学習塾の体験授業や季節講習に参加すると、その後の面談などで早期の入塾を勧められることが多いかと思います。
本人や保護者は「塾ってどんなところなのかな?」とあくまでちょっとお試しのつもりだったり、「他の塾もいろいろみてみたい」という希望があれば、そのお誘いを断るのはもちろん自由。
「入りたい」と思ってもらえるなら、勧誘などしなくても入塾してくれるもんだし、「急かさなくても」と感じられるかもしれません。
では、「どうして塾側が早めの入塾を促すのか」、その理由を塾講師視点でいくつかあげてみますね。
1.売り上げのため
保護者目線でまず思いつくのはコレでしょうね。
あまりに「早く入塾しないと…」なんてせかされると、「やっぱりお金をたっぷりとられちゃうのかしら」と疑心暗鬼になることもあるかもしれません。
まぁ、「ない」とは言わないです。
規模の小さい個人塾にとって入塾者が1人でも増えるのはありがたいもの。
早めに入塾してもらえれば、その分受験まで長く通っていただける可能性も高いですし。
ただ、うちのような気の小さい塾長の個人塾だと「あの塾に体験にいったらかなり強引に勧誘された」なんて風評が出るかもしれないというデメリットを感じてしまって、積極的な勧誘ってできないんですよねえ。
だから自分は体験後の面談のあとは確認のための連絡を1回入れるくらいにしています。
一方、多店舗展開する大手の塾だと「生徒数の多さ≒教室長の評価」となるため、こちらの方がマニュアル化されたセールストークを駆使してなんとか早めに入塾させようとしがちかな。
とにかく上から数字のことでは締め付けられますから。
雇われ教室長だってサラリーマン。
「生徒や保護者の意向<<上司の締め付け」となって、行き過ぎた勧誘になってしまうこともあるかもしれません。
本末転倒ですけどね。
でも、大手の多くの人員や設備の維持を考えると先立つものをいかに確保するのかってのがファーストプライオリティになってしまうので致し方ない部分でもあったりします。
っていうか、こういうのがイヤで独立する先生が後を絶たないのもこの業界アルアルだと思います。
2.受験勉強は早い者勝ちだから
進学を目指すなら受験直前期は誰でもある程度勉強するようにはなります。
その中で一つでも偏差値の高い大学に進めるかどうかは持って生まれた資質だけでなく、「いつから始めたか」の差が大きく左右します。
たとえ学校進度に問題なくついていけたとしても、「東大でも楽勝でA判定」なんて子でもない限りは伸ばすべき余地はあるはずだし、そもそも地方の公立中学や公立高校にそのレベルの子はほとんどいません。
実際、中学受験を経て中高一貫校に進学した子たちはそれだけで大学入試でものすごいアドバンテージになって、それは合格実績でも証明されています。
特に公立小学校の進度はかなり遅いため、その間にざーっと予習で進めることも可能。
「転ばぬ先の杖」ではないけど、中学にあがるまでに半年~1年先取りしておくだけでも中学の最初のところでつまづく可能性をかなり低くできます。
塾講師としてはそこそこ出来る子であればなおのこと「少しでも上の大学に進めるよう学力をつけてほしい」という思いもあって、「早くやっておいた方がラクになりますよ」と伝えたくなります。
3.遅れたら取り返すのがタイヘンだから
先ほどの2のパターンはそこそこ出来る子を想定していますが、こちらはそうでない場合。
学校の既習範囲で分からないところやついていけなくなった科目があるとテストの点数、偏差値、内申点などの各指標は下がっていきます。
英数などの積み上げ科目は遅れだしたら、その先の単元の授業を受けても理解しにくくなります。
他の教科にしても、入試のことを考えたら穴は塞いでおきたいところ。
当然、戻り学習が必要となりますが、ちょっと戻るくらいならなんとか巻き返すことができても、ゴッツリ戻らないといけないような状況になってからだとかなり厳しくなりますね。
学校の定期テストのこと考えたら、戻り学習と並行してそちらの学習もしないといけないですから。
後れをとっていない子たちよりずっとずっとタイヘンな思いを受容せざるをえなくなります。
にっちもさっちもいかなくなってから来られても塾としても困ってしまうということもあり、傷口を小さいうちに塞ぐためにも早めの入塾を勧めることになります。
たまに明らかに学校進度から後れているのに「まだ塾はいい」みたいなことを言う子がいて、「子どもがやる気がないんじゃ仕方ないわねえ」とその通りにしてしまうお母さんがいらっしゃいますが、「それで本当にいいの?」って思っちゃいます。
気を付けないといけないのは極端に悪くなりすぎたり、素行がよくないと、入塾を受け付けてもらえないパターンもあること。
これは塾としてイジワルするとかではなく、むしろちゃんとした塾ほど基準がシビアだったりします。
明らかに手がかかりすぎるのが目に見えてたり、どうやっても最低限の目標にも届きそうにないお子さんを預かったとき、授業料だけ納めてもらっても不満を抱かせてしまうリスクを負うことになりますからね。
短期間しか在籍しないのが分かっている子のためにそのリスクは負えないと判断すれば、入塾を断ることもあるでしょう。
大手フランチャイズの個別指導塾だとそのあたりは割と緩いですけどね。
先ほど書いたように売り上げの数字の締め付けが厳しい分、誰でも彼でもとりあえず入塾させざるをえないことが多いので。
それはそれで一部の子のセーフティーネットになってる部分はあるから悪いことだとは思わないですよ。
ただし、望むような効果があるかはまた別問題にはなります。
ちなみに、うちの塾の場合は成績に制限は設けていないですが(主要科目に1が2つ以上ある場合は家庭教師をおすすめしますけど)、中学生は中3の9月、高校生は高2までの入塾にしています。
「入試直前期だけでなんとか」というのは最上位層だけをターゲットにしているわけでもない個人塾にとってできることも限られるし、それより前に入ってきてくれる子たちにできるだけ限られたリソースを割いていきたいですからね。
てな感じで、学習塾側が早期の入塾を促す理由としてざっと思いつくのは上記の3つですかね。
うちの塾は中学受験対策はやってないため、小4以上の子しか見ていないですが、それでも小5以降なら通塾するのが早いなんてことはないと思います。
近年は小学校で英語が教科に格上げされて、中学英語の難易度が上がったので、早めにやっておかないとおそらくちょっときついくらいではないでしょうか。
最終的に判断するのは保護者のお父さんお母さんですが、塾側としては「決して売り上げのためだけに早めの入塾を勧めるわけではない」ということをご理解いただければと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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