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学びながら呑みログ

酒場で学び、酒を楽しむ。
呑んでいる酒を楽しく学ぶブログ


酒呑み散歩 浅草・髙橋(前編)

浅草のホッピー通りを呑み歩く。

ホッピー通りといえば、別名で煮込み通りというくらい、ホッピーと煮込みで有名。それぞれの酒場で、それぞれの味の煮込みが食べられる。あとクジラ。有名なところは「捕鯨船」。意外とクジラを食べさせてくれる酒場も多い。酒好きの下町料理といえば、昔からのそばがき、天ぷら串あたり。そして煮込み、どぜう鍋。クジラも勧めたい。ということで、そのうちの1店、「髙橋」に入る。

日本の、世界のクジラの捕獲、保護については賛否両論があるので。パス。

日本近海はクジラの回遊路ということもあって、縄文時代からクジラを捕って食べていた。獣肉を禁じていたので、魚肉と見なされた鯨肉を食べていた。戦後の食糧難時は貴重な蛋白源ということで鯨肉を食べていた。実は、鯨肉は獣肉より優れた食肉だ。栄養価は高い。

1987年捕鯨禁止。

そのころから。獣肉の生産、加工、流通、保存技術の発達、そして食文化の欧米化によって鯨肉は食べなくなった。外国からの輸入、調査捕鯨などで鯨肉は食べられるが、高価で。戦後の印象か、鯨肉は獣肉の代用というイメージで。また、独特の香りと味わいが嫌で。鯨肉は食べなくなった。

今のクジラは、豪華(?)な下町料理。戦後の思い出の味。給食の思い出の味。庶民の味は、遠い昔の味になっている。

クジラのベーコンを食べる。よし、酒は「バイスサワー」を呑もう。

「バイスサワー」は清涼飲料メーカー、コダマ飲料の出している割りもののひとつ。赤しその味。「梅酢」という意。酢は入っていない。甲類焼酎を割って呑むサワー、炭酸の入ってない原液がある。原液は炭酸水を混ぜる。

「ホッピー」や、後藤商店の「ホイス」などとともに、昔の大衆酒場で呑んでいた酒。庶民は、ビールやウイスキーは高くて呑めなかったので、安い焼酎を割って作ったもの。ビールの代わりに「ホッピー」を、ウイスキー(ハイボ)の代わりに「ホイス」を呑んだ。また、安い焼酎は旨くなかったので、ごまかすために混ぜたもの。

今は、ビールもウイスキーも安く呑めるし、焼酎も旨いし。ということで、そういう酒はなくなったと思っていた。だが、いわゆる下町酒場で、懐かしいのか、新しいのか、よく呑まれているらしい。

浅草観光後、ホッピー通りの酒場で「バイスサワー」を呑む。クジラのベーコンを食べる。

ぜひ。
コアップガラナ

学びながら呑みログ ガラナハイの件


ウイスキーをソーダで割るとハイボール。コーラで割るとコークハイ。焼酎をソーダで割ると焼酎ハイボール、酎ハイ。なるほど、焼酎を「コアップガラナ」で割るとガラナハイ。とっても旨い。

ガラナは、種に、カフェインやタンニンが豊富に含まれて、疲労回復や滋養強壮に用いられる。そのガラナエキスを使った炭酸飲料(ガラナ飲料)は原産国のブラジルではよく飲まれる。

昔の日本の清涼飲料は、中小メーカーの作ったラムネやサイダーだった。

1958年にアメリカから入ってきた「コカ・コーラ」に対して、中小の清涼飲料メーカーは危惧を感じた。中小メーカーの組織、全国清涼飲料協同組合連合会はガラナ飲料に目をつけた。コーラに対すべく、ブラジル大使館の監修のもと、日本人の味覚にあうように作られたガラナ飲料。「コアップガラナ」という統一商標で、加盟メーカーに受託製造。「コアップ(co-up)」とは、「Co-operation(協同)」と「up(昂揚)」の造語。日本の気概だ。

当時の「コカ・コーラ」のボトルデザインはモダンガールをイメージ、「コアップガラナ」は京都の舞妓をイメージしたという。

だが、日本人の欧米贔屓もあって、負けてしまった。ただ、コーラの製造、販売が他の都府県より遅れた北海道では勝った。おかげで、現在でもコーラより飲まれている。北海道人愛飲の飲料だ。

