ノア ZRR80 エンジンチェックランプ&VSC警告灯点灯 | バス釣り空手自動車整備…だけじゃない

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走行中に突然エンジンチェックランプとVSC警告灯が点灯、エンジンが吹かなくなり、ノロノロとしか走れなくなってしまったという80系ノアがレッカーで入庫した。

 

エンジンはパーキングでアクセルベタ踏みしてもゆっくりと1500回転までしか上がらず、試しに走行するとスピードは10km/hくらいしか出なかった。

 

診断機でチェックしてみると…。

 

エンジン関係では

 

P2647 バルブリフトモーターロック 開 固着

P1604 始動不良

 

ABS-VSC-TRC関係では

 

C1201 エンジン/EV 異常

 

始動制御関係では

 

U0100 エンジンECU通信異常

 

が検出された。

 

どうやらカムの制御装置の故障で、ネットには事例が幾つかあった。

 

この代のノア&ヴォクシーの弱点のようだ。

 

進角装置の正式名称は『コンティニュアスリバリアブルバルブリフトコントローラー』といい、長すぎて1回聞いただけではとても覚えられそうにない。

 

面倒なので以降は『コントローラー』と呼ぶことにする。

 

他の診断結果はコントローラーの故障から関連して引き出されたものだとは思うけど、コントローラーの交換だけで済めば良いが…。

 

翌日には、

 

P1605 アイドル不安定

P2111 スロットルボデー 開 固着

 

の故障コードまで追加された。

 

最悪のことを考えて、ディーラーに持ち込み修理をお願いできるか聞いてみた。

 

すると、予約やリコールでいっぱいいっぱいで、手を付けるのが1か月以上も先になりそうだと体よく断られてしまった。

 

サービスの方も、

 

「おそらくコンティニュアスリバリアブルバルブリフトコントローラー(この長い名前を口にしたのは流石だと感心した)の故障から(紐づけされて)複数の故障コードが出ていると思うので、先ずは交換してみないと」

 

と言っていたし、コントローラーの交換はそれほど難しいものではないので弊社で作業することにした。

 

交換する部品はこれ。

 

 

エアークリーナーやダクト、ホース、エンジン上部の配線等を外して横へよけておいて、(書くのは簡単だけど結構な手間がかかる)

 

 

ヘッドカバーを外し、

 

 

コントローラーを交換するわけだが…。

 

 
このバルブロッカーシャフトとの接続部分を分解しなければコントローラーを取り外せない。
 
 
だからヘッドカバーまで外さなければいけない訳。
 
下の取り外し後の画像を見れば分かると思うけど、コネクター、ピン、C型のクリップで構成されており、
 
 
整備書には、クリップを完全に外すとピンが落下するから上側だけずらして磁石でピンを抜くようにと書かれている。
 
ちなみにコネクターの正式名称は『バルブリフトコントロールアクチュエータコネクター』(笑)
 
クリップは『バルブリフトコントロールアクチュエータコネクタークリップ』(爆)
 
ピンは『ストレートピン』(嬉)
 
ピンをエンジン内に落としたらエライことになる。
 
整備書通りに慎重に作業を進めるが、いざピンを抜こうとしても全く動かない。
 
ディーラーの方がコントローラーの取付ボルトを緩めて揺すりながら抜くとも言っていたのでやってみると、抜けそうな動きをするのに抜けてこない。
 
磁石の力が弱いのか?
 
それなら、と随分前に興味本位で買った強力なネオジム磁石で試しても同じ。
 
どうすりゃ良いんだ…。
 
いじくっているとクリップの下側もずれて外れそうになった。
 
それでもピンの位置は変わらない。
 
微妙に力が加わってるのだろう。
 
これは簡単に抜けないぞ。
 
なんて思っていたら、ふと気が付くとピンが下にスライドしているではないか!
 
油断している時に荷重が抜けたようだ。

落ちたらマズイ。
 
冷や汗かきながら指で押さえる。
 
しかし、
 
(これって…)
 
下の隙間はピンの長さより狭そうだ。
 
この位置では落下しないんじゃないか?
 
指をそっと放す。
 
落ちきってるかどうかは見えなくて分からないが、ピンの位置は変わらない。
 
ここでネオジム磁石…だと強力すぎて現状では狙いを外すとかえって面倒なことになるから却下。
 
ワイパゴムを挟んでる細長い金属板(何かの材料になることがあるので交換したものをとってある)を曲げ、それでピンを下から上へ押し上げるとスムーズに出てきた。
 
微妙な位置の違いで抜けなかったものが抜けるようになるのはよくあることだが、これはホントに微妙だった。
 
これでめでたくコントローラーを取り外せた。
 

 

新品のコントローラーにはコネクター、ピン、クリップも一緒についてきてるので、それらをいったん取り外す。

 

外したコネクターにクリップをはめてバルブロッカーシャフトに取り付け。

 

コントローラーに新品のOリングを付けて仮付け。

 

クリップの上側をずらしてピンを挿入し(この時もコントローラー取付ボルトとナットを緩めて揺すりながら入れた)、ずらしたクリップをはめ直す。

 

コントローラーの取付ボルトとナットを本締め。

 

やれやれこれで一安心。

 

その後は再使用不可部品であるガスケット類を取り外してヘッドカバーや取り付け部分を脱脂清掃、新品のガスケットを取り付けて所定の位置にシールパッキンを塗布し、ヘッドカバーを取り付け。

 

多数外した配線コネクターを繋ぎ忘れがないように注意を払いながら配線を元の位置に取り付け。

 

外したエアダクトやホースを取り付けて物理的作業はこれで終わり。

 

次に診断機を繋いでECUの学習値初期化とLow端学習というものを行い、コンティニュアスリバリアブルバルブリフトコントローラー(最後だからフル名称を書いたけど、やっぱ長い!)の取り替え完了。

 

エンジンをかけるとアクセルに応じて吹き上がるし、エンジンチェックランプもVSC警告灯も点灯せずにホッとした。

 

現在故障がないことを確認して故障コードを消去、試運転しても不具合はなく、修理完了となった。