うみこです
前々回からのブログのつづき
以前働いていた考古学関係施設での
お仕事についてです
今回は番外編
レポート並みに
保存処理について語りたいッ
のコーナーです笑
興味のない方はしばしさようなら笑
というわけで笑
前回ブログにて
木製品の保存処理
PEG含浸法について
自分の体験談を書きました
木製品の保存処理方法はいくつかあって
次に書くのはトレハロースを使った保存処理です
トレハロース含浸法
トレハロースは
聞いたことある人もいるはず
食品にも使われる人工糖です
砂糖を使ってた頃もあるらしいですが
虫や日本の気候などの問題から
最近はトレハロースが普及しているようです
トレハロース含浸法の仕組みは
PEG含浸法と同じで
トレハロース(人工糖)を溶かした水溶液に
木製品を漬け込み
木製品内の水分を糖に置き換え
水分を蒸発させ
糖を結晶化することによって
木製品を補強、強化します
砂糖で木製品を強化するなんて
おいしそう〜
べたべたしそう〜
などと思いますが笑
全然甘い香りもなく
べたべたもせず
PEG含浸法並みにしっかりと強化されます
トレハロース含浸法は
処理期間が1〜2ヶ月くらいと
PEG含浸法が1年かかることに比べると
短くすむことが利点ですが
糖結晶化過程までの温度調整など
処理が難しいといった問題点があります
ちなみにPEG含浸法は
処理中の管理が比較的簡単だったり
大量に処理できるなどの利点がある一方で
処理に時間がかかったり
漆を含む木製品はできないなどの
問題点があります
残念ながら完璧なものなんて
世の中には存在しないんですねー
木製品の保存処理には他に
真空凍結乾燥法がありますが
科学的なのでここではちょっと省略します笑
科学は難しい
まー、含浸法もいわゆる科学か…
分子やら浸透圧やら…笑
さて
ここまでは木製品の保存処理について
書きました
続いて金属の保存処理について
簡単に書いてみようと思います
金属の保存処理
発掘現場で発掘された遠い過去の金属は
当然ながらピカピカではありません
これが鉄っていうくらい
土やサビで覆われた茶色の塊です
(金は除く笑)
金属は腐食が進行すると
ボロボロになってしまいます
これ以上の腐食を食い止め
さらに強化するのが
金属の保存処理です
そもそも腐食やサビってどういうこと
って話ですが
はい。きた。化学のお時間です笑
鉄は酸素や水があると
化学反応(イオンのやりとり)が起きます
この化学反応によって
鉄が表面から侵食される現象を腐食といいます
腐食によって溶け出した鉄と
酸素や水が結びついたのがサビです
そこに塩分が加わると
さらにサビが進行してしまうのですが…
そもそも鉄は人が作った人工物なわけで
サビは鉄が自然に還ろうとする産物
という感じでしょうか笑
はー難しい
つまり化学反応です笑
そして
金属の保存処理方法はざっくりいうと
グラインダーやエアブラシなどで
表面の土やサビを除去
脱塩処理
腐食の促進因子である塩化イオンを
遺物から取り除く
樹脂含浸
透明なアクリル樹脂を遺物に染み込ませて
強化する
という感じです笑
脱塩やら含浸やら
意外に考古学にも
科学化学理科が関係してくるんですよーピエン
あと
木製品も金属も
保存処理したから大丈夫ということは決してなくて
保存処理後は温湿度管理した収蔵庫で保管します
そして閲覧や貸出の機会があれば
その時は遺物の状態を再度把握する
絶好の機会です
実際に閲覧時に
遺物の異変に気づいたこともありました
気の抜けない世界なんです…
次のブログでは
その他の雑務などについて
書きたいと思います