農業全書 029 山林の総論 後半 | noninomのブログ

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農業全書 29
 
山林の総論 後半

 

 

こんにちは!

田舎暮らしを断念した過去があるものの、

また半自給自足生活を目指して

自然栽培的農業や

DIY(軽トラキャンピングカーや家作り)などの

學びを続け奮闘しているニモです!

よろしくお願いしますにっこり

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最近石臼に触れる機会がありました。

見事な溝と造りです

上の石と下の石の間、中央に近い部分は当たらないように隙間がある事がわかりますね

これにより上の穴から落ちてきた実が全体に広がり均一に挽けるようになっています

「人間の歴史は石臼の歴史」と言われるほど関係が深いそうです。

 

 

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本文

 

 
扨山は喩へば土地の中にては肉のごとき所にて、神靈の氣もあつまりて其氣厚きゆへに、生長する草木も平地よりはうるはし。
是を人の身にたとゆれば、山は脊(セキ、背中)にて肉あつく、平原は腹のごとくにて肉薄し。
されば海近き平地に勝れたる大木のなき事は地の薄きゆくなり。
又都の邊(ホトリ、端)或は國の都に近き山林に橿(カシ)を専らうゆべし。
色々器物に作り、又は物の柄にして諸木にまされり。
薪にしては雑木に三倍せり。 
かしの木に十三の能あり。
橿の條下にしるしをくなり。
徳多くして損なき良木なり。
實をおほく取りをき必ずうゆべし。
又史記の貨殖傳(伝)に、安邑千樹の棗、燕秦の栗、陳夏の漆、齊魯の桑麻、渭川の竹、是等の物を千萬本もうへ生立て持ちたる人は、其富千戸侯とひとしとて、一郡をも取るほどの分限にもをとらぬ富なりとしるせり。
本朝にてもこれに似たる事あり。
紀州、駿州、肥州のみかん、濃州、藝州の柿、防州、濃州の楮、丹波の栗、たばこ、但馬の山椒、 東國、 北國の絹綿、河内、播磨の木綿、吉野の榧(カヤ)、伏見の桃、阿波、土佐の材木、薪炭、其外諸所の名物土産品々これ多し。 
五穀に次いで世を助くるの用かぎりなし。
然れば木の實をうへ、山林をそだつるはかりごと年月にしたがひて怠るべからず。
又木竹を伐りとるに時を定め、又栽ゆる時も月日を定め、年中きりとるかはりを倍々仕立てをくべし。
凡春の始めいまだ耕作におもむかざる前、村里の人心を合せ、地をゑらび、年々怠らず竹木をうへをきたらんは、いつとなくさかへしげりて材木竹薪に事かかず、井せき、池、川等の普請󠄁(請)にも甚だ人力を助け、或は食物を煮るも心のまゝに調ひ熟し、冬も薪多ければ居室もをのづから暖かになり、夜の勤め早起も心よくして苦労なく、家内に陽氣みちぬれば疫病などのうれへなく、上下男女の氣もすすみ、朝夕營むわざ怠らず、いつとなく百の殃(ワザワイ)は退き、をのづから萬の福のみ来るべし。
又古語にも、禮義(礼儀)は富足に成り、盗賊は貧賤よりおこるといへるごとく、衣食たりぬれば自然と人の心も正しくして、禮義を守り、恥をしり、 孝弟の道も教へずして行はれ、豊饒の家となり、命まで長き計も此内にそなはれり。
又木をうゆる事は廻り遠き事のやうなれども、惣て廣く遠き計は、淺近の手立にては事ならぬ道理なり。
日本の俗に仕置と云ふことばは、國家の政をするに後年の事を前に委しくをしはかり、かねて仕をく事なるべし。
されば中庸に凡事豫め(あらかじめ)すれば則ち立ち、あらかじめせざれば則ちすたる、言前に定むれば則ちつまづかず、事前に定むればくるしまず、といへり。
萬の人事も前にはからずしては其功なりがたし。
其上種藝の事は、四木三草を始めとし、前々より其國所に多きか少きか必ずあり來る物なれば、それを取立て、相續きて絶間なく多くうへたらんは、手の下より則ち用に立つ理りなり。
又山中に穀物を作れば鹿鳥などにそこなはれ、利をうしなふ事おほし。
農人其所のあしきならはしにしたがひて、利潤なく地にあはぬ穀物をしいて作る誤りも所々ある事なり。
かならず土地の宜きを能くはかりて、四木等を始とし品々委しく考へて利の多き草木を栽ゆべし。
地の道は種ゆることを尊ぶとて、五穀に次では冬春の間竹木をうへ生立てをきて、夏秋に伐ることは定まる法と記しをけり。
四木は桑、漆、茶、楮(コウゾ)、三草は麻、藍、紅花是なり。
 

 

○意訳○

 

さて、山はたとえば土地の中では肉といえる場所、神霊の氣も集まり厚いので、草木も平地よりもよく育つ。
これを人の体で例えると、山は背中で肉が厚く、平原は腹で肉が薄い。
(最近はお腹の大きな人の方が多いですが、、、脂肪でなくて筋肉のことでしょうねにやり
したがって、海の近くの平地には優れた大木がないのは、土地が痩せているためである。
また、都の近くや国の都に近い山林には、主に橿(カシ)の木を植えるべきである。
カシの木はさまざまな道具や器具に加工するのに適しており、持ち手や柄としても利用でき他の多くの木よりも優れている。
薪として使う場合、雑木よりも三倍の価値がある。 

