三体(ネタバレします) | 野村孝博のブログ

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 劉慈欣著、大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳、立原透耶監修「三体」を読みました。著者は中国のSF作家ですが、本業はエンジニアで、発電所のコンピュータ管理を担当しているそうです。あちこちから「面白い!」との声を聴き、期待を大きく膨らませて、満を持して手に取りました。

 

 第一部のタイトルが「沈黙の春」でした。「沈黙の春」は家に積読してあるので、「読んでおけばよかった」と後悔させられました。とはいえ「沈黙の春」がそれほど大きな意味を成しているわけでもなく、「沈黙の春」の内容も何となくは理解しているので、読み進めるうえでは問題ありませんでした。第一部の舞台は1967年の中国、文化大革命の渦中です。たいしたページ数ではありませんでしたがその酷さがよく伝わってきました。

 

 場面は変わって現代の会議です。この会議のメンバーは軍人だったり、化学者だったりと多岐にわたり、しかも内容が明らかにされません。ナノテクノロジーの科学者・汪淼が会議に招聘されるのですが、近くに座った警察官・史強と揉めることになります。この時点で「この二人は後で、良いコンビになっちゃうのでは」とベタな予想をしてみましたが、意外と遠からずでした。

 

 タイトルの「三体」が、よくわからなかったのですが、最初に出てきたのはゲームの名称でした。「えっ?ゲームの話??」とちょっとがっかりしたのですが、そんなスケールでは収まりません。ゲームの謎を解明することと同時進行で、先述した会議の内容も理解できるようになって行きました。更に読み進めると「三体」というのは、古典力学における「三体問題」来たものであることがわかってきました。これは知っている方は知っているのでしょうが、私は全く存じ上げませんでした。著者の意図かどうかはわかりませんが、ゲームで若干薄っぺらいストーリーを予想させておいて、古典力学を持ち出し、最終的にはゲームと同様の「三体世界」が宇宙に存在しているということがわかります。先ほどの会議は、物凄く簡単に言ってしまえば「三体世界」が地球に襲来してくることに対しての対策を練っているのでした。

 

 長くなりましたので、明日に続きます。