鶴見線のクモハ12 | きゅうの休憩室

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ドールを始めたのは2015年。
コロナの自粛生活がきっかけでアニメに転向。
工作はチマチマと続けていますが。。。



突然ですが、鶴見線のことを書きます。

年末で片付けをしていたのですが、

1冊のアルバムをつい開いてしまったら…

そこからはお定まりです。

片付けはそっちのけで見入ってしまいました。

その中から、20枚少々の軽いお散歩として

鶴見線の旅にご案内したいと思います。


冬の1日、カメラ片手にぶらりと乗りに行った

スナップをご覧ください。


撮影日は1990.1.14とあります。

四半世紀も前のこと。


写真を見ながら、鮮明に思い出す記憶は

近間でも、通勤電車でも、街なかでも

旅に出たような不思議な体験でした。


では、ご一緒にタイムスリップしましょう!



1990.1.14(日)

たぶん年末から使っていた青春18切符が

1枚余っていて出かけたんだと思います。


時刻表も準備せず気軽に出かけました。

私にとって鶴見線はまったく接点がなく

じつにこのときが初めての訪問でした。


京浜東北線で鶴見駅に到着。

案内表示にしたがい乗換口へ向かうと…

そこには改札口がありました。

JRからJRへの乗換なのに改札とは?


想像ですが、私鉄時代の名残か、または

鶴見線内は無人駅が多いので

鶴見までの運賃精算と鶴見からの

最低料金だけでも取ろうという魂胆か…

たぶん後者と思いますが

私は青春18キップなのでフリーパスです。


改札を入ると(あれ? 出るとになるのかな?)

行止りの2線と向い合う2面のホームがある。

向こう側のホームに行くには

一番奥をぐるっと周らなければなりません。

でも大丈夫。

最大でも3輌連結なのでホームも短いのです。


それに列車本数が少ないので

日中は改札側のホームにしか電車は来ません。


折しも黄色い3輌編成の電車が入ってきました。

101系という新性能電車の元祖です。

今となってはたいへん貴重な車輌で、博物館

でしか見られませんが、この日のお目当ては

クモハ12形という化石のような電車ですので

黄色い電車は見送ります。







次に到着したのがクモハ12形です。

この電車は昭和4年生まれのモハ31が元で

運転台は片方にしかありませんでした。

後に連結側にも運転台を増設して

1両でも走れるように改造しました。

そんな事情で前と後ろの顔つきが違います。

間もなく発車時刻です。 乗り込みましょう。







車内は意外に混んでいます。

というか、小型車輌で1両だけなので

ちょっと乗ればすぐ混んじゃうんですね。

鶴見を出発してすぐぱらぱらと下車していき

ほどなくがらがらになりました。


空いてきたので車内を観察してみると…

内装は木製です。

運転台は増設側なのでとても狭く、

大きめな運転手は膝がつかえるため

斜めに納まっています。

スピードメーターは設置場所がなくて

窓の柱についているのが見えますね。


国道という駅で国道をまたぎ、川を渡ると

工場地帯に迷い込みました。

日曜日で乗客のまばらな電車は

工場の脇をことことと進みます。

この電車の行き先は海芝浦です。









本線から直角に曲がり、

運河に沿ってしばらく走ると

海に突き当たります。

ふたたび直角に曲がると海芝浦です。


海芝浦駅は不思議な駅で

下車してもどこにも行かれません。(!)

というのは、この駅は東芝工場の敷地内にあって

工場で働く人や用事のある人しか来ないのです。

実際降りてみると改札口のすぐ前に白線がぐるっと

引いてあり、関係者以外線から出るなと書いてあります。

どうしても、というのなら海に飛び込むより仕方ない。

ホームの柵の下はすぐ海ですから!


この日5・6人乗ってきましたが

皆キップを買いなおして折り返しました。

発車まで時間があるので

もう少し詳しく電車を観察してみましょう。


内装は木製でペンキの匂いがしそうですが

木製床の油引きの匂いがしました。

外板は鉄板です。

リベットという鋲でとめてあります。

サッシもアルミサッシでなく木製です。

電気はレトロな丸いやつで、

ドアの真ん中にはつかみ棒があります。

スタンションポールといいますが

つかまるため、というより車体の補強です。

網棚はほんとうに網。

クモハ12052・053の2両あり、所属は

弁天橋電車区で交代で走っていました。


さあ帰りの電車は発車時刻です。

今日は日曜日なので鶴見・海芝浦間と

鶴見・大川間を替わりばんこに走ります。

浅野で降り、武蔵白石へ向かいました。











あ、クモハ12がやってきました!

鶴見まで行ってきたクモハ12は

そのまま扇町方面のホームに停車します。

そして一旦上り線に戻りスイッチバックして

大川支線専用ホームに停車しました。

(停車時間の都合で帰りに撮ったので

 看板は鶴見行なっています)

余談ですが、この電車は同じ駅に2度

停車することになります。

何かミステリーのネタに使えそうですね。

鶴見線誘拐計画… または殺人事件!


乗車するとすぐ発車。

ひと駅で大川駅に着きました。

何の変哲もない駅で工場しかありませんが

駅前に道路があるので下車できます。


両終点までの旅も終わったので戻りましょう。

鶴見へ戻る途中、気になる国道駅で下車。

駅の雰囲気はやはり私鉄っぽいです。











国道駅で乗ってきたクモハ12を見送ります。

あれ? 鶴見へ向かう電車の後姿の看板が
海芝浦行きになっていますね。

運転手か車掌が手で差し替えますが

気が早い車掌が替えちゃったみたいです。

これもアリバイのネタになりそう…

海芝浦行き電車は見た! なんちゃって。


次はターミナルの鶴見なので、

すぐに海芝浦行きとなって戻ってきます。

こちら側にも扇町からの電車が到着しました。

国道と東海道線を一跨ぎすれば終点鶴見です。

ご覧のように鶴見駅のホームは

3輌編成でいっぱい・いっぱいです。

クモハ12が停まっていたときは

けっこう長く見えたんですけどね。


アルバムの写真はこれで終わりです。

クモハ12はもう少し命ながらえて

1996年まで活躍したそうです。


そして私はその後の鶴見線に乗っていません。

クモハ12の思い出が壊れてしまうのが

もったいなくて行かれないのです。


たまに東海道線で鶴見を通るとき、

頭上をまたぐ鉄橋にクモハ12の姿が

見えるような気がして、つい見上げてしまいます。



本日は鶴見線へのタイムスリップの旅に

お付合いくださいまして、ありがとうございました。

またのご乗車をお待ちしていまーす。











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