書籍 『黄昏の岸 暁の天 十二国記 8 (新潮文庫) 』小野不由美 | 福玉本舗〜ノンジロウのブログ〜

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 【驍宗が玉座に就いて半年、戴国は疾風の勢いで再興に向かう。しかし反乱鎮圧に赴いた王は戻らず、届いた凶報に衝撃を受けた泰麒も忽然と姿を消した。王と麒麟を失い、荒廃へと向かう国を案じる将軍は、命を賭して慶国を訪れ、援助を求める。戴国を救いたい―景王陽子の願いに諸国の麒麟たちが集う。はたして泰麒の行方は。(「BOOK」データベースより)】 

 戴国の王、驍宗が乱を鎮めにゆき、行方不明になり、戴麒も何者かに襲われて角を失い、その際に起こった触によって蓬莱に飛ばされてしまうシーンから物語が始まります。
 王と麒麟を失った戴国はみるみると荒廃してゆきます。戴国を救うために泰麒と同じ胎果である景王陽子を頼って、将軍李斉が満身創痍で慶国に辿り着きます。

 今作はのっけからスリリングな展開でこれまでの作品の中では一番食いつきがよかったですね。
 戴麒捜索のために今までほとんど交流のなかった各国の王と麒麟が慶国に集結する展開は、ここまで読んできた読者へのご褒美とも言える胸熱シーンでした。
 エピソード0ともいえる『魔性の子』で語られた高里の周囲で起こった怪事件の真相と、高里が再度十二国に帰れたわけも描かれてて『十二国記シリーズ』では一番夢中で読んだ一作でした。

 今作で初登場する常に美しく着飾り、趣味の悪いものを毛嫌いする美貌の氾王がかなり癖の強いキャラで魅力的でしたね。延王尚隆とそりがあわないって設定もいいですね。

 今まで詳しく語られてこなかった「天」について少し突っ込んで描かれてるとこも興味深かったですね。

 今作は話が完全に途中で終わるんですが、この続きの『白銀の墟 玄の月』(全4巻)が出版されるまで18年の歳月を要したんですね。間髪入れず読める幸せを噛み締めてます。