【いつもより荷物の重い日が好きだ。 お昼の弁当に加えても、もう二つ、夜に彼と食べる用の弁当を作る。食べる場所は決まって“ホテル”で ──「ハンドメイド」。 僕のお父さんは一人じゃない。お父さんの後ろには、真っ白な顔のお父さんたちが並んでいる ──「ジャム」。恋愛からホラーまで、松井玲奈が見つめる“人間模様”を描く、鮮烈なデビュー短編集が待望の文庫化。単行本収録作品6編に文庫書下ろしの「オレンジの片割れ」を加えた全7編を収録。([BOOKデータベース」より)】
2019年の作品です。
作者の松井玲奈さんはSKE48の元メンバーで、今作が小説家としてのデビュー作になります。アイドル時代の松井さんのことはそれほど知らないんですが、「アメトーーク」の鉄道芸人に何回か出てるのが印象に残ってます。
「食」にまつわる短編が7篇収録されてるんですが、全部違う切り口で引き出しをたくさん持ってますね。
どの話も書き出しがよくてスッと話に引き込まれます。特に「完熟」の冒頭部の風景描写は夏の田舎の光景がパッと脳裏に浮かんできてうまいなって思いましたね。
作品では「ジャム」が一番印象的でした。ホラー的な導入からグチャグチャのスプラッターに展開していって一際異彩を放ってました。
「累々」という第二作品集もすでに刊行されてるようですが、長編も読んでみたいですね。