全国清涼飲料協同組合連合会の飲料事業は、現在は日本コアップという会社に受け継がれたが、多数の受諾製造メーカーは廃業。もしくは生産中止。コーラに、ラムネは完全に負けてしまった。現在、「コアップガラナ」は、北海道では小原、北海道以外ではホッピービバレッジの寡占だ。小原の「コアップガラナ」は、水は道南横津岳の天然水使用。果糖ブドウ糖液糖は北海道産ジャガイモが主原料。他の原料はガラナエキス、カラメル色素、酸味料、香料。

2010年に、50年を迎えた「コアップガラナ」が、当時のボトルで再発売。少しずつだが、健康飲料として目だつようになった。

ということで、コークハイではなく、ガラナハイを呑む。甲類焼酎を「コアップガラナ」で割るだけ。旨い。

ぜひ。

酒呑み比べ 栃木・天鷹酒造

天鷹酒造は有機清酒を謳う酒蔵。銘柄は蔵名の「天鷹」。

有機米と有機麹だけの純米酒、その有機米を60%、50%も磨いた吟醸酒にこだわっている。そのために地元の米農家と「米作り酒造りの会」を作って、最上の日本酒を作り続けている。

また、甘口主流の創業当時も、「辛口でなければ酒ではない」と頑に辛口で呑み飽きない端麗辛口酒だけを作り続けている。その姿勢で、1914年創業という、比較的歴史の浅い酒蔵でありながら、多くの受賞歴に輝いた。

すべてが精米歩合50%という大吟醸酒を呑み比べたが、酒米の個性はちゃんとある。最強の酒米「山田錦」の力だろうか。すっきりしたなかに、ふくよかな香り、味わいはちゃんとある。特に熱処理(火入れ)してない生酒は、辛口ながらも、フレッシュ感、フルーティ感に満ちている。

最近の端麗辛口嗜好に、ぴったりだ。

ぜひ。

呑み比べた3本
天鷹 鷹の羽・純米吟醸
Alc:15・酒度:+1・精米歩合:50%(あさひの夢)
天鷹心・純米大吟醸
Alc:15.3・酒度:+5・精米歩合:50%(山田錦)
天鷹心 生酒・純米大吟醸
Alc:16・酒度:+5・精米歩合:50%(山田錦)
ハイッピー

学びながら呑みログ ハイッピーの件

最近、「ハイッピー」の呑める酒場が増えた。

博水社のHPを見ると、2012年10月に「ハイサワー」の累計販売数が15億本を超えた。創業85年の2013年1月に「ハイサワー缶」を出した。博水社はがんばっている。

「ハイサワー」で有名な博水社。現在の3代目社長は女性、関東で有名な割りもの飲料のメーカーと、ホッピービバレッジと似たところが多い。博水社も、「ホッピー」のようなビアテイストの割りもの飲料を出そうとしたが、色々とあって辞めた。その後に「ハイサワー」を出してサワーブームを作った。

たがいに切磋琢磨は思ってなかっただろう。だが、結果はたがいに良いことに。

酒場で「ハイサワー」を見なくなって、これまで陰に隠れていた「ホッピー」が盛り上がった。そのブームの2006年。博水社は改めて「ハイッピー」というビアテイストの割りもの飲料を出した。だが、いまいち盛り上がらなかった。そして2013年。

「ハイッピー」を呑んだ。

まずはレモンビアテイスト。甘い。「ハイサワー」に麦汁を加えたかんじ。だが、これなら酎ハイか、レモンサワーを呑みたい。いや、「ハイサワー」を呑みたい。甘味とホップの苦味が混ざったかんじ。つぎはビアテイスト。やっぱり甘い。なぜ。

ビアテイストの原料は、レモン果汁、水飴、果糖ブドウ糖液糖、カラメル、香料、調味料(アミノ酸)、安定剤(アルギン酸エステル)、そして苦味料としてホップ。ちなみに「ホッピー」の原料は、麦芽、粉飴、ぶどう糖、スターチ、ホップ、酸味料、調味料(アミノ酸等)。

呑み方は、氷を入れて、混ぜるように勧めている。

そうか、ビールの代用品ではなく、あくまでサワーの一種。「ホッピー」とコンセプトが違うのか。そういえば、正しくは「ハイサワーハイッピー」という。「ハイサワー」のフレーバーのひとつ。

