書籍 『月光 』 誉田哲也 | 福玉本舗〜ノンジロウのブログ〜

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【同級生の少年が運転するバイクに轢かれ、美しく優しかった姉が死んだ。殺人を疑う妹の結花は、真相を探るべく同じ高校に入学する。やがて、姉のおぞましい過去と、残酷な真実に直面するとも知らずに…。ピアノソナタの哀切な調べとともに始まる禁断の恋、そして逃れられない罪と罰を描く衝撃のR18ミステリー。(「BOOK」データベースより)】

大好きな姉涼子がバイクにはねられて死んだ。はねた相手は姉の同級生。しかも事故現場は姉の行動範囲とかけ離れた場所。妹の結花は単なる交通事故として処理された“事件”の真相を探るために姉と同じ高校に進学する。
なかなか興味をそそる設定なんですが正直ミステリーとして捉えたなら取り立てて最後に“驚くべき真相”のようなどんでん返しもないんでややもの足りない読後感でした。

涼子をはねた同級生菅井清彦という少年がこの作品のキーになってます。いわゆる“やんちゃ”系な少年ですが本来はそれほど性根の腐った人間でもないんですが、つるんでる友人の瞬がどうしょうもないクズで邪悪そのものな人間です。この2人がある現場を目撃するんですがそれによって瞬の邪悪なものが一気に吹き出し清彦までも浸食して清彦の心底にある邪悪なものまで引きずり出し歯止めのない暴走に流されていきます。

人間誰しも心の中に嫉妬や怒りなどの負の感情を抱えていてそれがかなり大きい人間もいれば小さい人間もいる。そしてその負の感情を自制出来る人間もいればなにかのきっかけで表に出てしまう人もいる。そういう部分はよく描けてるなと思いました。

ブログでオススメするのはどうかと思い放置してたんですが死んだ涼子の最後があまりにも悲し過ぎて頭から離れないんでこの記事を書く事で成仏してもらいたいと思います。

物語の性質上途中とんでなくエグい描写があります。それゆえに「R18ミステリー」なんて表されてるんですが、そのせいでネットのレビューを見るとかなり不快感をあらわにした意見が多いですね。そのため誉田さんの作品にしては評価がやや低めです。ただ読み出したらグイグイ引き込まれて一気に読ますだけの作品ではあります。

読んで気持ちのいい作品ではないですが興味のある方は読んでみて下さい。ただ途中で読む気がなくなる可能性もあるんで出来れば中古で100円くらいで購入されることをオススメします。