カシの木には十三種類の用途や利点がある橿の項目の下にそれについての詳細を記録しておく。

利点が多く、欠点のない良い木である。
多くの実を収穫して必ず植えるべきである。
『史記』の「貨殖伝」には安邑の千本の棗(ナツメ)、燕と秦の栗、陳と夏の漆、齊と魯の桑麻、渭川の竹といった特定の地域の植物を大量に栽培し、それらを成長させて持っている人は、その富が千戸侯(古代中国の大貴族)と同等であり、一郡をも支配できるほどの地位に劣らない富を持っていると記されています。
我が国にも似たところがある。
紀州、駿州、肥州のみかん、濃州、藝州の柿、防州、濃州の楮(コウゾ、和紙の原料)、丹波の栗、たばこ、但馬の山椒、 東國、 北國の絹綿、河内、播磨の木綿、吉野の榧(カヤ)、伏見の桃、阿波、土佐の材木、薪炭、その他諸々の土地の名物土産品々がある。 
五穀の次に役立つものが多くある。
それゆえ木の実を植え山林を育てる計画は、年月を重ねるごとに怠らずに続けるべきである。
また木や竹を伐採する時期を決め植える時期も月日を決めて行うべきである。
一年中の伐採と合わせて倍、植え育てるよう計画を立てて実行するべきである。
春の始め、まだ田畑の耕作が始まっていない時期に村の人々が協力して適した土地を選び毎年怠らずに竹や木を植える事を続ければやがて成長し材木や薪に困ることがなくなる。
井戸や堰、池、川の建設にも非常に役立ち食物を調理するにも薪が十分にあり冬も居室が暖かくなる。
夜の作業や早起きも快適にでき家の中に陽気が満ちて病気の心配もなくなる。
男女ともに気持ちが高まり、朝夕の仕事を怠けずに勤めるようになる。
そうするとあらゆる災いが退き、自然と多くの幸運が訪れる。
古い言い伝えにも「禮義(礼儀)は富足に成り、盗賊は貧賤よりおこる」と言われ
衣食住が足りていれば自然と人の心も正しく安定し礼儀道義を守り恥を知り、家族への愛や道徳も教えなくとも行われ、家は豊かになり健康長寿の基盤が備わる。
木を植える事は遠い回り道のように見えるが広く遠くを見据えた計画や目標は短期的な対策や手段では達成できない。
長期的な視野で取り組む必要がある。
日本の「仕置」という言葉は国家の政策や政務において将来のことを詳しく考えあらかじめ計画を立てておくことを意味する。
中庸(バランス)を保ちすべての事を前もって準備しておけば成功し、準備を怠れば失敗する。
言葉を事前に決めておけば誤解や問題に直面することなく順調に進み
事を前もって計画しておけば、困難や問題に苦しむことがないと言える。
すべての人の行いも事前に計画しておかなければその成果をあげることは難しい。
その上、作物や草木を植える事は四木三草(※)を始めとして以前からその国、土地によって多い少ないが決まっている。
それを選び継続して植え続ける事で容易に良い結果が得られる。
山の中で穀物を作れば鹿や鳥などに取られてしまって収穫は少なくなる。
農人はその土地の悪い習慣に従って土地に合わない穀物を強いて作るような誤りをいている事もある。
必ずその土地の状況を良く考えて四木などを始めとした様々な種類を詳しく考えて利益の多くなる草木を育てるとよい。
「地の道」(土地を管理する道)は「植える」ことを重んじており、五穀に次いで冬から春にかけて竹や木を植え育て夏から秋にかけて伐採することが定められた法であると記している。
 
※四木とは桑、漆、茶、楮(コウゾ)、三草は麻、藍、紅花。
 

 

○感想○

 

今回も深い内容でした。
食べ物、穀物はもちろんの事、薪や建築、器、衣類など様々な用途になる植物を
相応しい土地に継続して植え続ける事で長年に渡って家計や国の治世の安定に貢献する事が書かれています。
そして長期的な視野を持って計画しあらかじめ決めて行動していく事で
困難にも対応できること。
 
衣食住がある程度確保されていれば人は落ち着いて生活でき犯罪を犯す事は少ない。
これも実感がありますね。
 
 
最近、竹の利用を考えたり羽畑サロンの中でも話す事がありました。
竹細工、カゴや器ですね。竹チップを堆肥にしたり竹炭も畑や田んぼに良い効果がある事が多い。
 
そして、これも日本には深い関わりのある植物で衣類、建材、紙、食べ物として利用されてきた歴史があり、
油は燃料(エネルギー)にもなり成長も早いので最近の法改正により産業用途でも期待されます。
麻の事も様々な場所で話題になり栽培、加工をやろうという動きが出ています。
 
 
今回で「総論」は終わりです。
ここからは個別の作物について記述されている項になります。
最初は五穀(穀物)についてなのですが順番を飛ばして
この麻や竹の項を先に書いていこうと思います。
引き続きよろしくお願いしますにっこり

 

 

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