シャンディ・ガフのようなビールベースのカクテルではなくて、焼酎ベースのビアテイストカクテル。

そう思うと、まあ、ぜひ。
学びながら呑みログ-ホッピー2

学びながら呑みログ ホッピーの件(2)

過日、初めての酒場でのこと。その店はホッピーと金宮を押していた。店内はホッピーと金宮のポップやポスターだらけ。嬉しくなった。だが、スタッフは呑めないのか、ホッピーを知らないのか。教わってないのか、教えてないのか。冷えたジョッキにシャリキンを入れて、さらに氷を入れた。そしてぬるいホッピーと出た。ホッピーを注ぐとシャリキンは溶けていく。ここの3冷はシャリキン(凍らせた金宮)、冷えたジョッキ、氷。笑い話にならない。

酒場のホッピーは価格も高く、わけのわからない焼酎は旨くないので、ぜひ、家で金宮で作って呑んでほしい。

金宮を出している宮崎本店のHPに「シャリキンパウチ」というのがあって、かんたんに家でシャリキンホッピーを楽しめる。
最近は家でホッピーを呑む人も増えたらしく、合わせてパウチも売れている。確かに一升瓶は捨てるのも、冷蔵庫(冷凍庫)に入れるのもたいへんだ。だが、宮崎本店のHPに、シャリキンの作り方が載ってるので、ぜひ、じぶんでシャリキンを作って呑んでほしい。パウチは割高&アルコール20度(シャーベットに適した度数らしい)なので、ぜひ一升瓶を買ってほしい。

まず、500mlのジョッキを買う。できれば2つか3つ。業務用瓶のホッピーはリターナブルなので瓶を回収、回収時に瓶代を返してもらえる。瓶代を引くと家庭用瓶330mlと業務用瓶360mlは同じ価格なのでオススメ。カクヤスで買えば注文も瓶の回収もめんどくないし、いいことだらけ。金宮は20度と25度があるので25度を。乙類の麦焼酎にも「亀甲宮大麦焼酎」があるので注意を。紙パックもあるが、長期保存に向いてない。エコでもないので、できれば一升瓶を勧める。なによりセカンドブランドの「好きやねん」が安いのでオススメ。

500mlの良く洗ったペットボトルに2/3くらい金宮を入れて、冷凍庫で凍らせる。 「いろはす」のペットボトルがもっともいい。 ジョッキも凍らせる。あたりまえだが、ホッピーも冷やす。シャリキンを冷えたジョッキに入れて、ホッピーを勢いよく注ぐ。

旨い。ぜひ。

笑い話のつづき。薄まっていくホッピーを呑む。おかわりはどうするのか。気になるが、気になるが、ホッピーを残して帰った。家で、じぶんで作って呑もう。

でわでわ。
ハムカツ

学びながら呑みログ ハムカツの件

許されるハムカツ。

定番の肴といえば枝豆、ポテサラ。あると食べてしまう肴といえばハムカツ。

ポークカツでも、チキンカツでもなく、ハムカツ。できればプレスハム。厚さ2mmのハム。赤いフチのハム。チープ。それが許されるハムカツへの条件。

最近、プレスハムを見ない。もうないのかと思って調べてみたら、ハムカツ用ハムとして売っていた。そうかハムカツ専用か、ちょっとハムカツが偉そうに思う。だが、ほとんど業務用。ブロック、キロ買い。家で食べられないのか。偉そう。業務用のハムカツもあった。「懐かしいハムカツ」と謳われて、こだわってるらしい。偉そうな謳い文句に、ハムカツはそういうものではないだろうと思いながら。

ポジショニングは変わったみたいだが、ハムカツの需要は、まだあるらしい。

初めての酒場に入って、軍資金と腹具合と満足感を考えながらメニューを見る。店内のあちらこちらに新しいメニューを貼ってあるので、見るのも、考えるのもたいへん。ようやく今晩のコースが決まって、順調(?)に進んで、チューハイで口を湿らせて、メインのホッケ半身を頼んだ後。レジの横にハムカツのメニューを見つけたときの敗北感というか、屈辱感というか。まあ、なんというか。

「今晩はちょっと贅沢するかな」と、独り言ちながら頼んでしまうくらい、ハムカツが好きだ。

許されないハムカツ。

ハムカツの厚さは2mm。それ以下も、それ以上もない。厳しい条件にこだわっていた。

厚さ20mmのハムカツ。世間には許されるハムカツと、許されないハムカツがあると知った。

初めての立ち呑み屋。クイックメニューの並ぶなかで「10分かかります」というのはどういうことか。厚さ20mm。こんな非効率的一品を、なぜ作るのか。なぜ出すのか。調べてみたくて。

