同じ吊り革を同時に触る事はなく、時間差で触る限り、検出は不可能である。感染者が激しく咳込んでいた場合ならともかく、互いにマスクをして隣に立っていただけであれば、接触確認アプリの通知があったとしても濃厚接触者の扱いにすらならない。これが電車内感染の現実である。

 電車の乗車率100%の定義は、全ての座席と吊り革が埋まる人数である。ただし、立っていても周囲のスペースに余裕があるため、吊り革に掴まらずに乗車する人も多い。これが乗車率200%の満員電車になると、立っている人の3割分くらいしか吊り革がない。ぎゅうぎゅう詰めで足元のスペースが無いため、吊り革をしっかり握っていないと電車が揺れた時に吊り革を握れない人の傾きに耐えられず、将棋倒しになって危険である。どの吊り革とかもはや選べる状態ではなく、人が乗り降りする毎に押されて別の吊り革を握り締める事になる。その間、携帯用アルコールで自分の手を消毒する事もままならない。これほど危険な接触感染リスクが他にあるだろうか。
 


 上の表は、満員電車での感染状況を推計したものである。あくまで東京都民を対象にしたもので、横浜・神奈川・千葉から都内に通勤して感染するケースは入っていない。
 PCR陽性数(b)を1日800人とし、感染経路不明率を65%とした場合、感染経路不明数(c)は520人となる。
 市中感染者(無症状を含む)がPCR検査を受ける割合(d)を25%とした場合、1日の推定感染数(e)は2360人となる。うち市中感染数(f)は、(c)/0.25=2080人となる。
 市中感染のうち、電車内での感染数を50%とすると、電車内での感染数(g)は1040人である。
※電車内での感染数をこれ以上高く設定すると、首都圏電車通勤利用者の男女比65:35に比べ、感染者の男女比60:40との整合性が取れなくなる。また、近県から都内への遠距離通勤は男性比率が高いため、電車通勤利用者の男性比率を上げている分が影響する可能性があるが、近県での男女感染比率は53:47(埼玉県)であり、人口比と大差無く、23区の満員電車から多くのコロナ感染者が発生しているとするには根拠が弱い。多摩地区の自治体の男女感染比率もほぼ53:47であり、逆に言うと23区では東京都平均よりも男女比の差が大きいという事になる。ちなみに、港区では62:38、世田谷区では57:43、練馬区では55:45である。残念ながら新宿区・渋谷区・品川区・豊島区(池袋)はクラスターなど個別の事案以外のデータを公表していない。杉並区・大田区・千代田区は男女別のデータを公表せず。主要な感染源を特定するには、感染率が最も重要であるが、男女比の偏りにも注目する必要がある。

 去年12月の実効再生産数(h)は1.2であるが、市中感染以外の実効再生産数を0とした場合、市中感染の実効再生産数(i)が少し上がって1.36となる。
 市中感染のうち、電車内以外の実効再生産数を1.0と仮定した場合、電車内感染での実効再生産数(j)は1.45となる。
 都心への電車通勤利用者を25%とした場合、350万人(k)が対象となる。
 電車通勤利用者1日の感染率(n)は、3000人に一人の割合である。
 うち、200%満員電車の利用者の割合を50%(o)とし、電車利用の感染者の80%(p)が満員電車利用時に感染すると仮定すると、満員電車での1日の感染数(q)は800人、満員電車での1日の感染率(r)は2000人に一人となる。
 満員電車での実効再生産数(s)は、2.7となり、東京都の数字の倍となる。むしろ、満員電車という圧倒的な接触回数の多さにより、たったの2倍の感染率で今の感染拡大状況を招いているという現実を認識すべきである。
 こういったシミュレーションは、疫学的知識よりはむしろ、確率・統計の知識の方が必要であり、如何に現実に近いパラメーターを設定出来るかで的中精度が決まる。

 昨年末に、東京都による抗体保有率疫学調査(対象3000人)が行われた。結果はまだ出ていないが、第3波の実態が明らかになる事を期待する。易学調査に限った話ではないが、感染者が満員電車通勤をしているかどうかの項目は追加するべきだ。
 抗体検査は過去に感染した事があるかどうかを調べるものである。それに対して、抗原検査はウイルス自体の痕跡(たんぱく質)を調べる事によって感染状態にあるかどうかを調べる。陽性検出期間はPCR検査とほぼ同じで、検出精度が劣るのみとされる。抗体検査と抗原検査を混同すると、正しい判断にはならないので、そこはしっかり認識しておくべき基本知識である。

