映画 『クライマーズ・ハイ』 | 福玉本舗〜ノンジロウのブログ〜

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 【1985年8月12日、乗員乗客524名を乗せた日航機123便が、群馬と長野の県境に墜落、その一報が北関東新聞社に入る。編集部で全権デスクに任命された悠木和雅(堤真一)は記者として扱う一大ニュースに対する興奮を禁じえないが、中央紙とのスクープ合戦や組織や家族との衝突を経て、命の重さに対しわき上がる使命感を覚える。(シネマトゥデイより)】

 一昨日原作を読み終えたので急に観たくなりました。
 過去に2回か3回観てて好きな映画なんですが、やっぱり原作を読んでみると映画は少しわかりにくい部分が何箇所かあるなって思いましたね。

 とはいえ個人的には十分楽しめる作品だと思います。その上であえて引っかかった部分を書いてみます。

 映画サイトのコメント欄で何件かあったんですが、セリフが聞き取りずらい場面がたまにありましたね。あと作中で何度も「大久保・連赤(おおくぼ・れんせき)」ってセリフが出てきます。これは映画だけ観てるとなんのことかわかりにくいんじゃないですかね。「大久保」は連続殺人事件の大久保清、「連赤」は連合赤軍のことでどちらの事件も群馬県警が大きく関わっていて、地元の北関東新聞の幹部記者たちはこの事件の渦中にいたことをいまだに勲章にしてるってことです。

 墜落事故の合間にそれから十数年後の悠木と友人安西の息子燐太郎の谷川岳衝立岩登攀のシーンが度々挟み込まれます。ここでは悠木とその息子淳とのわだかまりのある関係性に触れられてるんですが、描き方が不十分で観客には伝わりにくいんではないかと感じました。
 ハーケンのシーンは原作では結構感動したんですが、映画ではそれほどでもなかったですね。
 時間的な制限があるんで思い切って墜落事故とそれを伝える新聞社の部分に絞って描いてもよかったんではとも思いましたね。

 キャストは素晴らしかったですね。堤真一、堺雅人、遠藤憲一、滝藤賢一、でんでん、皆川猿時、高嶋政宏、小澤征爾、田口トモロヲ、マギー、西田尚美、山崎努など実力派の役者が揃ってますね。ただ、山崎努演じる社長はあまりにもキャラ作りすぎって感じで、いくらなんでもこんな人が新聞社の社長って無理あるんじゃって思いましたね。
 皆川猿時さんは今作で初めて知って、すごくアクの強い役者だなと思ったんですが、のちに大人計画などのコミカルなキャラを見てそのギャップに呆然とした記憶があります。
 
 原田眞人監督の臨場感あふれる演出は良かったです。日航機墜落の第一報が入った時の編集局内が一気に熱を帯びるシーンはゾワッってしましたね。

 原作を読んだ故の物足りなさも感じましたが、いい映画だと思います。