いや、誘惑に負けて。食べた。

ぜひ。

酒呑み散歩 神田・馬力(後編)

神田の大衆酒場「馬力」で馬刺を食べる。あまり食べないが、馬肉は、栄養価も高くてヘルシーな食肉だ。

馬肉の色が桜色というで「サクラ」という肉色説。また、江戸時代、獣肉を食べるのは禁じられていた。だが、貴重な蛋白源であったので、そのまま呼ぶのは憚れる。猪肉を「ボタン」と、鹿肉を「モミジ」と呼んだように、隠語で、馬肉を「サクラ」といったという隠語説。まあ、どちらでもいいか。

九州や信州などの馬肉を食べるところは競走馬の名産地。勝てない、走れない競走馬を食用に回していた。ただ、馬肉は食肉としてはコストが高くて、食べられる部位が少ない。そのために現在は輸入が多い。

「馬力」では「とろ刺し」「レバー刺し」「ヒレ焼き」が食べられる。「とろ」はバラ肉(あばら骨のまわりの肉)の最上部位だ。

「馬力ハイ」の次はなにを呑もうかと見わたす。京都で有名な「ばくだん」があった。東京の「デンキブラン」のような大衆酒で、赤ワイン(サントリーの「赤玉スイートワイン」に限る)と甲類焼酎を混ぜた酒。酒場によってオリジナルレシピがある。サンムーンというメーカーが「京都赤酒ばくだん」という商品を出している。サイダーで割るのが定番。東京では呑めないので、考える。けっこう甘そうなので「赤ホッピー」を頼んだ。こちらも、なかなかと呑めない。ホッピー(白ホッピー)や黒ホッピーは置いてあるが、「赤ホッピー」を置いてある酒場は少ない。

「赤ホッピー」は、正しくは「55ホッピー」という。ラベルが赤いことや、「ホッピー」、「黒のホッピー」との区別から「赤ホッピー」という。「ホッピー」の発売55周年に出された「プレミアムホッピー」だ。業務用瓶(360ml)はない。家庭用瓶(330ml)のみだが、白や黒の倍の醸造時間をかけてるために、価格も、酒場での価格も高い。その味わい、色あいは白と黒の中間くらい。

馬刺を食べながら、「赤ホッピー」を呑む。旨い。ぜひ。

酒呑みログ 長野・美寿々酒造

過日、「酒呑み比べ」で呑み比べた「美寿々」。その酒蔵・美寿々酒造の熊谷氏と会って、日本酒について色々と聞いた。

地元の酒米「美山錦」を使って酒を作り続ける美寿々酒造。

最強の酒米「山田錦」に対して、決して負けない酒米と思いながらも、毎年開催の全国新酒鑑評会では「山田錦」の酒が評価を受ける。そのくらい「山田錦」は最強の酒米だ。一時期、ほとんどの酒が「山田錦」を使い、またほとんどの受賞酒が「山田錦」のため、「山田錦」の別枠が設けられたほど。現在は色々な酒米を使った酒が増えてきたが、当時は辛かったらしい。

「山田錦」はそれだけ優れた酒米。だが、他の酒米も、その特性を旨く使えば、「山田錦」にはない魅力のある酒を作れる。

地元の酒米と水を使った地産の酒が多くなってきたのはいいことだ。「美寿々」も大吟醸以外は「美山錦」、その改良酒米「新美山錦」を使っている。「新美山錦」は地方では「ひとごこち」という。

ワインはブドウの品種によってはっきりわかるが、日本酒は酒米の品種以外に、麹によって大きく変わるため、酒蔵(杜氏)の技術によるところが大きい。

現在の辛口嗜好に酒蔵も悩んでるそうだ。

本来純米酒は甘い。特に麹をちゃんと作ると糖度があがるので甘く感じる。最近は純米酒ブームで、なおまつ端麗辛口嗜好。米選びや麹作りで酸味を強めに出して、味を締める。そうするときりっとした味わいになる。

純米酒は冷やして呑むと甘く感じるが、冷やしすぎると本来の旨さはわからない。ほんとうに旨い酒は燗酒のほうが旨味を感じやすい。「冷えてる」と「旨い」は違う。ごまかされる。10度くらいで呑むのがいい。