 東京区部の民間の医療機関「東京ミッドタウンクリニック」にて、定期的に抗体検査の結果をまとめて公表している。

https://www.tokyomidtown-mc.jp/blog/2020/11/vol1620201130-3.html#01

 11月14日までの1ヶ月間で、前月に比べ2倍(2.87%)が抗体検査で陽性と判定されている。抗体検査は擬陰性が30%程度あるとされるので、陽性率を4%と補正。患者が感染率の少ない中高年がメインなので、1.2倍すると、陽性率を5%と補正。11月中旬は第3波が立ち上がり始めた時期(10月末で160人、11月中旬で300人)になるため、12月末(800人)に換算すると、2.7倍、陽性率を13%と補正。いささか乱暴な計算ではあるが、恐ろしい数字になる。感染者の増加が急峻になってきた件を考慮すると、陽性者の数はまだそこまで多くはなく、11月中旬時点までの陽性数35000人が12月末で6万人なので、第1波の検査数不足を考慮して1.5倍程度の8%前後と見た方が良いだろう。それでも十分高い数字である。
 上の表の下部には、こちらの抗体検査の陽性率から逆算した感染数を試算しているが、陽性率の週毎の増加分(v)から単純に週毎の感染者の発生率(w)を割り出し、1日の感染数(x)=6000人(23区内人口で換算)を割り出した。表の上側では、満員電車感染者が全体の4割程度を占める事を想定しているので、同じ割合とすると、2400人程度になり、4倍近い満員電車感染者数となる。どちらの数字が現実に近いのかは、今後の感染状況のデータを見てから改めて検証する事にする。

 同クリニックの報告で、

「抗体陽性者の過去の症状を確認すると、発熱症状は20%のみ」

という記載があるが、和歌山県のデータでは80%が発熱しており、真逆の結果となっている。症状の性質自体に変化が無いものと仮定すると、80%以上が無症状(に近い)感染とも解釈出来る。それが事実であれば、大変な事である。表(d)で掲げたPCR検査捕捉率25%を更に下げなければならない。捕捉率が低くなれば、感染者の実数は更に膨らむ事になる。

 6月の記事「出口の無い新型コロナウイルス」では電車内での感染については一言も触れてなかったが、
https://ameblo.jp/noppo-oji/entry-12601847362.html

 仮に満員電車に30分立ち乗りで乗車した場合、途中の駅で乗客が乗り降りする毎に押されて位置がずれ、複数の吊り革を握る事は普通にある。朝の通勤で満員電車を2回乗り継ぎ、それぞれ2つずつ吊り革を握れば、合計4つの吊り革を握る。感染者がそれを5日間に渡って繰り返した場合、20本の吊り革に新型コロナウイルスを暴露させるが、それでも平均3人しか感染していないのは、むしろ驚きの少なさである。1つの吊り革から2~3人が感染してもおかしくないと思うのが普通だろう。それを更に減らす対策をしなければ効果が期待出来ないという、厳しい現実に向き合わなければならない。
 満員電車で吊り革を握るのは、多くは男性である。吊り革の数は立っている乗客の3割程度分しかない。吊り革を握る人が吊り革を握れない人の揺れまで支えないとならないが、女性では身長でも体力的にも難しい。また、首都圏の電車通勤利用者の65%が男性であり、電車内感染者の75%前後が男性であると推測する。

 どう対策すれば満員電車感染を減らせるか。

 3分で滅菌する吊り革があればかなりの感染防止になるかと思うが、現実は多くても1日1回の消毒しかしていない。これでは満員電車の時間帯には全くの無意味である。
 

 鉄道事業者が可能な対策としては、

1.改札の出入りでのアルコール手消毒を強制する
  乗車時間の経過と共に効果が失われる。実効再生産数は30%減少。
 

2.乗客に対する行動要請として、吊り革を握る前に手にアルコールを噴霧し、乾燥前に吊り革を握って消毒する
  実施効果は高いが、乗客に対する徹底が不可能。実効再生産数は30%減少。
 

3.乗客に対する行動要請として、満員電車に立って乗車中のスマホ接触を控える
  実施効果は高くはなく、乗客に対する徹底は比較的し易い。実効再生産数は20%減少。
 

4.吊り革の素材を光によってウイルスを短時間で不活性化するものに変える
  電車内の明るさで10分程度でウイルスが90%不活性化する効果があれば50%減少レベルの効果が期待出来るが、大日本塗料の塗料で4時間で99.99%不活性化可能なもので逆算すると、10分では30%しか不活性化しない。実効再生産数は10%減少。

 以上の対策を全て実施した場合、実効再生産数は2.7から0.95まで下がる。
 満員電車での実効再生産数が1.0を下回らない限り、感染者は一定水準までしか減少せず、満員電車の中だけで永遠にウイルスが引き継がれる。ウイルスの変異による感染力の強化によって再び感染増加に転じるリスクは残る。
 少なくとも、今出来るレベルでの電車内感染対策をやれば、感染者を徐々に減らすことは可能であり、無謀な緊急事態宣言で経済を止める必要はない。

■参考
都内の最新感染動向
埼玉県の感染確認状況