小田村寅二郎・小柳陽太郎著、国民文化研究会編「入門・聖徳太子十七条憲法」を読みました。著者の小田村氏は日本の保守派の学者、小柳氏は教師で国民文化研究会の副会長です。日本国憲法はかじったものの、十七条憲法から勉強しなおしてみたいと思いつつ何年たったことやら、、、Amazonで十七条憲法を検索したら本書がKindle Unlimitedに会ったので手に取りました。
女子高生の十七条憲法独語の感想文集、小田村寅二郎氏の寄稿、小柳陽太郎氏の寄稿、「語り継ごう 日本の思想」の第一章の4編からなる本でした。
いきなり女子高生の感想文ということでしたが、そもそも私が十七条憲法をろくに読んだことがないのに、感想文から入るというのはどうしたものかと思ったのですが、女子高生のしっかりした感想文に齢五十のおじさんが気を引き締められて、その後の寄稿により集中して臨めた気がします。本書は2019年発売なので、この感想を書かれた女子高生が現在まだ22~3歳、うーん、世の中にはしっかりした方がいらっしゃるものです。
小田村氏の寄稿はまず四条から17条までを解説し、続いて第三条、第二条、第一条という順番で解説してくれました。一、二、三条は総括的な心得、最も基本的な人生観・社会観をしめされたものだとありました。四~十七は身近で分かりやすい、つまりは一~三が幹で四~十七が枝葉と言ったところなのでしょう。すごく恥ずかしいのですが、「和を以て貴しと爲し、」という文言と「十七条憲法」と「聖徳太子」と「冠位十二階」が全くつながっておりませんでした。若いうちにちゃんと勉強しておかなければ駄目ですね。
小柳氏の寄稿では、ひたすら一条を解説してくれました。いや、その中でも「和を以て貴しと爲し、」の「和」をものすごく掘り下げています。「和」という言葉だけだと、「みんな仲良く」なんて雰囲気を感じるのみですが桑原暁一氏の言葉を引用し「太子にとっての『和』とは、衆とともにより高きものを志向することである。」とありました。これが深い解釈だということは分かりますが、一度読んだだけだと全く身にならないので、更に勉強が必要だなと思いました。
四編目では再び十七条憲法の解説でしたが、開設されているのは一から五で、五の訳が終わったところで唐突に本書は終了しました。「こんな終わり方?」と驚かされましたが、どう見ても終わりなので仕方がありません。
十七条憲法については稲盛和夫氏の思想とも近いものがありましたが、聖徳太子は仏教を日本に広めた方で、稲盛氏も仏教の影響が大きい方ですから近くなるのも必然ですね。十七条憲法についてはもう少し深く掘り下げたいと思います。