逆に燗酒で呑んで旨くない酒は、冷やしてごまかして呑む。燗酒は日本酒の本質がわかる。

色々と楽しかった。

旨い日本酒を、ぜひ。
遊びながら呑みログ-本搾り

家で呑みログ キリン本搾りチューハイ(レモン)・麒麟麦酒

原料:レモン・ウォッカ
アルコール:7%・果汁:12%・分類:スピリッツ

「糖類無添加」の、たったひとつの謳い文句どおり、原料はレモンとウォッカのみ。果汁が多いので「呑む前に逆さにしてください」と書かれている。オレンジは果汁45%と、ジュースではないか。

「本搾り」は、ジャパニーズワインで有名なメルシャンが出していた缶チューハイ。メルシャンは会社経営に色々とあって、キリンのグループになって、ワインの専業となって、「本搾り」はキリンに移って、セカンドラインとなって、現在に至る。

「氷結」も含めて、多くの缶チューハイは甘い、とっても甘い。その中で「本搾り」は甘くない。ただ旨いだけ。

メルシャンの時から呑み続けている。レモンを齧ってウォッカを呑む、そんなかんじ。メルシャンの時と味が変わった気もするが、比べようもない。ただ、ただオススメ。製造はキリンのウイスキー、ブランデー、そして「氷結」も作ってるキリンディスティラリー。

最近、「本搾り」も期間限定商品を始めた。確かに人気あるが、なんとなくやめてほしい。「ストロング」もぜったい出さないでほしい。

でわ。

酒呑み散歩 神田・馬力(前編)

神田の大衆酒場を呑み歩く。まだ13時。

焼きとり屋「馬力」はガード下にある有名な大衆酒場の1店。他の2店と違って若いスタッフが多い。気になる酒、肴を見わたして、店の名のついた「馬力ハイ」を頼む。どうやら焼酎は「金宮」らしい。いったいなにで割ってるのか。

ガラナエキス。

ガラナは、種に、カフェインやタンニンが豊富に含まれて、疲労回復や滋養強壮に用いられる。そのガラナエキスを使った炭酸飲料(ガラナ飲料)は原産国のブラジルではよく飲まれる。

日本では、1958年にアメリカから入ってきた「コカ・コーラ」に対して、全国清涼飲料協同組合連合会という謎の組織がガラナ飲料を広めようとがんばったが、コーラに負けてしまった。ただ、コーラの製造、販売が他の都府県より遅れた北海道では勝った。おかげで、現在でもコーラより飲まれている。北海道人愛飲の飲料だ。

その後にガラナ飲料は、日本コアップと名を変えた謎の組織が「コアップガラナ」という統一商標で、いくつかのメーカーに受託製造している。北海道では小原、北海道以外では、あのホッピービバレッジの寡占状態らしい。

「馬力ハイ」の次はなにを呑もうかと見わたしたら、「ばくだん」があった。めずらしい。

「ばくだん」は、その赤色から「あか」とも呼ばれる、京都で有名な酒。

赤ワイン(サントリーの「赤玉スイートワイン」)と甲類焼酎をまぜて作る。ストレート以外に、サイダーなどで割る。けっこう甘い。酒場によって色々と違う大衆酒場の酒だ。ストレートで呑むときは、「デンキブラン」と同じようにビールをチェイサーに呑むらしい。サンムーンというメーカーが全国販売している。

東京で、「バクダン」というと焼酎のビール割り。韓国で「爆弾酒」というとウイスキーのビール割り。まあ、京都も東京も韓国もただのちゃんぽん。

あと、戦後に「バクダン」という酒があった。

戦中、サツマイモを原料にした航空燃料のエチルアルコールを作った。焼酎と同じ蒸留製法で作ったので呑める。だが、大事な燃料なため、呑まないようにメチルアルコールを混ぜた。さらにまちがわないようにピンクに着色。戦後、この燃料が流れて、脱色、気化、メチルアルコールを除いて作った焼酎。まあ、そこまでして呑みたいわけ。ここまではいいが、うまく除けなかったり、めんどいから除かなかったりした「バクダン」を呑むと、失明。

ちなみに「赤玉スイートワイン」は、サントリーの創業者が1907年に「赤玉ポートワイン」という名で出した。ラベルに赤い丸(太陽)が描かれている。1922年にヌードポスターで話題になった。

でわでわ。